平成20年 12月
12月31日 ゆき
朝、起きたら辺り一面真っ白な雪景色になっていた。でも、すぐに「グズグズ」のシャーベット状になってしまった。なかなか雪は降ってくれないものだ・・・・等と雪を厭いながら雪を待ちこがれる矛盾を北国の人間と動物たちは併せ持っている。以前にもお話ししたと思うけれど、寒い地方の生き物は屈折した心を持っているのかも知れない。
まぁ、とにかく平成20年のこの日記も無事書き終えて嬉しいよ。辛抱強く読んでくれたみんなにお礼を言うよ。来年も続くと思うけれど、また読んでね。たぶん・・・続くと思う・・・
12月30日 あめのちふったりやんだり
今日は、我が家の「お餅つき」である。と言っても犬には関係がない。安和もの食べたら喉に支えて苦しむ事になる。何しろ犬は食べ物を丸ごと飲み込む習性があるから、お餅なんてとても・・・・でも食べた事はないんだもんね。「お餅つき」なんて一年に一回の、それこそ行事と言っても良いぐらいの出来事だ。御主人達は前の年にやった事を忘れてしまっていて、毎年難儀をする。犬みたいだ。最も犬は、ついさっきの事さえ忘れてしまうから、御主人達の事を笑う事は出来ない。夕方散歩に行こうとやって来た御主人の話によると、ともかく無事に餅つきは終わったらしい。めでたし、めでたし・・・・いや、それを言うのはお正月が来てからにしようかな。
12月29日 はれたりくもったり
あの吹雪や暴風雪はなんだったのか?、と思うほど穏やかな一日だったよ。風は少し冷たく吹いているけれど、僕は一日外で過ごしたんだ。御主人が作業小屋の中でなんかしているので僕も犬小屋の中に閉じこもっているわけにはいかないような状態だったのだ。なにしろ、こっちは飼い犬だからね。飼い主には一応気を遣わなければならない立場なのである。えっ?、雪?。雪なんか欠片もない、きれいさっぱり消えてしまった・・・・辺り一面、北国の年末らしくない風景が広がってしまった我が家の周辺なのであった・・・・
12月28日 暴風雪
暴風雪とは吹雪みたいなものだけれど、ちょっと違うようだ。風が非常に強い。列車は止まる。自動車は止まる。電気も水道も止まる。止まらないのは迷走し始めた国会だけのようである。・・・・夕方散歩に行ったんだけれど、冬には珍しく長い距離を歩いて東の山の下にあるため池まで行ってきたんだ。何しろ見渡す限りの平地で、北西の風がまともに身体にぶつかってくる。東に向かって歩く時は風に押されるので楽なのだが帰りがひどい。風に向かって歩くのでなかなか前に進めない。「くるくるくるん」と二重巻きになっている僕の尻尾なんか、風圧で一直線に伸びてしまった。つまり尻尾が1本の棒のように横に伸びてしまった感じになってしまったのだ。これでは「美しい秋田犬の体型」も何もあったものではない。御主人も僕も早く家にたどり着きたい一心で一生懸命に歩いた。やっと家の前にたどり着いて、お互いに顔を見合わせて「良かったね」と言い合ったのであった。気が付くと、御主人は、うっすらと汗をかいているし、僕は舌を出して「ハァハァ」という動作をしているのであった。
12月27日 ふぶき
吹雪は、まだ止まない・・・・今日も一日中外の風景は白一色で染められてしまっていた。ところで、25日のクリスマスに「僕だけクリスマスケーキがもらえない!!」と文句を言ったら、御主人がご飯の中にサンタクロースの人形を立てて与えてくれた。これは「犬には禁断の砂糖」で出来ていて、人形の足の裏にクリームがべっとりと付いている。僕はこれを見た時、不思議な物があるなぁと用心深く匂いをかいだり、なめたりしてみた。やっと砂糖菓子だとわかった時、僕は尻尾を振って人形を食べ始めた。思ったより堅い。「ぼりぼり」と小気味よい音を立てながら食べ尽くす。クリームの味も良かった。どうやらこれは生クリームのようである。こうしてお菓子を食べ終えてから、ご飯に口を付けた僕なのであった。最後にはデザートのリンゴが待っている。でも・・・・・これが生クリームって事は、バタークリームのケーキがまだあるって事なんだよね。御主人!!
12月26日 ふぶき
今日は一日中冷凍庫の中に閉じこめられてしまったような天気だった。一日氷点下の気温が続き、さすがの秋田犬でも外に寝ころぶような事は出来なかった。でも、「吹雪の中で元気なのは我が家でむつ犬だけだ」と御主人に誉められた。もちろん誉められて嬉しいのだけれど、寒い中で元気に動き回れるのは秋田犬の特性なので当たり前な事なんだけれどね。散歩は、もちろん朝と夕方に行ってきた。吹雪の中をしっかりと歩く方向を見据える。おかげで顔が雪で真っ白になる。1年を通じて、「あこがれの白犬」になれる唯一の季節が冬だ。何しろ白犬」は神様の使いで、一番人間に近い存在だって言われているからね!!
12月25日 はれのちあめ
今日は昨日宇野続きというか、今日が本番らしいのだが「クリスマス」という行事を行う日だ。イエス様という人の誕生日らしいのだが、御主人達は誕生日が来る前に「クリスマスケーキ」を食べてしまったらしい。僕には、ヒトカケラもよこさないで!!だよ・・・・
ところで、クリスマスの風景としては雪での山がおおわれてしまって、そこへさらに雪が降り、その中をサンタクロースがトナカイの引くソリに乗ってやってくる・・・のが一般的なのだが、今は夏だというオーストラリアでは、サンタクロースがサーフィンをしながらやってくるのだという。でも、僕のところへは来ない。最近はおりこうさんで物わかりが良くなったと言われている僕なんだけれどねぇ・・・・?
12月24日 ゆきのちくもり
今日も朝起きたら雪景色だった。今日は昨日よりも雪景色がねばり強くて、昼頃まで持った。午後になると、もう灰色の風景になってしまったのだ。
ところで、今日は人間たちが「クリスマスイブ」とか呼んでいる特別な日なのだそうだ。特に宗教観念が希薄な日本の人達はプレゼントだのごちそうだのと浮かれ騒いでいるのだけれど、犬にはなんにも関係がない。関係がないと言うよりは『蚊帳の外』という言葉がぴったりの飼い犬の僕なのである。我が家は浄土真宗の家系なのだけれど、今日ばかりはクリスマスケーキを買ってくる。ごちそうはと言えば、何時も通りの食べ物と言っても良いだろう。何はともあれ、御主人は『クリスマスケーキ』があればよいのだ。しかも『バタークリームケーキ』・・・・・今時、こんな物は甘い物好きの人でも食べないのだという。だけど、御主人は『懐かしい味』というので毎年欠かさずに買っているのだ。おいしさから比べたら、生クリームの洒落た飾りのケーキの方に軍配が上がるけれど、郷愁を感じる『バタークリームのケーキ』には、味以上の思いが込められているのであった。このようにして、マンガ、あるいは映画の「3丁目の夕日」の世界にひたっている御主人なのであった。そして、僕も、その残りかすの恩恵にあずかる身なのであった。
12月23日 ゆきのちくもり
朝は一面の雪景色だった。だけど、そんなに積もったわけではない。さらりと白い絵の具を風景に塗ったような白さである。そんな雪景色も昼前には消えて、あとは次から次へと小さな綿のような雪が降り続いた。だけど積もらない・・・・落ちては消えていくばかりだ。そして、『冬ごもり』・・・・今日も一日犬小屋の中で過ごしたようなものだったよ。
12月22日 ゆきのちあめ
朝から雪が降っている。雪が山々の木々にうっすらと降り積もり、それはそれは美しい風景になった。御主人は早速、カメラで写真を撮ったようだった。でも、平地には積もらなかった。なぜなら雪が降って地上に落ちると、たちまち消えてしまうからだ。地温が高いのかなぁ?。おかげで、散歩に出かけると僕の自慢である真っ白なお腹の白い毛も泥んこになってしまった。どうせ雪は降るんだろうから、すっぱりと降り積もって来年の春まで冬景色になってくれた方が僕としても覚悟がしやすいのだけれどね。覚悟って・・・?冬に対する覚悟の事だよ。特に御主人は、僕以上の覚悟が必要だと思うよ。
12月21日 くもり
さらに・・・白鳥さん達が10数羽やって来た。我が家のたんぼではなかったけれど落ち穂などをついばんでいるようだったよ。見つけたのは御主人と夕方散歩に行った時だ。あたりは薄暗くなっている。しばらく見ていると、突然一羽が空に舞い上がったかと思うと、次々に白鳥さん達が空へ飛び上がり、ゆっくりと旋回をしながら北の方角に飛び去ったのであった。昨日の3羽の白鳥さん達は夕方になると南の空に飛んで行ったけれど、いったい何処へ行くのかなぁ・・・?眠る所は別にあるのかも知れないねぇ〜
12月20日 はれ
今日は気持ちの良い天気だった。まるで11月の初めの頃の天気のようだった。御主人達も電車で東京なんかに行かなくても、居ながらにしてこんな良い天気を満喫できるんだ。
ところで、こんな良い天気のせいなのかどうかはわからないけれど、我が家の田んぼに白鳥さん達三羽が舞い降りた。午前中に田んぼの方から鳥の声がにぎやかに聞こえてくるなと思ってはいたのだけれど、夕方散歩に行ったら田んぼの中で全身が真っ白なのが二羽、灰色のが一羽と、合計三羽の白鳥さん達がいた。きっと、南の方に飛んでいったんだけれど暑がりの白鳥さんがこらえきれなくなって北の方に戻ってきたんだろうなぁ・・・?
12月19日 あめのちはれたりくもったり
今日は、きちんと吠える事が出来たよ。何が?って、ご飯の時に「わん!」と元気良く吠えないと何度もやり直しをさせられるんだ。と、この日記に書いたので覚えている事だろうと思う。そのことなのである。今日は元気に吠える事が出来た。つまり、「いただきます」と人間が言うのと同じく、犬は「わん!」と吠えるのだ。御主人はメリハリを付ける事を大事にする。つまりは僕と同じようにマニュアル人間なのだ。僕は犬だけれど・・・・。立っている状態から、オスワリ、フセ、「タッチ!!」の号令で「わん!」と元気に吠えながらオスワリの姿勢に戻る。「よし!!」の号令で食器に口を付ける。そして食べ始める。この一連の動作にメリハリがあって、流れるように美しい動作でなければご主人は決して御飯を食べて良いとは言わない。飼い犬の辛い所ではあるけれど、僕もこのマニュアルにしたがっているのだから御主人と性格が似ているのかも知れない。そうでなければ、ご飯ほしさに飼い主に噛みついている事だろうと思う。
12月18日 あめのちくもりときどきあめ
朝、ひとしきり雨が降って、西の空に虹がたった。久しぶりの虹だったので、つい見とれてしまったよ。御主人が・・・だけれどね。今朝は、順調に朝散歩へ行って、久しぶりにおやつをもらったよ。何しろ12日の朝にもらったきりだったからね。それにしても、天気は良くないけれど暖かい日が続く。朝晩はめっきり冷えるけれど、日中は暖かい。二千メートル級の「鳥海山」は山裾まで雪をかぶってしまっているけれど、平地は雪のかけらもない・・・・最も山間地に行けば雪があるのだろうけれど、そんなに雪が積もっていると言うほどでもないらしい。日陰に雪が残っているという程度だという。雪が降れば降ったで困るし、降らなければ降らないで困る。「雪」というやつは、なんて扱いにくい代物なんだろう・・・・
12月17日 はれ
今日も良い天気だったよ!!僕の今日の予定としては、昨日と同じという事に朝起きた時に決定をした。何をするのかというと、朝目が覚めたら、御主人が朝散歩へ行こうと迎えに来て、帰ってきてからおやつをもらう。あとは夕方までお昼寝をして夕方散歩、そしてご飯をもらう。あとは犬小屋の中に入って就寝。まぁ僕の予定はこんなものなのだ。ところが、朝散歩は、現在実施中の「年末の交通安全及び防犯運動」つまりは「年末特別警戒」で御主人が出かけなければならないので「無し」、夕方は「市内パトロール」に出かけるために、少々の散歩で早々と終了。僕が朝立てた予定とはだいぶかけ離れたものになってしまった。犬は、自らの行動をマニュアル化したがる傾向にあるので、予定外の物事が発生したりすると情緒不安定になる傾向がある。飼い主は気を付けて欲しいものである。
12月16日 はれ
やっと東京から帰ってきた御主人達。生活はいつもの通りに動き始めたようだ。お母さんはお仕事に行き。御主人は、午前中は「税務講習会」とやらで、午後は「お米」の精米を頼まれているというので、それをやって、引き取りに来た人に渡したりと、それなりに変化のある一日だったよ。今日は良く晴れたので、僕は外に一日中寝ころんでいたよ。風もなく穏やかで本当に今が北国の冬なのかと思ってしまう。こんな天気が冬にあると、もうけたような気分になってしまう僕達北国の生き物たちなのであった。もちろん人間もね!!
12月15日 くもり
今日も昨日と同じなのかと思っていたら、夜になって御主人とお母さんが帰ってきたので、僕は大はしゃぎをした。まだ昨日の栄養ドリンクが聞いているらしい。僕は大はしゃぎをしながら、栄養ドリンクのカラをくわえて御主人達に見せた。御主人はあきれかえっていた。御主人達は、しばらく僕との再会に喜んでいたけれど、やがて寒いのか家に入って行ってしまった。最後に、「おまえ、2〜3日で太ったんじゃないか?」と言い残して・・・
12月14日 はれたりくもっり
だんだんと気が滅入ってくるような思いになったので、犬小屋の上にあった「犬用栄養ドリンク」(以前から在処は知っていた。)を引きずりおろして、容器を「かみかみ」しながら穴を開け、こぼれた中身をなめ回した。御主人は、その容器から数滴ほど、僕の口の中に落としてくれるのだけれど、どれぐらい呑んだらいいのかわからないので、中身を丸ごと呑んでしまった。ペロペロとなめているうちに中身が空になったと言う事だ。これを呑んだら、何だか元気が出て来たような気がする。何しろ中には「まむしエキス」、「ビタミン各種」、「ミネラル」等々が入っているのだから。と言っても犬にはどんな効果があるのかわからない。ただ、甘いというのだけがわかるだけなのであった。
12月13日
最初の内は、誰もいないというのは快適なのである。そして、僕が必要とする時間になるとおじいちゃんやおばあちゃんがやってきて御飯を食べさせてくれる。でも、・・・・あんまり遊んではくれない。たくさん遊んでくれるのは、やはり御主人である。最初の内は自由だと思っていたのだけれど、やがて、つまらなくなって犬小屋の中で一日を過ごした。
「おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな 芭蕉」って心境だね。
12月12日 くもりときどきあめ
今日は、御主人に「オスワリ」をさせられ、じっくりとお話を聞くように言われた。「今日の夜から東京へ行ってくるから、おりこうさんでお留守番を頼むぞ」というのだ。実は4月にも東京行きがあった。その時、何も聞かされていなかった僕は、御主人とお母さんが僕をおいていなくなってしまったのではないかと心配して、御飯が食べられなくなってしまったのだ。その話を御主人がおじいちゃんから聞かされていたので、今回はじっくりと僕に言い聞かせるつもりらしい。御主人は何度も何度も同じ話を繰り返す。僕が「もう良いよ」と逃げ去ろうとすると、ほっぺをギュッ!と握ってさらに話しかける。よほど僕の事が心配らしい・・・・そんなわけで、御主人は出かける寸前になって駅へ向かうためのタクシーがやってきたときも同じことをいいつづけるのであった・・・
12月11日 あめのちくもってまたあめ
ご飯の時は「犬の食事作法」通り「フセ」の姿勢から「タッチ!」の命令で「オスワリ」の姿勢になる。この時、元気な声で「わん!」と一声吠えなければならないのが、この作法の重要な点である。この声が良くないと何度もやり直しをさせられる。でも、最近の僕は冬が間近に迫っているから栄養をたくさんとらなければならないのだ。だからお腹が空いてたまらない。この一声の時も、早く御飯を食べたくて「きゃわん!」と、つい変に甲高く悲痛な声を出してしまう僕なのである。もっと、秋田犬らしく、野太く雄々しい声を出したいと思っている僕なのだが、「背に腹は替えられない」とはこの事なのである・・・のかな?
12月10日 はれ
今日はとても良い天気で暖かかった。御主人は11月上旬頃のお天気だといっていたけれど、なんにしても暖かいのは気持ちが良くて嬉しいものである。こんな日が、この後もずっと続けば嬉しいのだけれど、そんなわけに行かないのが北国の宿命である。必ず雪が降ってきて、積もり、春まで真っ白な風景ばかりを見続けていなければならないのである。仕方がないと言えばそうだが、関東地方の冬を思えば恨みに思わないわけでもない。・・・・でも、まぁ、とりあえず、この日だまりを楽しむことにしよう。
12月9日 あめがふったりやんだり
昨日今日と暖かいようだ。なぜなら雪が降らないからである。雨が降っているから暖かいのだろう。
ところで、今日は一日御主人が家にいなかったので、「お留守番」を言いつけられた。特に何も言われなくても家の見張りをするのが番犬としての勤めだけれど、言いつけられると番犬としての職務に責任感が増してくる。といっても、いつもの如く寝ころびながらのお留守番である。町内の端にある我が家に、そんなに人が来るわけでもないし、頻繁に車や人が行き来するわけではない。それがわかっているから僕はのんびりと昼寝を兼ねてお留守番をする訳なのである。まぁ、ほどほどって事だね。これが人生・・・いや、犬生をより良く過ごすことの秘訣だね。
12月8日 あめがふったりやんだり
犬は昨日のことはおろか、つい数分前までのことも記憶できない。逆に言えば、嫌なことはすぐ忘れることが出来る。でも楽しかったことも、すぐ忘れてしまうんだよね・・・・そして、御主人である。昨日のことを覚えていないのだという。午前中は何をしたかはっきり覚えているのに午後に何をしたのか覚えていないのだという。まぁ、犬よりは程度が良いけれど、「年だねぇ〜・・・」犬は子犬の頃からこんな感じだけれど、人間たちは50歳も半ばを過ぎるとこんな感じになってしまうんだろうね。もう少し年を重ねると、きっと僕達犬のように今したことを忘れてしまうようになるかもね。それはそれで幸せかも知れないよ。本人にとってはね・・・・
12月7日 ゆきのちはれたりくもったり
朝、目が覚めた時は外一面の雪景色だった。見るものすべてが白の世界である。そんな中、新雪を踏みしめて朝散歩に行ってきた。朝散歩は夕方散歩に比べると距離としては3分の1ぐらいである。少々不満はあるものの何時も朝はこの距離を歩くのであきらめてしまっている。まぁ、いずれにしても新雪を踏みしめて歩く気分は爽快で、雪国の犬ならではの楽しみである。そして、散歩が終わった後で戴くおやつもまた格別の味がする。今日は小さな乾燥肉が3枚と犬用ビスケット6枚、これは御主人からもらった。そして、お母さんからは、ウインナーソーセージの大きなものと鶏肉をもらった。二人がくれるおやつを比較すると差は歴然としている。お母さんの方が上等なものを出してくれる。なぜなら、お母さんから戴くものはすべて人間用だからである。一方の御主人と言えば「犬用おやつ」なのである。なんと言っても人間用の食べ物の方がおいしいに決まっているのである。長年飼い犬をやって来ている僕には経験としてわかるのである。
12月6日 あめのちゆき
昨日から降り続いた雨が夕方には雪に変わってしまった。「やはり、今は冬」なのである。昨日などは松尾芭蕉で有名な「象潟」という所では20度近くまで気温が上がったという。でも今は「やっぱり冬」なのだ。こうなると、吹雪だろうが小雪だろうが「天気が悪いから散歩は中止」などと御主人には言わせられない。秋田犬は雪の中を歩いてこそ秋田犬なのだ!!吹雪の中で堂々と風に顔を向けて歩けるのが秋田犬なのだ!!・・・・はっ!何を興奮しているのだろうか僕は・・・野山が雪で白くなると、なぜか心が騒いでしまう僕なのである。北国原産犬の野生の血が騒ぐのかもしれないなぁ〜
12月5日 くもりのちあめ
今日は、お昼過ぎから雨が降ってきたので「今日の夕方散歩は行かない」と御主人が僕に宣言をした。「そんなことわかるもんか!夕方になったら止むかも知れないじゃないか!!」と文句を言った。それでも中止だという。僕はお腹が立ってきたので(秋田犬は野性的ではあるが上品なので「腹(はら)」などとは言わないようにしつけられている。)、で、ひとしきり自分の尻尾を追いかけるようにぐるぐる回って唸り声を上げ、近くに落ちていたプラスチックの植木鉢をくわえて犬小屋の中に閉じこもってしまった。あとは、この日記を読んでくれている皆さんならどんなことになるかは察しが付くと思う。・・・・・・・・・そうなのである。植木鉢に噛みついたり蹴飛ばしたりして八つ当たりするのである。本当は御主人に対して、こんな事をしたいのだけれど、それは出来ない相談の飼い犬なのであった。
12月4日 はれ
今朝は、ものすごい霧だった。まるで牛乳の中にどっぷりとつかっているような気分になってしまったよ。本当に牛乳の中なら「がぶがぶ」飲み込めるんだけれどね。でも・・・犬はその肉体的構造上「ガブガブ」とは飲めないのであった。舌ですくうようにしてしか水分の補給は出来ないのである。大食いの犬には辛い構造になってしまっている。
ところで、霧の朝は晴れる。というのはお約束みたいな天気の常識である。当然、良く晴れて風もなく穏やかな一日だったよ。御主人はこの時とばかりに、し残した外の仕事を片付けようとトラックで何処かへ出かけていったようだ。僕に「お留守番頼むぞ」と言い残して・・・御主人が出かけてしまえば「飼い犬の天下」である。何をしようが勝手気ままというものである。でも、何が出来るわけでもなく、だだ寝ころんで惰眠をむさぼるだけなんだよね・・・
12月3日 くもりときどきあめ
今日は雨だったけれど暖かかった。御主人なんか厚手のシャツ一枚でお仕事をしていたからね。僕もコンクリートの床の上にふとんを敷いて丸まって寝ていたんだ。暖かいといってもさすがに床は冷える。気温は9度ぐらいだという。それでも暖かく感じられるのは風がないからである。たき火の煙がまっすぐ上に昇ってあたりへ広がっていく。晩秋の風景のようだけれど、暦の上ではもう冬なのだ。ひょっとすると、今年は暖冬なのかも知れない・・・・でも、もしそうだとすると、雪が少なくて嬉しいような寂しいような・・・北国原産の犬としては複雑な心境になってしまう今年の冬の始まりなのであった。
12月2日 はれたりくもったり
今日は、昨日にも増して良い天気だった。今日はまさに「小春日和」とも言える一日だったよ。僕は嬉しくなって外へ出て、お腹を広げてお日様へ向けて、ごろんと横になったんだ。今日は一日こんな恰好でお昼寝が出来るぞと、・・・・ところが、御主人がトラクターを洗ったり、コンバインを点検整備したりでうるさくてしょうがない。機械のエンジンがかかるたびに、僕はビクビクしていなければならない。残り少ない貴重な日射しを浴びる楽しみも御主人のおかげで台無しになってしまった。「犬の数少ない楽しみを奪うな!!」と声を大にして言いたかった今日の僕なのであった。
12月1日 はれたりくもったり
昨日の夕方から雪が降ってきたので「積もるぞ!!」と思っていたら積もらなかった。逆に小春日和とまでは言えないけれど穏やかな初冬の一日だったよ。僕なんか、お日様にお腹を向けて寝ころんだりしたんだ。御主人は肥料や農薬などの資材在庫調査をしている。何でも「決算時期」という季節になったらしい。山の動物たちは「冬ごもり時期」だし、サンタクロースは年末のクリスマスに大忙しだろうし・・・・人それぞれに、様々なせわしなさを持ち合わせているのが12月なのだろう。でも飼い犬は・・・?、「べつに・・・」、特に忙しくも何ともない時期なのであった・・・