むつ犬のおまぬけ日記
平成21年 2月
2月28日 はれ
ヤレヤレ・・・この前2月に入ったと思ったら、もう3月になると言う。暦の上では春だが、いつもの年だと実際は冬である。ところが今年は「暖冬」のせいか実際上も春なのである。白鳥さん達も南に行ったり北へ行ったりと様々な群れが見受けられる。白鳥さん達の動きが活発になったという事は春の兆しに相違ないのだろう。犬も毎日のように外に出て寝ころべるのも春の兆しである。このあと、なんどか雪が降る事があるかも知れないけれど、でも「もう春だ!!」・・・・・と、思っても良いよね?

2月27日 はれ
今日は、とても良い天気だった。羽虫は家の廻りを飛び回り、カラスは北西の空へ大群を組んで飛び去り、白鳥さん達は南の空へ飛び去っていく。でも、夏や秋頃に、あんなに騒ぎ廻っていたスズメどもが姿を見せない。きっと、ここら辺は餌が少ないのでどこかで餌あさりをしているのだろう。僕は餌の心配がいらないので、一日中外で寝ころんでいた。ところが・・・・家の御主人が、とうとう動き始めたのだ。「眠れる龍が目覚めた」というか「雌伏3ヶ月の虎が立ち上がった」というのか、とにかく春作業の準備をしなければならないというので作業小屋の機械や道具の入れ替えを始めてしまったのだ。おかげで僕は暖かいお日様の下で、のんびりとお腹を広げてお昼寝をしているわけにはいかなくなってしまったのである。実に飼い犬迷惑な御主人の行動なのであった・・・・でも、午後にお買い物に行った御主人は、僕のおやつを買って来てくれたんだ!!!

2月26日 うすぐもりのちしょうしょうゆき
今日は薄日が射したものの、寒い一日だった。午後からは雪がチラチラと降ってくる。午前中はうっかりと外へ出て寝ころんでみたけれど、しばらく経つと寒くなってくる。もうすぐ三月「春は名のみの風の寒さや〜」と歌い出したくなるような今日一日だったよ。ところで、僕は今日で3日間、御主人から世話をしてもらえなかった。一日中いなかったり午後からいなくなったりと御主人も忙しそうだった。僕は飼い犬なので表だっては文句を言えない立場である。それでも、心の中では寂しさと同時に腹立たしさもあった3日間なのであった・・・・

2月25日 あめ
今日のご飯は夜の9時になってしまった。御主人は、朝から役員会だ、監査だ、農協の座談会、二つの総会と忙しそうである。だから僕に「お留守番!!」といって出かけて行ってしまった。そのまま・・・・・12時間、僕は1頭で我が家の治安を冬太りした身体で維持し続けたのであった。御主人が帰ってきた時は、それはそれは喜んだ。えっ?、いや僕がである。昨日はご飯をもらってしまっていたので、御主人には用がなかったので素っ気なかったけれど、今日は、御主人の足音が聞こえると、犬小屋を飛び出して、狂ったように御主人の廻りをはね回った。御主人も、僕のご飯が遅くなって申し訳ないと思ったのか、帰る早々ご飯を作って持ってきてくれた。いつものご飯だったけれど、この上に一品、「申し訳ない」という気持ちが込められた食べ物でも入っていたら、飼い犬に誠意を表せるものをと思わずにはいられない今日の僕なのであった。

2月24日 はれのちあめ
今日は御主人が午前中から秋田と言う所へ出かけていった。「講習会」とやらがあるのだという。自動車で行った方が早いのに、御主人は電車で行くという。電車が好きなのである・・・・わざわざ駅まで20分も歩いて列車に乗り、秋田の駅からわざわざ20分も歩いて講習会場まで行って、帰りも、その繰り返しなのである。片道48分ほどの列車に乗るために、こんな事をするなんて、普段から「無精者」で「面倒くさがり屋」の御主人としては考えられない事である。まぁ、ご飯を上のお兄さんにもらってしまった僕としては、どうでも良い事だけれどね。19時頃帰ってきた御主人は僕のところへ「ただいま帰りました」と報告に来たけれど、僕は犬小屋からでなかった。でも、あまりしつこく「出てこい」と言われたものだから、仕方なく出ていった。ご飯を食べ終わった僕としては、御主人に特別な用はない。こんな風に外犬の飼い犬は、割合実利的なものなのである・・・・

2月23日 くもりのちはれ
晴れと言うより「薄曇り」といった方がよいのかも知れない。何となく春めいて花曇りのような天気だ。気温もそんなに高くはないけれど、空気に暖かさが感じられる。でも、犬小屋の外へ出て寝ころぶほどではなかったので、相変わらず犬小屋の中にいる。時々、寝ているのも退屈なので起き出してきては、プラスチックの植木鉢にじゃれてみたりする。このおもちゃを相手に遊んでいると、野生の本能を呼び覚ます訓練にもなるし、大層おもしろい。犬の世界の「優良玩具」に指定したいほどである。特許を取ってお金持ちになって、「犬用ビーフジャーキー」をお腹が痛くなるまで食べたいと本気に考えてしまっている僕なのである。

2月22日 くもりのちあめ
「朝はツルツル、日中はベトベト・・・」といった地面の状態だった。朝散歩の時にお日様が東の里山から、ちらりと顔をのぞかせたのだけれど、すぐに雲に覆われて見えなくなってしまった。道路は冷え込んでツルツルと滑るような状態だった。僕も御主人も滑って転ばないようにおっかなびっくりという状態で歩いたのだった。そして、朝散歩から帰っておやつをもらい、のんびりと犬小屋の中で過ごしていると風が強まって雨が降り出してきた。夕方散歩も雨が降っているので家の廻りを一周しただけで終わりとなってしまった。チワワやチンぐらいの犬だったら、これぐらいでも良い運動量かも知れないけれど、秋田犬にとっては、逆にストレスがたまってしまう。でも、まぁ・・・散歩に行けたと思えば行けないよりはマシかなって思った。物事を「ぽじてぶ」って言うのかなぁ?・・・そんな風に物事を考えるのも自分の心にとっては良い事だよね。同じ物事を考えるにしても良い方に考える方が気が楽になるよね。でもあまりに良い方に考えすぎると「犬がよい犬」・・・あっ!人間の言い回しだと「あまりにも人が良い人」という言い方になるね。まぁ、いずれにしても中庸が一番という事になる。「過ぎたるは及ばざるがごとし」とも言うのかな・・・?

2月21日 ふぶき
昨日の夜から今朝にかけて、ひどい吹雪だった。真冬である。そこで御主人に言われた事を思いだした。「2月の古語は如月(きらさぎ)なのだ」とご主人は言う。1年の内で2月は最も寒いから、語源としては、着物をさらに重ね着するからと言う説があるのだとも言う。なるほどと思った。今年は暖冬らしかったので少し前の暖かさで「春」が来たと思いこんでしまっていたけれど、まさに2月は真冬だったのだと納得した次第である。そんな事を一日中吹雪の外とは打って違って、静寂な犬小屋の中で、こんな事を思う僕なのであった。

2月20日 みぞれのようなものが・・・
今日は朝から雨ともミゾレともつかないようなものが、細々と降り続いた。気温は昨日より暖かいようだけれど、「春だ、春だ」と浮かれ騒ぐほどでもない・・・今日の御主人は何事もなく、平和な一日だったので僕は安心して犬小屋の中でお昼寝をしたのだった。御主人に何か、つまり会議や飲み方等が発生すると何時も僕に影響がある。何もないと、僕の世話は義務からか愛犬可愛さからか知らないけれど、一通りやってくれる。御主人にとっても何もない日は、ゆっくりお仕事も出来るし、好きな事も出来るので、安心して過ごせる一日になる。僕と御主人は、主従ともに今日は安心して一日を過ごしたのであった。もちろん、朝散歩、夕方散歩、身体ナデナデ、ごはん、と世話をしてもらったよ。でも、僕の世話と言ってもこんな事位なんだよね・・・

2月19日 はれのちくもり
午前中は晴れて、薄く地面の上に積もった雪がまぶしく感じられた。久しぶりに雪の上に寝そべってみたよ。案外気持ちの良いものだ。若い時は何時もこんな事をしていたのだけれど、歳を取ると寒さが身にしみる。と、言うわけで、今日は、とてつもなく退屈でいつもと変わらない平和な一日だったんだよ。あっ!!夕方になって御主人がどこかへ出かけていったのだけれど、僕は散歩には行けず、ご飯をもらう事が出来なかった。やっと帰ってきた時は、いつもの食事時間から2時間も遅れてしまっていたんだ。変わった事と言えば、こんな事ぐらいかな?

2月18日 ゆきがふったりやんだり
昨日の夕方は、僕にご飯を与えてから御主人がどこかへ出かけていった。でも「大盛りのご飯」をもらったものだから食べきる事が出来なかった。やがて帰ってきた御主人を出迎えたのだけれど、御主人は僕のご飯が余っていると、すぐ捨ててしまう。それがわかっているので、僕は御主人に「お帰り」の挨拶をいう前に、すぐさま食器に顔をつっこんだのだった。捨てられるともったいないからね。それでも食べきれなかったので今朝まで残ってしまったのだ。一晩たてば、僕も元の「腹ペコ犬」に戻る。余った御飯を食べようと食器に向かったのだけれど、ご飯が凍ってしまっている。それでも、「背に腹は替えられない」というように、僕は食べきってしまったのだった。まさに、「食欲の力恐るべし!!」の僕なのであった。

2月17日 ゆき
朝、犬小屋を出ると昨日よりは少ないけれど、また雪が降り積もっている。北国の犬の血が騒ぐのか、雪の上を狂ったように駆け回ってしまった。これを見た御主人は「朝散歩に行かなくても舌をハァハァとさせている」といって、散歩に連れて行ってくれなかった。その替わり、朝からトラクターで除雪をし始めたのである。真っ白で白砂糖のように乾いた雪がどんどん積み上げられていく、僕はその雪の上にオシッコをかけて廻った。もちろん「新たなる結界」を作るためだ。「結界」とは一般的な言い方だけれど、犬の言葉で言えば「縄張り」つまり、自分が行動する場所及び地域をオシッコで匂いをつけ、他の犬や動物たちに近づかないように周知させる。僕は、この行為を除雪するたびに行っている。こんな事をしたからと言って、他の動物が侵入して来るとも思えないけれど、北国の犬の習性だと思ってもらえればよい。それに、外犬の牡だしね・・・・(注・外犬とは家の外で飼われている犬の事を言う。ちなみに家の中で飼われているのを家犬という)

2月16日 ふぶき
「小さな犬小屋の垂れ幕を抜けると、そこは雪国だった。何もかも真っ白に染め上げられて、牛乳の中をおよいでいるようだった・・・」
えっへへへぇ〜・・・・どうやら「春だ、春だ!!」と浮かれ過ぎたツケが今朝になって回ってきたようである。雪は僕のお仲間で積もっていて、猛烈なふぶき・・・御主人のお話に寄れば「暴風雪警報」とやらが出されているらしい。それは何だか、僕は犬なのでわからないけれど、とにかく大変な事らしい。午前中はふぶきで除雪も出来ず、午後から吹雪は相変わらずだけれど、時々お日様も顔を出したりし始めたので、御主人はトラクターで除雪を始めたんだ。そんなわけで、一日中犬小屋の中にいた僕なのであった。もちろん、朝夕の散歩もなしなのだった・・・・

2月15日 あめのちゆき
久しぶりに雪が降った。日中の雨が夕方散歩に行く頃になって雪に変わったのだ。僕は夕方になったので、御主人が家から出てくるまで外で「伏せ」の恰好をして座っていた。すると、何だか風景がぼんやりとかすむように見え始めたので、霧でも出たのかと思ってよく見たら、細かい雪が降り始めていたのだ。それがだんだん大きな塊の雪に変わり、ふわふわと僕の身体に降り積もる。降り積もるといっても雪で白犬になるほどでもなかったよ。こうして僕達の夕方散歩は雪でかすむ幻想的な風景の中を行ってきたんだよ。

2月14日 あめ
今日は「バレンタインデー」であると言う事よりも「気温が14度にもなった」という事の方が犬にとっては話題性がある。「バレンタインデー」というのはなんの事なのか知らないけれど、今日の気温で梅の花の開花が幾分早まるだろうという事は予想が付く。「バレンタインデー」に何かをもらう事が出来るという予想的中確率よりは、はるかに高い数値を示している。「バレンタインデー」という日の周知度より、「気温が高い」という事の方が、体感的に確実に実感できる。等々と、比較検討学的に「バレンタインデー」と「季節はずれの気温の高さ」を検証してみた。どうせ飼い犬なんかに、何かのプレゼントなんてありえないからね・・・・・ふんっ!!

2月13日 くもりのちあめ
今日は午後から御主人がお出かけしたので、僕の夕方散歩とご飯は無し・・・と言う事になってしまった。幸い、お母さんが遅かったけれど帰ってきたので、お腹が空いて目が回りそうな寸前でなんとか助かった。そして、行く時は曇っていた空から雨が激しく降ってきて、僕がご飯を食べ終えた頃、土砂降りになってしまったのであった。そんな中を御主人はずぶ濡れになりながら帰ってきたのであった。この、御主人の有様は、僕の散歩とご飯をないがしろにした「天罰」なのは明白なのであった。

2月12日 はれたりくもったり
「はぁるのぉ〜、うらぁらぁのぉぉぉ〜・・・」と歌い出したくなるような天気が続く。ただ、飼い犬は「伴奏」がないと歌えない性質を持っている。たいがいは緊急車(パトロールカー、消防車など)とか、公共で流す時報の音などである。僕の場合は市役所で流す「時報オルゴール」に合わせて歌っている。野生の犬たちは合唱したり、月に向かって独唱したりする。独唱の場合は、飼い犬の独唱と違ってアカペラで歌う。谷の崖の上で歌ったらビブラートが効いて、とても美しく聞こえる事だろう。市役所の時報が、もう少し長く続いたら隣近所はおろか町内中に僕の美声を響かせる事が出来るのだけれどなぁ〜・・・

2月11日 はれ
やっぱり、今日も「春」だった。野山に積もった雪も、すっかり消えて除雪で積み重ねた雪や吹きだまった雪が残るだけとなった。この暖かさで、たくさんの羽虫が家の廻りを飛び交っている。今年は平年の季節が1ヵ月も進んだような状態なのである。それに合わせて、昨日にお話ししたように白鳥さん達の動きも活発になっている。今日も、夕方散歩に出かけると田んぼに100羽近くの白鳥さん達が群れていた。僕達が近づくと、それをさけるように、ゆっくりと歩いて遠くへ移動していく。警戒されているのがわかる。そして、僕達が白鳥さん達から離れると、それを待っていたかのように一斉に飛び立ち、南西の空へ消え去ったのであった。その方向には、厚く雪の衣をまとった2千メートル級の鳥海山がそびえ立ち、白鳥さん達を迎え入れるかのように厳然たる姿を見せていた。それは、それは美しい光景を見せてもらったのであった・・・

2月10日 はれたりくもったり
毎日、春である。春になったから毎日春なのは当たり前だけれど、まだ冬なのに春なのである。僕は犬だから、こんな複雑な言い回しは理解できないのだけれど、御主人がそういうのだからそういう事にしておこうと思う。
ところで、夕方散歩の時に白鳥さん達の群れが南西の方角へ飛んでいったんだよ。最初は1羽、次が6羽、三番目が12羽ぐらい。最後が2羽である。春になったから北へ帰って行くのならわかるけれど、南へ飛び去っていったのがわからない。もしかすると南の方に大きな群れになるための集合地点があるのかも知れないね。
そこで一句浮かんだよ。

「白鳥の 南へ飛び去る 余寒かな・・・・・禄食 」

2月9日 はれのちくもり
「犬小屋の防寒シートをめくって外に出ると、そこは「春」だった。夜の底が薄い水色に染まり始めたと思ったら、橙色の色が淡く混じり、それが色濃くなってお日様が顔を出した。お日様の光があまねく野山を照らす。やはり外は春だった。空気が柔らかく感じられる。僕は、「ごろん」と横たわり、お日様に腹を広げたのだった・・・・・」
あっ、これって小説なんだよ。「雪国から」という題名で小説を書いているんだ。人間の世界では「雪国」という有名な小説があるけれど、僕のはその小説を超えた題名である「雪国から」なのだ。「雪国から春へ」という題名にしたかったのだけれど、長すぎると御主人に言われたので切り取ってしまったよ。人間の世界では「芥川賞」という立派に賞があるらしいけれど、犬の世界には「塵芥皮賞」といって、取るに足らない賞なんだけれど、それなりに知られている。ちなみにこの賞は「チリアクタガワショウ」と読む・・・・・日刊犬新聞の連載を目指して、この賞を目標に書いているんだよ。。えっ?どんな展開になるのかって?、そんな事は書いている僕自身も知らない事なんだ。なんと言っても、犬は今日を無事に過ごせればよいという性質だからね。

2月8日 ふうせつ・・・
今日は本当の冬だった。「本当の冬」という言い方はおかしいと思うけれど、今まで冬らしくない暖かさが続いたのだから、今日は「本当の冬」なのだ。今までは「春」の夢を見ていたのだと思っている。やっと目が覚めて現実に戻ったという事なのだろう。ところで、今日は御主人の誕生日である。何歳になったのかは知らないけれど、犬の想像を遙かに超える年齢なのだと思う。でも、これだけは僕も知っている。御主人と僕とは同じ年代なのだ。最も、犬の年齢を人間の年齢に換算すればの話だけれどね。今日の厳しい寒さは、寒いのが極度に苦手な御主人に対して、何よりの誕生日プレゼントだったに違いない!!!

2月7日 はれのちゆきがちらちら、みぞれもね
午前中は晴れて僕も外で寝ころんでいたのだけれど、午後からは雪のような雨のようなものが空から降ってきて、犬小屋の中に引っ込んでしまったよ。昨日は冬だったし、今日は、天気は悪かったけれど春先のような陽気。これが「三寒四温」なのかも知れない。後3週間もすれば3月。暦の上では春になるのだから。アスファルトの上でお昼寝をしながら「フライパン上でホットドックになる夢」を見た夏の日が懐かしい。・・・・・・・

2月6日 くもりときどきゆき
平年並みの冬に逆戻りの一日だったよ。雪はチラチラとしか降らなかったけれどね。ところで、今日の夕方散歩は珍しい出会いがあったんだ。御主人の叔父さんの飼い犬と遭遇したんだよ。今日は叔母さんと散歩。僕を見つけて夢中になり、その勢いで思わず散歩紐を叔母さんが離してしまい、1頭で僕に近寄ってきた。でも、お恥ずかしい事に僕は近づいたのにぜんぜん気が付かなかったんだ。いつの間にか僕の後ろに回って、お尻の匂いを嗅いでいたという訳なんだ。その間、僕は何をしていたのかというと、雪の上に残された楽しそうな匂いを嗅ぐのに夢中で、まったく気付かなかったんだよ。やっと気付いた時は、すでに叔母さんのところへ戻っていた。しかも、僕が出来ない芸までして見せたのだ。落ちた散歩紐を自分でくわえて、叔母さんに手渡したのだ。悔しいけれど、これは僕には出来ない。自分が情けなくなってきたので、少し強がってうなって見せた。「よその犬が自分に近づいたのも気付かない。」、「散歩紐の手渡し」、いやぁ〜久々に「おまぬけ犬」の面目躍如?といった今日の僕なのであった・・・
はぁ〜・・・

2月5日 うすぐもり
今日は雲があったけれど、その雲を通してお日様の光が地上を照らしたんだ。薄日が射すとでも言うのだろうか。一日中、とても温かくて御主人のお話によると7度ぐらいまで気温が上がったらしい。僕は時々外に出て寝ころんでみたよ。地面はこの所の陽気ですっかり乾いている。穏やかな気持ちの良い一日だったよ。御主人などは「シャンプーできる日も近いな」という・・・・何しろ僕の身体は、散歩で泥んこ道を歩くおかげで、すっかり汚れてしまっているのだ。見た目はそんなでもないけれど、例年であれば5月頃に初シャンプーをするのだけれど、シャンプーすると真っ黒な水が身体から流れ落ちてくる。早くしたいような、したくないような・・・複雑な心境である。ちなみに、僕のシャンプー実施気温は20度なのである・・・(特に根拠はない。御主人が暖かいなと感じる気温らしいのである。)

2月4日 くもりいちじあめ
この所、春らしい天気が続いている。特に暖かいわけではないけれど、空気の匂いがそれとなく春のように感じられるのだ。関東では梅の花も開きそうな季節なのであるが、北国では雪の花が今を盛りとばかり咲き誇っている。散歩に行くとお腹は泥んこになってしまうし、朝方は飲み水が凍ってしまうし、御主人はあまり遊んでくれないし、・・・・等々、熊狩り犬だった秋田犬の御先祖達のように冬山の雪をかき分けながら歩き、熊を探し回りたいものだと、冬の退屈を持てあましている飼い犬である僕なのであった。

2月3日 くもり
今日は「節分」、豆をまいて厄をはらう日なのだと言うけれど、犬にはなんの関係もない。豆は年の数だけ食べるという風習もあるけれど、犬は豆を食べない・・・・食べるかも知れないけれど常食としていないから特に食べたいとも思わない。と、言うわけでね今日は「節分」という人間世界では特別な行事が行われる日ではあるのだけれど、いつもと変わらぬ平々凡々とした一日なのであった・・・

2月2日 くもりいちじゆき
今日は、御主人が僕を繋ぐためのロープを買ってきてくれた。何しろ、僕を繋いでいるロープは長いのでアスファルトの地面を引きずりながら移動しなければならないのだ。だからすり切れる。すり切れてブサブサになったロープは危ない!何が危ないかと言えば、最後にはロープが切れて僕は自由の天地へ旅立ってしまうからだ。つまり、御主人の立場から言えば「逃亡」になる。そのために定期的に御主人はロープを買ってくる。いつもだと10メートルぐらいのものを買ってくるのだけれど、今回は何を思ったのか20メートルのものを買ってきた。でも、長すぎた・・・・犬小屋から家の玄関まではだいぶ離れている。それがこの紐だと「こんにちは」と玄関に入って行けてしまうぐらい長い・・・これでは、我が家にお客さんがやってきた時などは大変な事になるので、ロープは半分に切って使う事になったのだった。それでも、今まで附けていたぼろぼろのロープよりは長い。何しろぼろぼろになった部分を所々切ってつなぎ合わせて使っていたので、だんだん短くなっていくんだよね。その分、僕の行動範囲も狭くなっていくって言う訳なんだ。これからは、少しだけ動ける範囲が広がってうれしいよ。でも心配なのは庭木や柱に絡まる可能性が高くなってしまうって事なんだ。せっかく「おりこう犬」になったのに「おまぬけ犬」に戻ってしまうかもね・・・・それを喜ぶのは御主人だけだけれどね。何しろ、この日記のネタ探しに苦労しているようだから・・・・・

2月1日 くもりのちゆき
とうとう、二月になってしまった。・・・・なってしまったというのもおかしい話なのだけれど、今年の冬は、暖かい地方の人が北国にやってきて「雪国体験ツアー」に参加したような変に物足りないような冬になってしまったような気がする。暖かくなったり寒くなったりと変にめまぐるしい。平年であれば海に近い僕達の地域は、強い北西の風にあおられて雪が斜めから降ってきて、それが渦を巻きながら東の方角に移動していく、そして「キリリン」と冷え込んだ「凛(リン)」とした厳しさがあるはずなのだ。ところが、今年は・・・・半端なお笑い芸人が高座や舞台に出て来て、ただおもしろい事を言っているだけの気の抜けた芸を見ているような感じである。「冬って、こんなものじゃない!!」まだまだ、二月の初めで、これから本当に冬らしい日が来るかも知れないけれど、猛三〇日も経つと春がやってきてしまう。待っていられないのだ。そのためには「本当の冬を待ちわびる会」というのを犬達で立ち上げるしかないのかも知れない。会員になれるのは「北国原産」の犬だけだからね。