平成21年 4月
4月30日 はれ
早いものである。もう4月が終わりなのである。4月の始めに御主人達が東京へ行って僕にお土産も買ってこないで帰ってきた。町内の神社のお祭りでやって来た獅子にビクビクしたあの日。種蒔きの日におやつを盗んで叱られた懐かしい思い出。狂犬病の予防注射で秋田犬の尊厳を他の犬に見せつけた誇らしい日。色々な事があった4月だった。これから5月になるのだけれど、その始めは、やっぱり、何時シャンプーされるかビクビクしながら日々を過ごす毎日が待っているんだろうなぁ〜・・・・・・・
4月29日 はれ
今日は「昭和の日」なのだという。昭和というと平成の前の元号なのだそうだけれど、僕は知らない。僕の先代である秋田犬のまるさんも昭和は知らない。まるさんは平成元年生まれなのだ。ちなみに僕は平成12年生まれなのだ。まぁ・・・そんな事はどうでも良いのだけれど、今日はお休みだと言うのに御主人は田んぼの協同作業で出かけていったし、お母さんもどこかへ出かけていった。お兄さんもお仕事である。「黄金週間」の始まりの日だというのに、僕は朝から番犬のお仕事で汗を流さなければいけない事になった。はぁぁぁ〜、番犬というのも大変な商売である。お日様に温められて熱くなったアスファルトの地面に寝っ転がりながら、今日一日中、番犬のお仕事にいそしんだ僕なのであった。
4月28日 あめのちはれ
やっと、晴れた。毎日毎日、散歩へ行くたびに自慢の白いお腹が泥んこになってしまうので嫌になっていた所だ。今朝は雨が降っていたので散歩から帰ってきたらお腹がどろどろになっていた。これでは秋田犬の品格が台無しになってしまう。夕方はすっきりと晴れたので、真っ白なお腹を見せる事が出来た。・・・・見せる事が出来たと言っても御主人にだけだけれどね。それに・・・・真っ白なお腹と言っても実は真っ白ではないんだ・・・去年の秋にシャンプーをしたっきり、僕の身体は汚れっぱなしなのである。5月になったらシャンプーしてもらえると思うけれど、それまでは、秋田犬とは認めてもらえない、単なる汚い「汚れ犬」なのである。早くシャンプーしてもらいたい気持ちが半分、したくない気持ちが半分(水浴びは基本的に嫌いなのである)。まるで、青春の中で心が様々に揺れ動く乙女・・・・イヤイヤ、僕は牡だから少年のような心持ちの今日この頃なのであった・・・・
4月27日 あめがふったりやんだり
近頃は天気があまり良くない。青森や北海道では雪が降ったと言うけれど、今頃の季節だとそんなに珍しい事ではない。僕達の地方でも、桜の花に雪が降り積もったという事は過去にある。ここ秋田でも山沿いの地域では昨日から今日にかけて雪なり、みぞれが降ったに違いない。僕は犬だから、そんな事はどうでも良いのだけれど、19日に種蒔きしたお米の苗がやっと芽を出したので、御主人が水をかけたりしている。それでも、いつもよりは遅れているという。はぁぁ〜、食い意地の張った飼い犬としては、なんとしても秋にはおいしいお米を食べたい!!肉体的な農作業のお手伝いは出来ないけれど、精神的労働で一所懸命に応援している忠犬ハチ公ならぬ、忠犬ムツ公の僕なのであった。
4月26日 あめ
今日が僕達の市の「観桜会」最終日だったのだけれど桜はたいがい散ってしまったので、今日予定されていた御主人の交通警備は無しという事になった。それで、雨も降っているので御主人は朝からのんびりしている。僕の朝散歩も、いつもの時間より遅いし、夕方散歩はいつもの時間より早い。つまり、朝はゆっくり新聞を読んだりパソコンをいじったりして、夕方は早めに義務である犬の散歩を終わらせて自分自身がゆっくりしたいのである。僕に合わせた散歩ではなくて飼い主に合わせた散歩時間だったのである。まぁ、それはともかく。今日こそは御主人が「雨男」であると確信するに到った次第だ。朝散歩に出かけると、途中で雨が降ってきた・・・・夕方散歩に出かけると途中で雨が降ってきた。こんな風に御主人が出かけたとたんに雨が降ってくる。御主人が「雨男」であることに間違いはない!!・・・えっ?、おまえも一緒に行っているのだから、おまえは「雨犬」じゃないのかって・・・・そんな事は今まで考えた事もなかった。・・・・・雨降りはみんな御主人のせいなのだ・・・、と信じ込みたい飼い犬の僕なのであった。
4月25日 くもりのちあめ
寒いのである。一日中犬小屋暮らしなのである。この前の日曜日に種蒔きしたお米も寒いと言ってなかなか成長してくれないと御主人が言っている。僕は寒いからと言って成長が止まるわけではないし、もう中高年になって、今更成長でもない。まぁ、それは御主人にも言える事だけれど、将来があるお米の生長は気になる所なのである。僕達の地方よりもっと北の方や、山奥では雪も降りそうな気配である。桜は早々に散り果てになってしまったけれど、寒気はいっこうに終わってはくれない今日この頃なのであった。
4月24日 はれ
やっと晴れた。御主人は外でお仕事、僕は外でお昼寝。しばらく地面に横たわっていると暑くなって、僕は田植機の下に入った。田植機やトラクターの下はひんやりして気持ちがよいのだ。御主人は、そんなに暑くないと言いながらもお仕事をしているせいか汗をかいている。ところで、夕方までお仕事をしていた御主人なのだったが、又どこかへ出かけて行ってしまった。おかげで僕は散歩に行けなかったし、ご飯ももらい損ねる所だった。お母さんは暗くなって帰ってきたのだけれど、僕にご飯をくれる来もないらしく家から出てこない。やっと帰ってきた御主人に、僕はすがるようにまとわりついて「ご飯をくれ」と要求した。もちろん犬は肉体的な構造と知能的な構造上、人間の言葉は話せない事になっているので、行動で意思表示をしたのだった。そして、ややしばらくして僕はやっとご飯をもらう事が出来たのだった。いつもの日常的な光景なのであった・・・・・・・・
4月23日 あめがふっているようなふらないような・・・・
今日は僕の性格みたいな天気の一日だった。雨が降っているようで降っていない。降るような降らないような・・・・「優柔不断」な天気である。自分自身を見ているようで気持ちが悪い。しかも寒い!!何でも「弱い冬型」の気圧配置なのだという。御主人なんかハウスの中でも防寒着を着たまま動いているんだ。中は15度だって!!でも風がないだけ暖かいのかも知れない。桜の花びらが乱舞して、そこここに散っている。僕は、犬小屋の中の一日だったよ。時々、犬小屋の中に桜の花びらが迷い込んできて、風雅だったねぇ〜、お茶でも一服点ててもらいたい気分だったよ。でも、僕って犬だから〜・・・・・・・
4月22日 くもり
今日は雨が降ってみたり、曇ってみたり、晴れてみたりと、めまぐるしくお天気が変わった。種蒔きが終わってビニールハウスに並べられたお米の苗になるはずの箱達が暑いといっている。いやいや、暑いのじゃなくて、熱いのだ。ビニールハウスを換気もしないで置くと、40度から50度、時には60度ぐらいになってしまう事もある。こんな状態では、蒔かれた種も焼けてしまうか窒息してしまうかどちらかになってしまう。御主人も40度ぐらいのビールハウスの中だったらなんとか我慢が出来ると言っている。それ以上だったら数分は持たないだろうとも言う。いくら暑いのに強くて寒いのが苦手な御主人でも、どうにもならないだろう。(閑話休題・・・だから御主人はサウナ風呂は入らないという)。ましてや犬である僕なんか、こんなところに入ったら、たちまちホットドッグになってしまうだろう。これからの季節は温度管理には絶対に手を抜けない時期が続くのである。犬の僕には何も出来ないけれど、頑張ってね。御主人!!
4月21日 くもりときどきあめ
今日は一日降ったり止んだりと暖かい雨が降った。風もそれなりにあったので、桜の花びらも風にのって僕のところへ飛んでくる。「散りそめし 薄紅(うすくれない)の 花の色」ってところかな?・・・・ところで、今日の御主人は午後から雨の中、首に布をぶら下げて良い洋服を着て出かけていった。何処へ行くとも言わなかったけれど、夕方になっても帰ってこなかったので僕は大変迷惑をした。暗くなってしばらくしたらお母さんが帰ってきたので、ようやくご飯をもらう事が出来た。と、言う訳なので僕は夜になって帰ってきた御主人を出迎えもしなかったのだった・・・・
4月20日 はれのちくもり
昨日は恥ずかしいので公表しなかったニュースがある。どうにか平謝りに謝って示談にしてもらい。事件としては扱わない事になった。「おやつ窃盗事件」がそれである。家族みんなが「種蒔き」に一生懸命に働いている隙を見計らって、おやつが入っているカゴにこっそりと忍び寄り、まだ封を切っていないスナック菓子をくわえて逃走した。そして、誰も見ていない所で袋を口で引き裂いて中身を食べようとしたのだけれど、袋の中に、又袋がある。それをさらに食い破ろうと悪戦苦闘していた時に家族に発見され、追い回されて「御用」となってしまった訳なんだ。はぁぁぁ〜、あの袋が二重になっていなければ、僕は中身のお菓子を食べる事が出来たのに・・・・・ちなみに僕は人間の字が読めないので、盗んだのがどんなお菓子だったのか御主人に教えてもらった。それは・・・・「青森産ニンニクせんべい」と言う名前なのであった・・・・犬はたぶん食べられないお菓子なのであった・・・・
4月19日 はれ
今日は我が家の種蒔きの日(お米の)である。ある意味で行事となっているので、うどんやおにぎりを用意したり、お菓子などのおやつを用意したりして事に望む。僕はそれが楽しみで毎年お手伝いをしているのだ。でも、犬は肉体的な構造上、人間のするような肉体労働は出来ない事になっている。だから頭脳労働をもっぱら担当する事になる。みんなちゃんと働いているかを確認して、土や種はとぎれないように追加するように促し、そして、我が家の敷地内に怪しいものや物体が侵入しないかを監視したりする。時には、怪しいものが現れた場合、怪しいものを油断させる為に地面の上に寝転がり寝たふりをしたりする(本当に寝込んでしまう事もある)。これでなかなか八面六臂の仕事をしなければならないので疲れる。今日の場合、去年までだと、大層なおやつをもらうのだけれど、今日はおじいちゃんとおばあちゃんが、午後から「老人クラブ」の花見があるというのでいなくなってしまった。それで、おやつはバター&ジャムトーストをもらっただけだった。それも、パンの耳の部分だけ、かすかにバターとジャムは付いているものの、いつもの年から比べたら実入りの少ないお手伝いなのであった。・・・・・・・
4月18日 はれ
毎日のように風が冷たい。お日様は春の日射しなのに・・・・「花冷え」とでも言うのだろうか?さて、15日から始まった「観桜会」いわゆる「花見」である。城跡である「鶴舞公園」でにぎやかに行われている。昔ほどにぎやかではないとご主人は言うけれど、我が家から2.6キロメートルほど離れた公園の音が風のまにまに聞こえてくる。午後から御主人は「観桜会」の交通警備」に出かけていった。でも、待てども待てども御主人は帰ってこない。お母さんは帰ってきたけれど、散歩に連れて行ってもらえそうもないし、ご飯ももらえそうにない。あとは御主人だけが便りである。お日様が沈む頃になって、やっと御主人が帰ってきた。「今まで何をしていたんだ!!」と唸り声を上げながら聞くと、公園内の桜を歩きながら見物してきたのだという。「お花見だんごでも買おうかと思ったけれど、みんな売り切れだった」という。「花より団子」とはこのことである。犬の世界では「花より餌」である。とにかく、僕は世話係の御主人がいないと生きていけない。御主人には、僕の世話係として、もっと自覚を持ってもらいたいものだと思う今日この頃なのであった。
4月17日 はれ
今日は御主人のお手伝いをする事が出来た。飼い犬にとって飼い主の役に立つという事は至上の喜びなのである。それをする事によって、優しい言葉をかけてもらえる。身体をなでてもらえる。などという事が喜びであると同時に生き甲斐でもある。このように犬というものは飼い主あっての存在なのである。猫型タイプの御主人と犬型タイプの飼い犬・・・・?と言うのも変だけれど、お互い違った性質なので主従関係がうまくあっているのかも知れない。でも・・・・どちらかと言えば、猫型タイプの飼い犬なんだよね、僕って・・・・所で、なんのお手伝いをしたのかというと、田んぼにトラックを取りに行くのに付き合っただけなんだよね。ほら、トラクターとトラックを田んぼに持って行っているので、トラクターを内に持って帰ると、トラックだけが田んぼに置き去りにされてしまう。それで歩いてトラックを取りに行かなくちゃ行けないんだ。それに付き合わされただけなんだ。あっ、そんな言い方は禁句だね。お手伝いさせて頂きました。と公式上は言っておこうと思う僕なのであった・・・
4月16日 あめのちはれ
朝の内は雨が降っていたのだけれど、午後からはすっきりとは行かないまでもお日様が顔を出した。だけど、寒い!!外に寝転がっていられるような状態ではない。地面も濡れているので仕方なく犬小屋の中に入っていた。南西側の桜も花を開き始めた。北東の桜はもうすぐ満開になりそうである。同じ敷地内なのになぜこんなに咲き方が違うのだろうかと不思議である。とにかく、僕達の住んでいる所は「春真っ盛り!!」といった状態なのだ。椿、水仙、レンギョウ、梅、桜、ええっと?・・・それから、それから、もうとにかく春に咲く花はすべて咲き誇っていると言っても過言ではない。暖かい地方では、徐々に種類別の花が咲いていくけれど、ここでは、百花繚乱という言葉がふさわしい。絢爛豪華なのである。冬に押さえつけられていた自然の力が一気に爆発するような感じである。これはこれで楽しい。こんな風に、犬も長く人間に飼われていると「花鳥風月」を愛でる心が芽生えてくる僕なのであった・・・・
4月15日 あめのちくもり
久し振りの雨である。畑も野山も、すっかり潤ったような気がする。でも、気温が低いので桜の開花は足踏みと言った所だろうか?。所で、今日の御主人はまともだった(昨日の日記を参照の事)。「15日の水曜日だから空き缶を資源ゴミに出さなくてはならない」と、朝からごそごそやっている。おかげで僕は散歩へは行けなかった。そして肝心な「狂犬病の予防注射」は時間通り僕をトラックの助手席に乗せて行った。実施場所には大勢の飼い犬と、その御主人が受け付け待ちをしている。僕は少し興奮したけれど、御主人が「オスワリ」というのでおとなしくしていたよ。僕は何度も場数を踏んでいるので、会場で興奮して他の犬に飛びかかったりするなんて野暮な事はしない。受付はしばらく待たされたけれど、注射はあっという間に終わったんだ。痛くも何ともなかったよ。若犬の頃に震えながら待っていた事が笑い話のように思える。それだけ僕が歳をとったって事かな・・・・・まぁ、とにかく無事に注射に行けて良かったよ。
4月14日 はれのちくもり
今日の御主人は、とっても「おまぬけ」だったんだ。最近の御主人は「おまぬけ」な行動を良くする。僕の「おりこうさん度」が高くなって行くにしたがって、御主人の「おまぬけ度」が高くなっていく。常々、密かにこの日記を「御主人のおまぬけ日記」に改変し直そうかと画策している所なのである。えっ?、前置きは良いから、おまえの飼い主の事を話せって・・・はいはい、言われなくてもべらべらと舌に油を塗ったようにしゃべります!!じつは・・・・犬の狂犬病予防注射が、毎年今頃に実施されるのだけれど、今日がその日なのであるはずだった・・・・そして、僕達はトラックに乗り込んで実施場所へ出かけたのだけれど、予定時刻になっても誰も現れない。近くにあるおじいちゃん、おばあちゃんの家に寄ってみると、今日は14日だという。そうなのである。予防注射は15日なのであった。御主人は、朝起きた時から「今日は15日だ」と思いこんでしまっていたのだった。そして、交通安全で街頭に立つ割当日も15日のつもりで一日早く立ってしまったのだった。ヤレヤレ・・・の一日であったのだ。
4月13日 はなぐもり
「花の雲、鐘は上野か浅草か」という句があるけれど、上野も浅草もとっに散り果てて、僕達の地方の桜の花が開き始めた。ここ4,5日の陽気でずいぶん進んだようだ。北東に植えた我が家の桜花が開いたようだけれど、残念ながら大きなビニールハウスにビニールを張ってしまったので見えなくなってしまった。あとは南西に植えられたソメイヨシノとしだれ桜の花が開くのを待つだけだ。こっちの方はどういう訳か遅い。「わ〜い、わ〜い!!花見だ、花見た!!」と浮かれても、犬にとっては「花より団子」の方が魅力的である。だけど、犬の花見はただ見るだけなのである。桜の花が咲いたからといって、お花見に連れて行ってくれ、「犬用お花見弁当」をくれる人は誰もいないのであった・・・・・
4月12日 はれ
今日は町内のお祭りである。御主人は午前中から交通警備に出かけていった。遠くからお囃子の音が風にのって聞こえてくる。町内の神社は、ここから400から500メートル行った所にある、その名も「飛鳥神社」という。ところで、僕はこの祭り囃子が聞こえてくると心の準備をしなければならなくなる。それはなぜか?・・・・恥を忍んでお話ししよう。祭りの当番の人達が、玄関先のお払いにやってきて、その後に獅子が来る。これも玄関先をお払いしてくれる。僕は、この獅子が恐くて恐くて仕方がないのだ。今日も、祭り囃子が我が家に近づいてきたなと思った頃、お払いと獅子がやってきた!!僕は恐くて仕方なかったので「きゃん!!わっ・・・・わわわん」と、声が上づってしまい。尻尾を巻いてなるべく獅子に目をつけられないように吠えたのであった・・・・・まぁ、毎年の事とはいえ、どうも獅子とは相性が悪い僕なのであった・・・・
4月11日 はれ
「秋田犬は頑固である」人間世界では絶滅危惧種に指定されている「頑固親父」より頑固である。これは秋田犬の特性と言って良い。自分の主義主張によって行動するので自分が納得しないとテコでも動かない頑固犬なのである。今日も夕方散歩に行った。いつもの自転車散歩である。僕は草むらの匂いを楽しみながら、ゆっくりと散歩を楽しんでいる。一方、御主人は朝は4時半からお仕事を始めたので疲れてしまって、早く僕の散歩を終わらせたいようだ。やたらに僕を急がせる。でも、僕は気になる匂いを発見すると自転車を引き倒してまで、その場所を特定したい。そこで僕と御主人は意見の相違という事で言い合いになる。だけど、僕はテコでも動かなかった。今日は僕が勝った。御主人の方が折れて僕が匂いを嗅ぎ終わって納得するまで待ってくれたのだ。こんな風にテコでも動かない僕だけれど、食べ物を目の前に出されたら動くかも知れない・・・・いやいや、秋田犬の品性を汚すような行為は全秋田犬の恥となる。でも・・・・・・僕って、万年腹ペコ犬なんだもんね・・・・・
飼い主注・・・万年腹ペコ犬と言うよりは、食い意地が張っているといった方が的確である。
4月10日 はれ
どうも、鼻が乾いてしょうがない・・・・いえね、べつに病気じゃないんだ。僕達の地方に乾燥注意報が出ていて鼻が乾くんだ。野山も田んぼもすっかり乾いているから、あちらこちらで原野火災が発生している有様だ。それに「ふぇーん現象」とやらが鼻の乾きを促進する。風も強かったからね。だから僕は鼻の乾きを沈める為に、しょっちゅう舌で鼻をなめていなければならない。でも、「鼻をなめる」と簡単にいっているけれど、生やさしい事ではない。普通、人間は舌で鼻をなめる事はとうてい出来ないけれど、犬は頑張ればなめる事が出来るのだ。なぜならば、今日のような日の為に神様が人間よりほんの少しだけ犬の舌を長くのばしてくれたからだ。べつに犬が出来て人間が出来ないからって自慢するほどの事じゃないけれどね・・・・・
4月9日 はれ
春の交通安全運動が4月6日から実施されているので、僕はなかなか朝散歩に連れて行ってもらえない。昨日と今日、連続2日も行っていない。予定では明日も連れて行ってもらえそうにない。でも、世の為、人の為なら私情を投げ打つ心構えの僕なのである。これが秋田犬の心意気というものなのである。遠い御先祖だったオオカミ、秋田犬の原点である熊狩り犬の心意気が今の秋田犬に脈々と生き続けているのである。・・・・・・・・・・・・・・・
飼い主注・・・家の飼い犬は自分の言葉に酔って感極まり、絶句してしまっているようなので、ここで終わる・・・
4月8日 はれ
今日は犬にとっては暑いぐらいの一日だった。御主人もシャツ一枚でお仕事をしている。でも、朝はめっきり冷え込んだんだ。朝露が降りて冷たかったよ。夕方は夕方で寒くなる。僕達の散歩は自転車散歩だったので、僕は舌を出すくらい汗をかいたんだけれど、御主人は冬の完全防寒姿で自転車をこいでいく。この違いが漫才のぼけとつっこみのようで面白かった。思わず笑ってしまいそうになったぐらいだ。ただ、犬は肉体的構造上、「笑う」という行為は出来ない事になっているので心の中で密かに笑ってしまった僕なのであった。・・・・
4月7日 はれたりくもったり
今日は御主人が一日、どこかへお出かけである。朝出かけていったと思ったら、夕方散歩の時間になっても帰ってこない・・・・「今日は散歩に行けないな」とあきらめた頃になって御主人のトラックの音がして帰ってきた。僕はうれしさのあまり感涙にむせんだ。但し、犬は肉体的構造上「喜怒哀楽」という表現が出来ない。出来ないと言うよりは表情に表しにくい。最も表情で表しやすいのは怒りの表情である。但し、犬によっては千差万別で、尻尾を振っているからといって親愛の情を示していると勘違いして近寄ってくる人間がいるけれど、これは警戒態勢、あるいは獲物を見つけて喜んでいるので、いきなり「がぶり!!」と噛みついたりされる。犬は人間より扱いにくい動物なのである。もし、犬が人間に混じって会社勤めをしたりすると、犬の上司になった人間は、犬の表情やご機嫌を読み取るのに大変に苦労する事請け合いである。
4月6日 はれ
東京へ行っていた御主人夫婦が、夜も暗くなって、やっと帰ってきた。見知らぬ車が我が家に入ってきたと思ったら、タクシーだった。中から二人がおりてきて、僕に声をかけた。僕は知らんぷりをしていようかと思ったけれど、なぜか身体が自然に動き、はしゃいでしまったのだ。飼い犬の習性である。飼い主が帰宅した時は、自分自身がどんなに機嫌が悪かろうが、身体具合が悪かろうが、身体が自然に動いて飼い主にまとわりついてしまうのである。麗しい習性と言えばいいのか、因果な習性と言えばいいのか・・・・でも、こういう行動をとる事によって飼い主が喜ぶのなら、それはそれで飼い犬としては一応の成果は上がったと考えて良い。・・・・でも、成果っていったい・・・・・何?
4月5日 はれ
御主人やお母さんの顔を見なくなって2日目である。東京や鎌倉へお花見と仏像を見に行ったのは知っているけれど、二人がいなければいないで、寂しいものである。いればいたで鬱陶しい時もある。まぁ、二人とも僕にとっては空気や水のようなものなのかも知れない。普段は意識する事もなく、当たりの前のように呼吸している空気、当たり前のように飲んでいる水。でも、それが無くなれば大変な事になる。犬も飼い主もお互い大切な存在であると認識はしているけれど、普段はどうとも思っていない関係。ある意味で理想的な関係なのかも知れない。お互いを意識しすぎて、「尊敬している」、「愛している」と、のべつ幕無しに表へ出し続けていると、そういった認識自体が空虚になってしまいそうな気がする。まぁ、そこそこにお互いを認め合えば、それで良いのだと思う。だから、飼い主に対してもいたずらにおもねる事もしなければ、いたずらに反発する事もない。これは飼い犬の長年の経験のたまものなのである。
4月4日 はれ
昨日の夜、寝台特急「あけぼの号」で東京は上野に旅立った御主人夫婦なのである。ちょうど、僕の朝散歩の時間か、朝散歩が終わっておやつをもらっている頃に上野に到着する。それから「鎌倉」と言う所へいって、お花見しながら、お母さんのお姉さん夫婦と共にお寺巡りをするのだという。御主人は20歳頃からお寺や神社、仏像を見るのが好きなのだという、いわばお年寄りめいた趣味があったのだけれど、50歳を過ぎたら、それにいっそう拍車がかかってきた。、それにお母さんを巻き込んで神社仏閣巡りをしている。でも・・・・飼い犬から見るならば、御主人に「信仰心」があるとはとうてい思えない。単なる「好き」でしかないのである。こんな事を言っては怒られるかもしれないけれど、僕がお肉が好きで、バナナが嫌いというのと同じ事なのである・・・・
4月3日 はれのちうすぐもり
朝、御主人から「今晩は出かけるからな」と言われていたので「飲み方や集会」でもあるのだろうと思っていたら、お母さんと東京へお花見に行くのだという。それだったら「今晩は、じゃなくて、今晩から」と言うべきじゃないのかなぁ・・・・最も毎年の事なので細かい事をいっても始まらない。御主人達は、僕達の地方が花見の真っ盛りの頃になると田んぼのお仕事で忙しく、お花見にも行けない。最も、花見の名所と言っても、ここら辺では城跡の公園だけで、毎年4月の20日頃から29日頃まで観桜会が観光協会主催で行われている。だから、近所のお花見に行けないから、忙しくなる前に咲いてしまう東京や鎌倉の桜を見に行くのだという。僕は、と言うとビニールハウスの北東に植えられたソメイヨシノ桜と、南側に植えられたしだれ桜2本と八重桜を見ながら、ごろんと寝ころびながら最高に贅沢な花見が出来る。それに、僕は何時だってヒマだからね。
4月2日 はれ
夕方散歩の時、大学前公園の所で久し振りによそのワンコに出会った。そのワンコはお父さんと男の子二人の三人連れでの散歩らしい。僕は、「人見知り」というか「犬見知り」なので、よそのワンコや人に出会うと緊張してしまうたちである。緊張してしまうと、どういう行動をとるのか自分でもわからない。「ガウンガルルル〜」と唸り声を上げるかも知れないし、興奮しきってしまい「暴れ始める」というか、もがき始めたり、時には親愛の情を示して相手のお尻の匂いを嗅いだりする。ちなみに犬が出会った時の礼儀は相手のお尻の匂いを嗅ぎ合う事なのである。このように様々な行動をとるので御主人としても油断がならない。御主人は数十メートル先から、僕の散歩紐を短く持って、不測の事態に備え始めた。そして、お互い2メートルの差で行き違ったのであった。何事もなく!!。僕は少し興奮して相手の犬をチラチラと横目で見てしまったのだけれど、相手は僕を一顧だにする事もなく行き過ぎてしまったのだった。興味がなかったのかなぁ〜。ちなみに相手はラブラドールレトリバーだったよ。
4月1日 はれ
晴れたけれど「寒い!」・・・・・・・・以上報告終わり!!
で、この日記を終わろうと思ったのだけれど、これでは、警察か消防の伝令と同じような気もするので、あまりに失礼かと思い続ける。(犬もそれなりの礼儀は心得ている。人間社会での暮らしが長いから・・・)で・・・・「寒いのである」、「風が冷たいのである。」、「今時、弱い冬型の気圧配置なのだというのである。」・・・・何だか夏目漱石の「吾輩は猫である」の文体にだんだんにて来たような気がするのだけれど他意はない。要するに今時の季節にしては寒いのだと言う事を強調したかっただけなのである。
おわり・・・・はぁぁぁぁ〜・・・・