むつ犬のおまぬけ日記
平成21年 5月
5月31日 くもりのちあめ
久し振りの雨である。僕の生活も通常に戻った。朝散歩にも行ったし、夕方散歩にも行ったし、ただ・・・・朝散歩から帰ってから、お母さんから古くなった油揚げをもらって食べたせいなのか、お腹の調子が悪い。それで、夕方のご飯は少々少なめになってしまったのは残念だった。でも、僕も人間の歳で言えば「還暦」を過ぎたようなものなので食事にも気を遣わなければならない。本当は「僕」なんて言わずに「わしは・・・」といった方がお年寄りに見えるのだろうけれど、あえてそんな事をする必要もないので「僕は」で押し通す事にするよ。なんと言っても、僕は肉体的には「還暦」だけれど精神的には「若犬」なんだよ。ちなみに御主人は、年齢的には{還暦」前だけれど、肉体的にも精神的にも70歳近いのじゃないかと僕は思っているんだ。

5月30日 あめのちはれ
午前中の御主人はトラクターに乗ってどこかへ出かけました。
午後になって、黒い服を着てどこかへ出かけました。
夜になってから帰ってきました。
夕方のご飯はお母さんからもらいました。・・・と言っても僕は一日一食の食事なのでした・・・終わり

5月29日 はれ
午前中、御主人は黒い服を着てどこかへ出かけていきました。
午後は、トラクターに乗ってどこかへ出かけていきました。
夜は、お母さんとどこかへ出かけました。
夜遅く帰ってきたときは、身体中からおいしそうな匂いがただよっていました。
以上、御主人の観察日記でした・・・・・

5月28日 はれ
今日は昨日よりも「暑い!」26度にも気温が上がった。おかげさまで僕の身体もぐったり、御主人もきつい田んぼの中でのお仕事やらビニールハウスの中のお仕事やらでぐったり、おまけに夜になにやら集まりがあるとやらで、うんざりしている。夕方散歩もその影響なのか、ほんの少し行っただけで帰ってきてしまった。僕も少しだだをこねて、「帰りたくない!!」と言ったのだけれど、御主人の疲れた姿を見るとかわいそうになってきて一緒になって帰ってきた。僕も少し歩いただけなのに舌を出すような有様だったんだ。なにやら、今年は風の強い日が多いし、暑くな散ったり寒くなったり、天気が変わりやすい年である。作物の出来高が心配な農家の飼い犬である僕なのであった。

5月27日 はれ
今日は暖かさを通り越して暑いぐらいの陽気だった。僕なんか黙って立っていても汗がしたたるぐらいだった。でも、犬は肉体的構造上、人間のように汗は出せないので舌を出して「ハァハァハァ」と喘ぐくらいの陽気だったんだよ。それで、田植機の下に潜り込んで動かなかった。下手に動くと体力が消耗するので御主人が呼んでも動かなかった・・・・これは当たり前である。外が暑くなくても出ていかない。なぜなら僕は、御主人から言わせると「来い!」と「行け!」の躾に失敗した犬なのだそうである。なるほど、納得である。「良し!」と「駄目!」の躾は完璧なんだけれどね・・・・

5月26日 はれ
やっと暖かくなった。御主人なんかTシャツ一枚でお仕事をしている。最もビニールハウスの中のお仕事なので暑いはずである。何でも様々な野菜を植えるのだという。ほとんどは犬が食べられないものなのだけれど・・・・・僕はと言えば、暑くなったので洗車したばかりの田植機の下に潜り込んで早々と避暑をしている。そうかと思えば日向に出て、お日様にお腹を広げてお昼寝したりもしている。やっと平年並みのお天気になったのかなと思っている。御主人は午後から野菜の苗や種を買いに出かけていった。ついでに僕のおやつと犬缶も買ってきてくれたよ。余談だけれど、僕のご飯やおやつは、そのほとんどが御主人のお小遣いで買っているんだ。だから日々、飼い主に感謝しながらご飯を戴いているんだよ。でも、時々は「こんなおやつは嫌だ」という事もあるんだけれどね。だって、毎日同じおやつを食べ続けていると飽きるんだよね。

5月25日 くもり
肌寒い日が続く・・・最も、犬は全身がふわふわした毛で覆われているので肌寒いと言う事はないけれど、御主人の事である。寒いのが苦手な御主人は「防寒具を出して着たい」などと言う。それは少し大げさではないかと言ったのだけれど、どうやら御主人は本気らしい。僕が必死になって「みっともないから止めてくれ」とお願いしたので、いつもより厚手の服を着ただけでおわった・・・・ところで、こんなに寒くても植物は育つらしい。御主人が「サヤエンドウ」を収穫したので、どんなにおいしいものかと思って、それの匂いを嗅いでみたら身震いするほど嫌な匂いだった。本当にひどい匂いだったので、本当に身体をぶるぶると震わせてしまったほどだ。青臭いというのか、犬には理解できない匂いなのだ。これが本当においしいものなのかは、犬の僕は食べた事がないので知らない。人間だけが知るおいしさなのかも知れない・・・・?

5月24日 くもりときどきあめ
花は次から次へと咲いては散っていく春爛漫の今日この頃なのである。でも、もはや5月も末なので晩春から初夏に移っていると言っても良い。桜の花が咲いたと思ったら、梅、椿、等々、次から次と様々な花が咲いては散っていく・・・・世の習いとはいえ虚しいものである。人生の縮図を花に教えられているようでもある。あっ!!世の無常、世の移ろいは昨日の古歌にも歌ってある。でも、まあ・・・あまり深く考えないで花の美しさをめでて過ごせたら、それが一番良い事だよね。たまにおいしいものでも食べてね・・・・でも、僕のところへは「たまに」と言うより「まれに」という方がふさわしいぐらいおいしいものが届かないのであった・・・

5月23日 くもりときどきあめ
今日も雨である。早くも「梅雨」の様相を呈し始めているけれど、今年第一回の僕のシャンプーが終わるまで雨続きは勘弁してくれと御主人は祈り続けている。それだけ僕の身体が汚れに汚れてしまって、のっぴきならない状態になってきてしまっているというわけなのだ。そこで一首「明日ありと思う心のあだ桜 夜中に嵐は吹かぬものかわ」(僕に例えるならば、明日の天気予報は晴れでシャンプーをしようと予定を立てたけれど、明日はどうなるかわかりませんよと、言う意味らしい?)・・・・・・・・・これは決して僕(禄食)の詠んだものではない古歌である。教訓を含んでいるのである。たかが、僕のシャンプーの事を例えるにしては大げさなのであった・・・

5月22日 あめ
朝から雨である。降ったり止んだりと一日中そんな天気だったのである。気温も昨日よりは格段に低くなった。そんな雨の中を朝散歩と夕方散歩には行く事が出来たんだ。ちょうど散歩へ行く時間になったら雨が止んだんだよ。「雨男」である御主人にしては珍しい。でも、お腹が泥んこになってねぇ・・・・しばらくシャンプーをしていないから自慢の白い毛が背中の毛色と同じような赤茶色に変色してしまっている。洗えば、まぶしいぐらい真っ白な毛によみがえるんだけれど、ここ当分はシャンプーされそうな天気ではないようだ。今度、まぶしいぐらいに晴れ上がったら僕としてもシャンプーされる覚悟を決めないといけないなぁ〜・・・・・・・・

5月21日 はれのちくもり
今日は「夏日」になった。26度の気温である。僕のシャンプー日和の気温を遙かに超えている。僕のシャンプー適温は20度と決められている。これは動物学上最適気温なのではない。御主人が勝手な思いこみで、20度以上の気温なら犬も寒がらないだろうと決めた気温である。こんな動物生理学を無視した決め方に少なからず不安を覚える飼い犬の僕なのであるけれど、飼い主の声は「神の声」にも等しいので、じっと耐えるのみなのである。さすがに、今日は御主人も忙しいらしくて、シャンプーはされないで済んだのだけれど、そろそろ「犬の毛替わり」も始まっているので、シャンプーされるのは時間の問題だと思っている。僕のシャンプーは、たいがい土曜日の「ある晴れた日」に実施されると相場が決まっている。もちろん気温は20度以上である。このままで行けば、今度の土曜日が危ないのだけれど、何だか土曜日は雨の予報が出ているらしい。シャンプーをされてしまえば、さっぱりとして気持ちがよいのだけれど、されるまでは億劫な飼い犬の僕なのであった・・・・

5月20日 はれ
今日も気持ちの良い一日だったよ。気温も昨日より高いぐらいで犬の僕には暑いぐらいだ。そういう訳なので日中は作業小屋の中で大の字になって寝ていたんだ。最も犬の場合は肉体的構造上、人間のように大の字に寝る事は出来ないのだけれど、要するに気持ちよく楽な姿勢でお昼寝をしたと言う事なんだ。ただ、ひんやりした所に寝ていると身体が冷えてくる。そんなときは外へ出てお日様の光と暖かさを浴びながら寝ころぶんだ。すると暖かい空気が毛皮の奥までしみ込んで気持ちよくなる。そうなったら、又作業小屋の中に引っ込んでお昼寝するんだ。御主人は、今日一日、田植えの手直作業。腰を曲げっぱなしの作業で、僕は「ご苦労さん」とだけ声をかけたけれど、あとは気持ちの良い陽気の中で惰眠をむさぼっていたんだ。御主人からは「良い御身分ですね。」と皮肉を言われたけれどね。

5月19日 はれ
強い風はまだ続いているけれど、昨日ほどひどくはなかったよ。朝から17度ぐらいの気温があって風は強いものの、さわやかな朝を迎える事が出来た。そんな気持ちの良い一日の始まりだったので僕は足取りも軽く朝散歩に出かけたんだ。御主人はと言えば、足取りも重く僕に引っぱられるように朝散歩へ連れ出された。僕にである。田植えが終わってほっとしたのだろうか、急に力が抜けてしまったようだ。もちろん、機械植えが終わっただけで、手直しなんかはこれからなのである。昔ながらの手植え作業である。これを御主人が1人でこなさなければならない。犬はただ見ているだけなのである。と、まぁ、このようにして朝散歩は終わり、久し振りにおやつをもらう事が出来たよ。夕方散歩にも行けたし、今日は大満足の一日だったよ!!

5月18日 あめのちはれ
今日は朝から雨だったので、当然、朝散歩は無しだった(半ばあきらめている)。御主人は田植えである。お母さんもお仕事をお休みして田植えのお手伝いである。ところが・・・・午前中も半ばを過ぎる当たりから風が強くなり台風並の強風が吹き荒れた。(ここら辺では強い風の事を台風並の風という。ほとんどの台風は東北地方に到達するまで勢力が衰えてしまっているからだ。)風速13メートルだという。犬は数字で言われるとわからないけれど、要するに人間がまっすぐに立っていられないほどの風なのである。その点、犬は4本足で立っているので安定感はよい。ただ、尻尾をどうしても恰好よく巻く事が出来なくて、強い風に吹かれてだらんと垂れ下がってしまう。だから強風の時には「秋田犬品評会」は御法度なのである。なぜなら、犬の形がすこぶる悪くなるからだ。但し、これは秋田犬保存会の公式な見解ではない事をお知らせしておく。「そうじゃないかな〜・・」と思って言ってみただけなのだから・・・・結局、何が言いたかったのかというと、「はぁぁ〜、今日はひどい風が吹いたなぁ〜・・・」という事を言いたかっただけなのである。まだ吹いているけれどね。

5月17日 あめ・・・
朝、御主人が僕の所へ来て「今日の朝散歩は朝早くから田植えをするから中止」と言った。僕は何も言わず、側にあったプラスチックの植木鉢を蹴飛ばして、噛みついたり襲いかかったりした。そして、夕方散歩の時間・・・・「大雨なので散歩は中止」と御主人が言った。僕は、プラスチックの植木鉢は何処へやったのかなぁ?・・・と、辺りを見回してそれを見つけ、ものも言わずに襲いかかり、噛みついたり、蹴飛ばしたりした。・・・・・おわり

注・・・僕の欲求不満のはけ口はプラスチックの植木鉢なのであった・・・・

5月16日 はれ
我が家の田植えは折り返し地点を迎えた。つまりは総耕作面積の半分を植え終わったという事だ。僕にも「手伝え!!」と言われたけれど断った・・・・そして、「手伝いを頼みたければ猫さんでも頼め!!」とも言ってやった。「犬の手も借りたいぐらい」ということわざはないが、「猫の手も借りたいぐらい」ならある。要するに、猫さんの方が暇を持てあましているから「ヒマなのだから手伝ってもらいたい」というような意味合いなのだろう。その点、犬は番犬というお仕事があるので、手伝ってなんかいられない。一見、暇そうに見えるかも知れないけれど、精神は研ぎ澄まされて、ありとあらゆる侵入者、あるいは不審な物体を即座に感知するべく「お昼寝」をしているという訳なのである。でも・・・・前述した御主人との会話は、毎年の農繁期になると同じ様な事を話している気がする・・・・・

5月15日 くもりのちはれ
朝は寒かった・・・・でも、お日様が顔を出したら幾分暖かくなったよ。今日の御主人は、午前中によそのお家の田植えを終えて、午後からは我が家の田植えをするという。いよいよ田植えだ!!と言う事になると、犬の僕でもわくわくドキドキする。日本人や日本犬が持っている御先祖様から受け継いだDNAがそうさせるのだろう。早苗が植えられて青々した田んぼは日本の原風景なのである。ほとんどの日本人と日本犬なら、こんな風景を見て心を動かされる事だろう・・・・でも・・・・日本猫はどうかなぁ〜・・・・
あくまでも、猫さんとは相容れない秋田犬の僕なのであった・・・

5月14日 くもりときどきあめ
今日は昨日より寒かった。春先の気温のようだ。今日の御主人はよその家の田んぼへ田植えをする予定だったのだけれどあまりに寒いし風が強いので中止になった。一方の僕はと言えば、時々雨が降ってくるし風も強いので一日中犬小屋の中に引きこもりという一日だったよ。夕方散歩も「今日は寒いので中止だ」という御主人の言葉に何となく納得したのだけれど、よく考えてみたら「寒いから散歩は中止」なんてありえない!!明日の朝、御主人が来たら「ガウンガルルルル〜」と唸り声を上げてから噛みついてやろうと密かに思っている僕なのであった。

5月13日 くもりのちはれ
雨が降ったらさすがに寒くなってきた。でも例年並みなのだという。今までが暖かすぎて身体が慣れてしまっていたんだね。それに風が強かったので体感温度が寒く感じられるのかも知れない。そんな訳なので、夕方散歩の時に御主人が途中で帰ろうと言い出した。寒いのだという。犬にとってはどうという事もないけれど、寒がりの御主人がかわいそうだったので、すんなりと承諾した。帰ってきてから、御主人の言う事を素直に聞いたので、その見返りがあるかと思ったけれどぜんぜん無かった。でも、ご飯の量がほんの少しだけ多いような気がしたのは、目の錯覚だったのだろうか・・・?

5月12日 くもりときどきあめ
今日も、まとまった雨は降ってくれなかった。いったい何時になったら本格的な雨降りになるのだろうか・・・・ところで、今日は久しぶりに御主人に叱られた。何をしたのかというと、干してあった洗濯物を引きずりおろしたからだ。しかも、それを地面に敷いて僕がそれに座っていたのだ。いつもはそんな事はしない「おりこう犬」の僕なのであるけれど、歳を取ってくると、子犬の頃にさんざんやった「洗濯物引きずりおろし」のいたずらの楽しさが思い出されて、つい出来心でこんな事をしてしまったのである。その結果は、前述した通り御主人にさんざん叱られて、ほっぺをつねられたり、鼻先を叩かれたりと大変だったけれど、子犬の頃の懐かしい思い出がよみがえって、それなりに楽しかったんだよ。

5月11日 くもりときどきあめ
やっと雨が降った・・・とはいうものの「お湿り」程度の雨降りで終わった。乾いた土は表面を濡らしただけで終わったようだ。それでも、濡れたアスファルトの上はひんやりして気持ちがよいので寝ころんだりしている。ポツポツぐらいの雨だったら濡れても身体を「ぶるぶるぶるん!!」とやれば身体に付いた雨粒なんかどこかへ飛び散ってしまう。でも、時々本降りになる事もあるんだよね。そんなときは犬小屋の中に避難をする。本降りと言っても、「気が向いたので少し多く雨を降らしてみました。でも、疲れるからもう止めます。」と言った感じの降り方だったよ。だから僕は、犬小屋に入ったり、地面に寝ころんだりと忙しくてお昼寝したような気がしない一日だったよ。

5月10日 はれのちくもってあめ
約2週間ぶりで雨がポツポツと落ちてきた。本降りになるかどうかはわからないけれど、この所1滴の雨も降っていなかったので御主人はたくさん降って欲しいと願っている。ちょうど田んぼの代かきも終わったので、田植えに向けて一雨欲しい気持ちもある。それに畑もカラカラなのである。一昨年、たった6株だけ買ってきて植えたイチゴが増えに増えて、6月の半ば頃に赤い実をたくさんつける(予定)のを御主人は楽しみにしている。これも水不足で元気がない。僕は犬なのでイチゴは食べた事はないけれど、実がなったら一度食べさせてもらいたいと思っている。どんな味なのかなぁ〜・・・・・

5月9日 はれ
最近の散歩は御主人のお手伝いというのが主な目的である。僕の気晴らし、運動などと言うものではない。あくまでも御主人の都合の良いように僕は歩かされているだけなのである。御主人のお仕事の手伝いとは何か?・・・・田んぼの水の具合を見に行くのである。少なければ田んぼに水を入れ、多ければ水を抜く。そんな事をしに僕は歩かされているのである。まぁ、何処へも連れて行ってくれないで繋がれっぱなしっていうのも嫌だけれど、こんな散歩は心から楽しめない。出来る事なら、早く代かきを終えて、田植えが終わる事を祈るばかりの今日この頃の僕なであった。

5月8日 はれ
今日は、朝早くから僕は仕事熱心だった。御主人が田んぼで大忙しなのに、僕だけがのんびりとあくびをかみ殺しているわけにはいかない。そう思って、朝から「わんわんわんわんわんわんわんわんわん・・・・」と、吠え立てた。何、たまたま今朝は、家の前を知らない人がたくさん通ったので吠えた。何か行事でもあったのかなぁ・・・?、そして隣の工場の人が出勤してきたのにも吠えた。普段は吠えないんだけれど、今日は無性に吠えたくなってしまったのだ。おかげで、御主人から「うるさい!!」と言われてしまった。普段は僕が吠えても「うるさい」とは、決して言わないご主人なのだけれど、今日は吠えに吠えまくったから、度を超していたのだろう。なんにしても、お仕事(番犬の)に精を出すという事は気持ちの良いものなのである。

5月7日 はれ
今日も暑かったけれど、風があったので犬でもなんとか過ごす事が出来た。ところで、家のみんなは自分のお仕事が忙しくなってくると、飼い犬の事は二の次になってしまうようだ。今日も夕方の7時(普通は7時と言えば夜だけれど日が長くなっているので今は夕方のである。)になっても帰ってこない。お日様が沈んでだいぶ経った頃になって、やっと御主人が家へのご帰還第一号になった。「今日は遅くなったので散歩は無し、すぐご飯を持ってくるから」と言って、本当に素早くご飯を持ってきてくれた。まぁ、忙しくって飼い犬の相手をしているヒマがないので、せめてご飯だけは早くあげようという罪滅ぼしのつもりなのかも知れない。

5月6日 はれ
「夏も近づく八十八夜、ちょん、ちょん・・・」と、暑さのあまり歌いながら踊り出してしまいそうな陽気だった。もっとも、犬は肉体的構造上、最後の「ちょん、ちょん」と手を合わせるような物理的運動は出来ない事になっている。まぁ、そんな事はどうでも良いのだけれど、連休中、御主人はトラクターで田んぼの代かきに大忙しというわけなので、夕方散歩は、昨日も今日もお母さんといってきた。お母さんは御主人のように飼い犬をせかさない。僕が好きなように散歩をさせてくれる。もちろん散歩紐は繋いだままなので自由に散歩が出来る訳じゃないけれど、草むらの匂いは納得がいくまで嗅ぐ事が出来る。お母さんと散歩が出来るのは年に何回もないので、もっとこんな機会があればうれしいのになって思う僕なのであった。

5月5日 はれ
今日は暑かった。地面に寝ころんではいられないぐらいだったので作業小屋の中に置いてあるお母さんの乗用車の影でお昼寝をした。ところで今日は「こどもの日」。昔風に言えば「端午の節句」である。一応断っておくけれど、僕もこの家の子供みたいなものなんだ。飼い犬と飼い主の関係だけれど、家族と見なされているからね。だから毎年のように「我が家では僕の為のこどもの日なのだから(御主人の子供達はすでに子供ではない)、何かお祝いをしてくれ!!」と言い続けてきたんだ。ところが、御主人の言う事には「子犬の頃や若犬の頃だったらお祝いをしないでもないけれど、おまえはすでに8歳、人間の歳で言えば50代の後半か還暦だ。」と言われてしまった。でも・・・・子犬の頃も、若犬の頃もお祝いなんてぜんぜんしてもらった事もないんだよね。ごちそうをもらった事もないし、鯉のぼりを立ててもらった事もないし、武者人形を飾ってもらった事もない。一応、僕も牡犬なので、いつかは端午の節句を祝ってもらいたいと思っている。こうなったら昨日の朝、おやつにもらった油揚げを食べきれなくて土の中に埋めておいたんだけれど、それを掘り出して「ごちそう」だという事にして食べようかなぁ・・・・・でも、何だか虚しい・・・・・

5月4日 うすぐもり
今日は暑いぐらいの天気になった。何でも5月下旬頃の陽気らしい。こんな陽気なので「僕のシャンプー」という話が持ち上がってきたのだけれど、僕はしきりに御主人へ「お手」を差し出したので今日は中止になった。犬の場合、飼い主から「お手」と言われなければ自ら前足を差し出す事はしない。自ら差し出す時は、相手(人間)に許しを請うか、おねだりするか、または、あなたを尊敬します、と言う意思表示なのである。つまり前述の話は、僕が御主人に「お手」を何度も出して「今日のところはシャンプーをご勘弁ください」と、しきりに訴えたという事なのである。このようにして人間と犬の会話は成り立っているのであった・・・・・

5月3日 うすぐもり
今日は曇っているものの暖かくて穏やかな天気だった。今日の僕は忙しかった。家の前は車が通る。自転車に乗った人が通る。犬を連れた人が通る。それにいちいち反応して吠えるべき時は吠えなければならない。そして、御主人は家の廻りでお仕事をしながら僕にまとわりつく。これが一番嫌だった。僕は飼い主と飼い犬は適度な距離でお互い生活すべきだと常日頃から思っている。散歩、ごはんを与えてくれれば番犬の役目をする。それだけで良いのじゃないかと思っているのだけれど、御主人はお昼寝をしている僕に近づき、頭をなでたり、身体をなでたりと煩わしい事この上ない。この頃、人間社会では「子離れできない親」とか「親離れできない子」とかがいるらしいけれど、家の御主人は「飼い犬離れ」が出来ないでいるから困ったものである。僕なんか、とっくに「飼い主離れ」が済んでいるんだもんね!!

5月2日 はれ
今日は暖かい一日だったよ。でも、外に寝ころんでいると身体が熱くなってしまって、すぐ日陰に隠れなければホットドッグになっしまうような暖かさだったんだ。ところで、昨日は夕食前にフィラリァの薬を飲まされてしまった。呑まされてしまったというのも変な言い方だけれど、御主人は僕に薬を飲ませる時に何時もごまかして呑ませるんだ。人間の子供が薬を嫌がる時にごまかすのと似ている。今年初めての薬だったんだ。フィラリァとは蚊が媒介する犬の寄生虫の一種で、犬の血液の中で卵がふ化して、心臓にその寄生虫が生息して犬の身体を弱らせる恐ろしい虫なのだ。そこで蚊が媒介した卵を駆除するのがこの薬なのである。ついでにノミやダニも駆除してくれるという優れものである。だが、この薬はおいしくない!子犬の頃は何でも口に入れたがったので、そのままゴクンペロリと胃袋の中に送り込んでいたけれど、歳を取って口がおごってくると、この薬を吐き出してしまう。それで毎年、御主人は手を替えて僕に薬を飲まそうとするのだ。去年は、甘いお菓子に包み込んで呑まされてしまった。今年は、と言うと。乾燥した肉の下に隠して僕の口に入れたんだ。お菓子の場合はくるまれているので、そのまま飲み込んでしまえば、胃袋に直行だけれど、干し肉は固いのでくるむわけにはいかない。だから肉の下に隠して僕が「薬がある!!」と、わからないように口に入れたのであった。さすがに食い意地の張った僕でも、薬と干し肉の違いはわかるので、吐き出しそうになったけれど、お肉があまりにもおいしかったので、そのまま噛んで飲み込んでしまった。しかし、用心深い御主人は僕が吐き出さないように僕のアゴを軽く押さえて、上を向かせるような恰好をさせた。そして、フィラリァの薬は無事に僕の胃袋の中へ落ち着いたのであった。めでたし、めでたし、で昨日は終わったのであった。

5月1日 はれ
今日は、思いっきり「だだをこねてみた」夕方散歩の時である。僕は気になる匂いがあったので別の方向に行きたかったのだけれど御主人が許さない。そこで僕は思いっきり大地に足を踏ん張って抵抗して動かなかった。御主人は散歩紐を引っ張るけれど「動かないぞ!!」って決めていたから絶対動かなかった。すると、御主人は僕に自分の顔を近づかせて、僕の鼻の頭に自分の鼻をくっつけ、恐い顔で僕の目をじっと見つめた。そして、無言で僕のほっぺをつねるんだ。その時点で僕は御主人の無言の圧力に負けて足を家の方向に向けたのであった。ことわざで、人間の世界では「泣く子と地頭には勝てない」と言われているけれど、犬の世界では「哀れな犬と飼い主には勝てない」・・・ってね。誰でも哀れな犬には手をさしのべてやりたいと思うし、いくら横暴な飼い主でも、食べ物をもらっている以上は、従わなくてはいけないという例えなのである。「男はつらいよ」ならぬ「飼い犬はつらいよ」という映画でも出来そうな犬の日常なのであった・・・・