平成21年 10月
10月31日 はれ
モミスリを10月中に終わらせることが出来ない御主人なのであった・・・・例年であれば、とっくに秋作業は終わってのんびりとモミガラの処理をしている頃なのである。まぁ、御主人自身が「のんびり屋」と言うこともあるけれど、この時期は秋作業が終わったというので「収穫祭」や、その他農繁期には出来なかった様々な行事が怒濤のように御主人に覆い被さってくる時期なのだ。今日も今日で市主催の「農業&商工祭」の警備にかり出され、夕方になって疲れ果てて帰ってきたのであった。それでも、けなげに僕の夕方散歩は歩いて、いつものコースを行ってきたんだよ。これはもう精神力で行ってきたと言うしかないね。僕は散歩にも連れて行ってもらったし、ご飯ももらったから、満足してもう言うことはないけれど、今日の最後に「ゆっくり休んでね、御主人!!」とだけ言っておこう。
10月30日はれのちらいう
今日は午前中はさわやかに晴れていたのだけれど、午後から雨が降り出して雷も鳴り始めて豪雨になった。雨はすぐ止んで夕方散歩には行けたんだけれどね。でも、行くまでが大変だったんだ。御主人は作業小屋の中でモミスリのお仕事をしている。辺りが暗くなってきたので、僕は作業小屋の中をのぞき込んで「ねえねえ、そろそろ夕方散歩の時間なんだけど」と遠慮がちに御主人に言った。「もうすぐ行くから待っていろ」と言われたので、いったんは納得して外へ出たのだけれど、「もうすぐ」と言うけれど中々出で来ない。もう一度作業小屋をのぞき込むと、御主人は作業機械の電源を落とす所だった。このようにして、しびれを切らしながら散歩へ行くのを待ちこがれていた僕は無事行くことが出来たのだった。
10月29日 はれ
夕方散歩に行くと、あかね空を背景に白鳥さん達が元気な声を上げながら、南西の方角へ低空で飛んでいったよ。それはそれは美しい光景だったよ。おかげで夕方散歩も気持ち良く行くことが出来たよ。もう白鳥さん達のやって来る季節になったのかと感慨深いものがある。この前まで、御主人はTシャツ一枚で僕と散歩に行っていたのに、今では「寒い」と言いながら重ね着をしている始末である。僕はと言えば、夏でも去年の古毛を着ていたというのに・・・・今頃になって、やっとすんなりと抜けて来るのには僕自身の体でありな
10月28日 はれ
今日は農協で我が家のお米を集荷しに来るので、僕は朝から犬小屋の中に閉じこめられてしまった。午後も、そんなに遅くならない家に御主人が帰ってくるだろうと思っていたら、夕焼け空になる頃、やっと帰ってきた。僕は9時間半ぶりにやっと犬小屋の中から解放されたのであった。その間、僕は「耐え難きを耐え、忍びがたきを忍び、」飼い犬の試練を全うしたのであった。「我慢強いね」と御主人に誉められたけれど「当たり前だい!!秋田犬は日本の犬だからね!!」と見得を切ってやった。でも、本当はオシッコが漏れそうだったんだ。犬小屋の中には絶対オシッコは漏らさないというのが飼い犬の鉄則だからね。
10月27日 あめのちくもり
今日は台風20号さんが近くをお通りになって挨拶に来るかも知れない・・・と御主人が言っていたので朝から緊張して待っていた。お昼頃になって、やっと風が少し強くなってきたなって思っていたら、台風さんの挨拶なのだという。台風さんはおしゃべりが出来ないので態度で自分のしたいことや言いたいことを表すのだという。僕と同じだね。僕も人間、特に御主人とお話しするときは態度や行動で自分の言いたいことを表すことにしている。でも、時々は無視される。僕が何を求めているのか長年、犬を飼っていてわからない御主人ではないのだけれど、無視される・・・・つまりは。飼い主にとって都合の悪いことは無視される飼い犬の僕なのであった・・・・
10月26日 くもりのちあめ
午後から久し振りに雨が降った。午前中は御主人も米のお仕事に出かけていったので、外に寝ころんでやっとのんびりとお昼寝が出来ると思っていた。ところがお昼前から雨が降り始めて、午後には本降りになった。そして、悪いことは重なるものである。お仕事が早く終わった御主人がお昼過ぎに帰ってきた。帰ってきた御主人を見たときに僕は瞬間的にあきらめの境地に達した。「はぁぁ〜・・・これで僕の安眠は夕方までなくなった」・・・と。そして、その思いは確実に的中したのであった。午後から御主人は小屋の中でのお仕事の間に僕をいじり回したのであった。「飼い犬はつらいよ」なのである。
10月25日 はれ
今日の御主人はヒマなのか、しょっちゅう僕をいじりにやって来る。日曜日でも、ぐっすりとお昼寝できないのかと迷惑に思った。だが御主人は決してヒマではなかったのである。まだモミスリが200袋ほど残っている。ただ、この所ゆっくりと休むヒマがなかったので今日は休日と言うことにしたらしい。でも、僕が思うに「ヒマだったらお仕事をすれば?」と思ってしまうのである。空は快晴。風は強かったけれど実にさわやかな一日だったよ。これで御主人が居なければ最良の一日になったんだけれどなぁ・・・・
10月24日 はれ
今年は柿がたわわに実っている。今日は御主人が柿の収穫をした。たくさんなっているのでみんなは取らずに2から3回ぐらいに分けて収穫するらしい。僕は寝ころびながら御主人のすることを見ていたのだけれど、この柿は収穫すればすぐ食べられるという物ではないらしい。もっとも犬は柿など食べない、と言うか食べさせてもらったことがないので食物としての興味はわかない。それに犬は用心深い性質なので見知らぬ食べ物を目の前に出されて「おいしいよ」と言われても、匂いを嗅ぎ、うさんくさそうに差し出された食べ物を見る。そして舌でなめてみて食べるか食べないかを判断するのである。食いしんぼと言われる僕であってもそうするのだから、他の犬は推して知るべしなのである。
10月23日 はれ
今日は快晴である。「日本晴れ」である。でも、なぜ「日本晴れ」というのかわからないので困っている。犬は普段、いい加減に過ごしているのでこんな事はどうでも良いのだけれど、気になるとお昼寝もゆっくり出来なくなるので困ってしまう。日本の空が晴れたから「日本晴れ」なのか、雲一つ無い空で、潔くて気持ちが良いので日本人の心情にぴったり来るから「日本晴れ」なのか、そもそもなぜ雲一つ無い空に「日本」という言葉が付くのか、日の丸の旗を思い浮かべるのなら、「白地に赤く日の丸染めて」と唱歌にあるような空でなければならない。しかるに、今日のような「空は青地に白く」である。でも、どうやら飼い犬のムツが愚考するに、「青地に白く」が「白地に赤く」に変化したのではないだろうか。そうであるとすれば、この言葉は、少なくとも日の丸の旗を国内外に使用し始めた幕末から明治にかけてできた言葉ではないのだろうかと推察する。だだ、秋に「日本晴」という言葉を使っても良いのだろうかという疑問が残る。しかし、季節的に正しいこの言葉の使用についての推察は次項に譲る(但し、いつになるかわからないけれど・・・もしかして永遠にないかもね?)。以上、むつ犬の「犬が妄想する日本の人間言葉」の一文でした。
10月22日 はれ
今日は、すっきりと晴れた。霊峰鳥海山がくっきりと見えて頭のてっぺんに、かすかに雪の帽子をかぶっているのが見えた。僕も、今日は久しぶりにゆっくりと散歩を楽しむことが出来たよ。でも風が冷たいんだ。と言うのも、夏の頃に御主人が、しっかりと僕の古い毛を梳き取ってくれなかったので、今頃になって抜けてきてしまったのだ。これから寒くなると言うのに毛が無くなったら、僕は裸同然になってしまう。こうなったら暖かい防寒具を人間並みに買ってもらうしかないのかもしれないなぁ〜・・・・?
10月21日 あめがふったりやんだり
はぁぁぁ〜・・・今日も雨降りだよ。我が家は稲刈りが終わったから、そんなに気にしないけれど、稲刈りが終わっていない人もいるんだよね。それに秋は遠足の季節でもある。運動会が秋という地方もあるけれど、僕たちの地方では運動会は春に行われる。それにしても、まったく困った天気である。この秋は天気に振り回されながら一気に冬に向かいそうな気配である。故郷の霊峰鳥海山にも初冠雪が見られたと言うしね。でも、毎日雨続きで雲に隠れているので、まだ見たことはないのだけれどね。
10月20日 はれたりくもったりのちあめ
また、雨が降った。今日はバケツをひっくり返したような雨におまけが付いて、あめ玉のような雹が降った。童謡にある「雨が降ります、雨が降る。遊びに行きたし傘は無し・・・」の歌詞がぴったりと来る今日の僕なのであった。犬は肉体的構造上、傘はあってもさせないし使い方も知らない。そして、紐でつながれているので自由に遊びにも行けないのであった・・・・
10月19日 はれのちあめ
よく雨が降る・・・・昨日もバケツをひっくり返したような雨が降った。今日はじょうろで花壇に水をかけるような雨が降った。「秋晴れ」という言葉が今の季節にあるけれど、今年は秋晴れらしい天気に出会うことは少なかった。まぁ「秋に3日の晴れ間無し」と言われるぐらいだから秋は天候が変わりやすい。滅多にない晴れ間だから「秋晴れ」とでも言うのだろうか?・・・ところで、今日は我が家のお米が出荷される。いつも朝から犬小屋の中に閉じこめられるのだけれど、今日はいつも通りひも付きだけれど自由だった。昼近くになって、トラックがやってきて、驚いたことに御主人も一緒に付いてきた。どうやら今日は米出荷の当番に当たって集落廻りをしているらしい。いつもは農協の倉庫の中でもくもくと米を積んでいるので、たまに外での米の積み込みは気晴らしになるらしく楽しそうである。さて、御主人がやってきたので僕は犬小屋の中に閉じこめられるなって思い、素直に自分から犬小屋の中に入った。すると御主人がドアを閉め、トメがねを閉めた。時々、「わんわん、わおおお〜ん」と吠えてみたけれど、御主人から「うるさい」と言われ、いつもの米出荷の日よりはおとなしくしていたよ。それもこれも御主人が居たからなのだ。やはり御主人が僕に及ぼす力は並大抵ではないのであった。そして、トラックへの米の積み込みが終わると、すぐに解放された僕なのであった。
10月18日 あめがふったりやんだり
夕べは、いきなり花火が打ち上がって数分間続いた。花火の音を聞きつけて外に出て来た御主人に「あれは何なのだ」と聞いたら、今日と明日は近くにある県立大学の学園祭なのだという。みんなも知っていると思うけれど、花火と雷が大嫌いな僕はトラックの下に潜り込んで震えていた。ところが、「頭隠して尻隠さず」のことわざのように尻尾がトラックの下から出ていたのを御主人につかまれてしまった。まさに「尻尾を出す、あるいは、つかまれる」のことわざ通りになってしまったのだ。別に悪いことをしたわけではないので平気だけれど、大学祭の花火のおかげで人間のことわざを二つも実行してしまった僕なのであった。
10月17日 はれ
稲刈りの終わった御主人は余裕で毎日を過ごしている。昨日などは「交通指導員県大会」に一日行ってきて、帰宅は夜の10時半だった。そして今日は、のんびりと・・・までは行かないけれど1人で「モミスリ」、つまりお米の殻をむいて袋に詰める作業を黙々とやっている。農作業は順風満帆と言った所だけれど、世の中はそんなに甘くない!!農協の出荷規定にある米水分含有量まで乾燥したはずなのだけれど、なぜか、それよりも高い値が出てしまった。「モミスリ」は中止。貯蔵庫の中のもみが乾燥機に戻され再乾燥されることなった。文章で書くと簡単なようだけれど、その手間は大変である。まぁ、細かいことを言ってもしょうがないけれど、今晩、再乾燥させて明日になってから又モミスリ・・・が出来るかどうか?「請うご期待」と言った所である。もっとも、僕は外に寝ころんで「我関せず」といった自らの姿勢を崩さなかったんだもんね。だって、農作業に関しては飼い犬に出来ることなど何もないのだから・・・・
10月16日 あめのちくもり
今年の稲刈りは雨に悩まされての作業のようだった。僕は犬なので肉体的なお手伝いは出来ない。ただ、田んぼへ置いてあるトラックを取りに行くのについて行ったり、小屋の中にあるお米が盗まれないように「番犬」をしたりするぐらいである。そう言えば、この前農協の管内でお米の盗難事件があったらしい。そんなことを聞くと僕も責任重大だなって思う。でも・・・・お米泥棒がやってきても、「わんわんわん」と、吠えるぐらいしかできないからなぁ・・・・・思いっきり噛みついたり出来るかなぁ〜?。「わっ・・・わわん、わんわん・・・」と吠えながら尻尾を下げて犬小屋の中に逃げ込むかも知れないなぁ・・・?
10月15日 はれ
今日も御主人は農協の米の積み卸しのお仕事に出かけていったよ。昨日は休んで家の稲刈りをしたんだけれど、少し残ってしまったらしい。それで、今日は夕方の4時頃に家に帰ってきた御主人はコンバインを動かして田んぼへ出かけて行った。もちろん今日中に稲刈りを終わらせるためである。1時間ほどしたら、コンバインが御主人と共に帰ってきて「ムツ、田んぼにトラックを取りに行くぞ」といわれて御主人に付いていった。歩いた距離はほんの少々なのであった。トラックのところへ付くと、御主人は助手席のドアを開けて「乗れ!」といった。僕はもう少し歩きたかったので、知らんぷりをしていたのだけれど、何度も何度も「乗れ」といわれたので、仕方なく助手席にのっり、こうしてトラックに乗って家に帰ったという訳なんだ。仕事のお手伝いをした満足感と、散歩の距離が短かった不満と相半ばした今日の夕暮れなのであった・・・・そして、今年の稲刈りは無事終了したのであった。
10月14日 はれ!
今日は夕方の5時に鳴り出す市役所のオルゴールの音に合わせて遠吠えをしてみた。すると、すぐさま御主人が散歩へ連れ出しにやって来た。こんな事を毎日やっていると、犬は遠吠えをすれば散歩に連れて行ってもらえると思うらしい。こういった飼い主の行動は犬にとっても良くないと言われている。なぜなら、犬はマニュアルにしたがって生きる動物である。(犬自体が、こうでなければいけないと思いこみ、それにしたがって行動する事を言う)このようになってしまうと、いつもの時間に散歩へ行けないとストレスを感じてしまうのだという。犬は体内時計を持っていて、時間がわかるのだという。もちろん何時何分という数字でわかるわけではないけれど、おおよその時間を知ることが出来る。そして実際の時間との誤差は僅差と言っても良いほどである。したがって「いいかげん」、「ほどほど」、「適当」などと言う言葉が犬の飼育には最適な言葉なのである。だが、犬のしつけは違うのだという。誰が言うのかというと御主人である。「誉めるときは誉める。叱るときは叱る。ヨシ!とダメ!をはっきりと聞き分けができるようにする。これが出来れば、飼い主が呼んでも来ないような犬になったとしても大丈夫なのだそうである。つまり、僕のような性質の犬がこんな考えの飼い主によって出来上がるのであった・・・・
10月13日 どしゃぶりのちはれ
今日は朝からポツポツと雨が降り始めて、やがて土砂降りになった。今日は我が家の米の出荷日なので僕は同然のことながら犬小屋の中に閉じこめられた。この前の出荷日は晴れたので、家の裏口に繋がれたのだけれど、今日は雨が降ってきそうだ、と言うので犬小屋の中に閉じこめられてしまったのだった。農協からお米を取りに来た人達には当然の事ながら「わんわんわんわんわんわん」とうるさいぐらいに吠えてしまった。そして、夕方4時になって帰ってきた御主人に、やっと犬小屋から開放してもらったのだった。でも、オシッコはそんなにたまっていなかったので苦しくはなかったよ。それより、この前の出荷日の時のように今日、家の裏口に繋がれていたら、僕は土砂降りの中で「水も滴るいい男」ならぬ「いい雄犬」になっていたかもね?
10月12日 はれ
今日は、昨日の稲刈りの遅れを取り戻そうと一日中御主人とお母さんでやった。午後からは仕事から帰った上のお兄さんも一緒になっての稲刈りである。おかげで、残りは約80eほどになった。順調にいけば今年の稲刈りは約2日で終了となる。でも・・・・雨男の御主人だから、順調にはいかないと思うなぁ・・・・たぶんだけれど?。お天気に関しては、けっこううるさいむつ犬なのであった。
10月11日 はれのちあめ
今日は朝から絶好の稲刈り日和だった。稲刈り日和というのは風が吹いていて、朝露も雨露もなく、朝早くからコンバインで稲刈りが出来る状態を言う。通常は露があって10時から11時、つまりお昼前ぐらいまで刈り取りが出来ないのだ。けれど今日は!!、と言うわけで10時頃から稲刈りが始まった我が家なのであった・・・・ところが、お昼休みをしていると雨が降り出し、御主人とお母さんは田んぼに置いてあるコンバインがずぶ濡れにならないように家に持ってこようと大騒ぎになってしまった。結局、コンバインと御主人が家に帰り着いたとたんに雨が本降りになってしまった。これで今日の稲刈りは中止。でも、夕方頃には曇りになって僕の散歩は行けるようになるんだもんね(まだ行っていないので予定だよ)。何だか僕だけ良いことずくめになって御主人には申し訳ないんだけれど・・・
10月10日 はれいちじあめ
「昔は今日が体育の日で休日だったものだ」と、御主人は遠い日を懐かしむように僕に言った。何でも、昭和39年の今日に東京オリンピックが開催されたのだという。御主人は小学校の6年生だったのだそうだ。今だけを考えていれば良かった小学校時代は黄金の時代だとも言う。たしかに映画では「3丁目の夕日」が昭和30年代を時代背景としている。御主人は昭和30年代を小学生として過ごしたので感慨もひとしおなのだろう。ところで、僕は9歳なので、学年で言えば小学3年生位なのだろうか。でも、算数の九九や、国語の漢字の書き取りなどはまるで出来ない。当たり前と言えばそうなのだけれど、その代わりにこの年になって、飼い犬としてのふてぶてしさを学んだ僕なのであった・・・・
10月9日 はれ
台風一過の青空・・・とまでは行かないけれど晴れた。御主人は稲刈りもそこそこに農協でお米を倉庫に入れるお仕事にも行っている。今日は平日にもかかわらず、作業小屋の中でモミスリをしている。「どうして、今日は家にいるのだ?」と聞くと、9日、つまり今日が台風がやってくる日だったのだという。ところが台風が予想外に早く来てしまい、今日は晴れてしまった。「晴れてしまった」という言い方は無いじゃないかというと、御主人は素直に認め、台風被害の無かったことに感謝すると、お天気に対する謝辞を述べた・・・。でも、被害が全くなかったわけではない。植木鉢が一つ、横倒しになっていた。そして、ひどい風の「ゴウゴウ」となる音に恐怖心をあおられた僕が一番の被害を受けたのかも知れない・・・
10月8日 あさからあめのちふうう
「今日は台風がおいでになる」というので、朝から警戒態勢に入った僕なのであった。何しろ、この所我が家には日中、僕だけしかいないので責任が重大である。ところが、いつまで待っても「台風」なるものはやってこない。別にこちらからおよびしたわけではないし、何の用事があってやって来るかもわからないので、寒いこともあって犬小屋の中に入って眠ってしまった僕なのであった。夕方になって御主人が帰ってきた頃になると激しく降っていた雨は小降りになり、その替わりに風が強くなってきた。「いよいよ台風さんのお出ましだな」と思ったけれど、散歩には行けないというので、まずは腹ごしらえをしてから台風に対する臨戦態勢を取ろうと思い小雨の中を外で立ちつくしていた。もちろんご飯を待っていたのだけれど、強い北からの風は容赦なく僕に吹き付けてくる。御主人もまともには歩けないぐらいだから、犬の僕などは立っているのがやっとである。と、言うわけで、御飯を食べたあとは犬小屋の中に潜り込んで、寝ながら台風に対する臨戦態勢を取ろうと思った僕なのであった・・・・・
10月7日 うすぐもり
今日は我が家のお米の出荷日だった。例年であれば、お米を取りに来る人達に迷惑がかからないように僕は犬小屋の中に閉じこめられるのだけれど、今年は御主人が「仏心」を出したのか、犬小屋の中ではなくて、家の裏口へ連れて行かれ、そこに立っている生け垣の杭に紐をつながれた。僕がいつもシャンプーをされるときにつながれる杭である。ところが・・・・僕は犬だから、彼方此方と動き回り、杭に絡まり、生け垣の根本に絡まり、身動きが取れない状態になってしまったのだった。家には誰もいないし、おじいちゃんが来ても僕の居場所を御主人は言っていなかったらしくて助けてはもらえなかった。まさか、お米を取りに来た人達に助けを求めるわけにも行かないし、仮に助けを求めても怖がって無視されるだけだ。そこで僕は腹をくくって、じっと耐え続けたのであった。つらいことに耐え続けるのは「日本の美意識」である。「耐えがたきを忍び、忍びがたきを忍び」僕は夕方まで御主人が帰ってくるのを待ち続けたのであった。終戦直後の天皇陛下のお言葉のようでもあるし、東京渋谷駅前で御主人を待ち続けた「忠犬ハチ公」のようでもある。僕は自分自身の行動に感動し、「日本の犬」であり「秋田犬」であることを再認識したのであった。そして、御主人が本当に夕方になって農協の米出荷から帰ってきて、紐の絡まりから解放されたとき、最初にしたことは、わずか数十センチの距離にありながら紐がからみついてしまったおかげで近づくことの出来なかった水の入った容器に口を付けて、思う存分それを飲んだのであった。「はぁぁ〜、甘露、甘露!!!」
10月6日 はれたりくもったり
今日は稲刈りだった。御主人は僕とお話をすることもなく田んぼに行った。午後からは上のお兄さんもお手伝いである。夕方、と言っても暗くなって、やっと稲刈りが終わり、僕は散歩へ連れて行ってもらったんだ。すると、農道の端にモミが落ちている。僕の一食か2食分ぐらい落ちている。「これは何なんだ」と、御主人に聞いてみると、「俺がコンバインからトラックにモミを積み込むときにこぼれ落ちたのだ」という。ゴミぐらいだったらモミスリの時にどうにかなるけれど、小石などが混じってしまうと「製品」の中に入ってしまう」そうなのである。僕は「もったいない」と思いながら、こぼれ落ちたモミを踏んづけて、まだ半ばである散歩道を進み始めたのであった・・・・・モミを踏んづけること自体が「もったいなくも罰当たり」であることに気付かない飼い犬の僕なのであった。でも、こぼれ落ちたモミはスズメやカラスの食べ物になるのだから、まるっきり無駄にはならないのである。循環型というか、食物連鎖というか・・・つまりエコなのよね!!・・・・?
10月5日 はれ
今日は、早朝から霧がひどかった。田んぼの稲も夜に降った雨なのか霧に濡れているのか、しっとりと濡れている。これじぁ、お昼近くまで稲刈りは出来ない。と、言うわけで御主人は農協の米を倉庫に入れるお仕事に出かけていったのだった。今日一日、誰もいない我が家で僕は「我が世の春」ならぬ「我が世の秋」を満喫したのだった。但し、お米の詰まった袋が100数袋ほど作業小屋の中に置いてあるので、泥棒だけは気をつけないといけない。番犬としての役目はしっかりと務めたのだけれど、泥棒なんてそんなことは滅多にあることではない、と勝手に決め込んで一日中熟睡をしていた僕なのであった・・・・
10月4日 あめのちはれ
今日は「稲刈りだ!!」と、朝から張り切っていた御主人だったのだが、「いんたーねっと」とやらの「お天気雨雲レーダー」を見たら、「午前11時頃にひとしきり雨が降りそうだ」と言って、田んぼに出るのを控えていた。僕は首をかしげて「本当かなぁ〜???」と疑わしそうな眼で御主人を見上げたのだった。すると、本当に11時になったら雨が激しく降ってきたのだった。これには驚きである。御主人の的確さに驚いたのではなくて科学の力に驚いたのであるので間違えないように願いたい。と、言うわけで午前中の稲刈りは中止。午後からは、すっきりと晴れて少し強い風が吹いて午前中降った雨の水分を吹き飛ばしてくれたので、快適な稲刈りをすることが出来たという御主人の言葉だった。そして夕方散歩にもちゃんと連れて行ったもらったもんね!!
10月3日 あめのちはれ
今日は午前中が雨と言うことなので、御主人は1人で「モミスリ」をした。「モミスリ」というのは、刈り取ったお米を乾燥させて、お米の殻をむいて袋に詰め、出荷できるような状態にする作業である。「いよいよ新米が食べられる!!」と、僕もちょっと興奮したのだけれど、去年からのお米がまだまだ余っているので、すぐには新米が食べられない食糧事情のようである。僕はガッカリして、夕方散歩も上の空で歩いてしまったぐらいである。夕焼けが美しかっただけ、僕の心からの悲しみも深かったのであった。食い意地の張った・・・・いや、美食家の僕としては食べ物に関する喜怒哀楽が激しいのであった・・・・
10月2日 くもりのちあめ
今日は午後から本降りになってしまったよ。ところで、フィラリァの薬を飲むのも今年は最後の付きになってしまった。5月から、毎月初めの日に呑まされているのだけれど、昨日は御主人が忙しかったので今日になってしまった。薬は出来ることなら呑まされる本人が気付かないようにして欲しい。おいしいお肉の中に紛れ込ませるとか、禁断のお菓子の中に隠すとかである。御主人によると「禁断のお菓子イコール、とてもおいしくて犬などにはもったいないし、食べさせると歯磨きの習慣のない犬は虫歯になって、肥満になる恐れがある・・・・」と、このように長ったらしい図式が出来上がるのだけれど、月に一度、甘いお菓子(禁断のお菓子のこと)を一切れほど食べたからって、そんなに身体に害になるような物ではないような気がするんだけどねぇ〜・・・・?
10月1日 はれ
日中の厳しい暑さはまだ続いている。ところで、我が家では今日から稲刈りが始まった・・・と言うか、「刈ってみた」という程度かも知れない。それでも御主人1人で55aを刈り取った。おかげで夕方散歩は日が沈んで、辺りが真っ暗になってからだった。向こうからたんぼ道を歩いてくる大学生に気が付かなかったぐらいの闇である。散歩の目的は田んぼに置いてあるトラックを取りに行くことである。散歩に目的などは普通はないものだけれど、僕は今頃の季節になると「お手伝い」と称して散歩のついでに田んぼに置いてあるトラックを取りに行かされる。僕が運転するわけではないので、取りに行くのに付き合わされる、と言った方がよいのかも知れない。それでも、「僕だって、我が家のお仕事の役に立っているのだ!!」という飼い犬としての喜びとか、期待とかが混ざり合って楽しい気分になる。期待というのは、もちろん「もうすぐ新米が食べられる」って事なんだけれどね。