むつ犬のおまぬけ日記
平成21年 11月
11月30日 はれ
今日は11月の最終日である。明日からは暦の上では冬になる。それでも、今日は何という気持ちの良い日だったのだろう。お日様は暖かく、風もなく穏やかである。僕は外へ出て寝ころんだのだけれど、どういう心境なのか外に置いてあるトラックの下に潜り込んで寝ころんでみた。それでも気持ちよさには変わりがない。午後になって雲が少し多くなって午前中ほどの日射しは期待できなかったけれど、御主人は田んぼへ、やり残したお仕事をしに出かけていった。しばらくして帰ってきた御主人は「白鳥が田んぼに11羽いたぞ!」と僕に教えてくれた。そこで僕たちは夕方散歩を兼ねて白鳥さん達を見に行った。御主人が白鳥さん達を見た田んぼに行ったのだけれど、11羽の白鳥さんは何処にもいなかった。犬は数を数えることは出来ないけれど、明らかに何もいないことだけは認識できる程度の能力はあるつもりの僕なのであった。

11月29日 はれ
今朝は寒かった。もう少しで霜が降りそうなぐらいの寒さだったよ。日中もあまり気温が上がらず、犬小屋の中で一日を過ごす羽目になってしまった。ところで、御主人達は一家で何かおいしい物を食べに行くらしい。もちろんおじいちゃんとおばあちゃんも一緒である。僕の散歩とご飯は早めにすませてお母さんの車で出かけて行ってしまった。まぁ、僕は御飯を食べてしまったので後は寝るしかない。やがて、ややしばらく経ってお母さんの車が帰ってきたのを聞きつけて外へ出てみると、お肉の匂いがぷんぷんしている。お肉のごちそうを食べてきたんだなって思った。御主人がポケットからお肉のお土産を取り出したときは、その匂いが辺り一面にただよい、ここは天国かと錯覚したほどの僕なのであった。御主人はいつも通りもったいをつけて「ちょうだい」だの「お手」だのと食べる前の作法を色々僕にさせるけれど、僕は食べたい一心で様々な芸を披露したのであった。
このようにして、牛肉のステーキの一部は僕の胃袋に無事治まったのであった。めでたし、めでたし!

11月28日 くもりいちじはれ
この前は、例年に比べて寒いと言っていたのが、今頃は例年に比べて暖かいと言わなければならなくなった。陽気がころころ変わる。「犬猫の心は七変化」と言われるぐらい気まぐれな猫や犬の気持ちも、最近の天気の変化にはかなわないようだ。「いい加減、寒くなるならなってくれ!!」と御主人は言っているけれど、この前に買ってきた「とっても暖かい防寒具上下一式」の威力を試したいための言葉のようである。そうでなければ、寒いのが大嫌いな御主人がそんなことを言うわけがない。僕も、実は早く寒くなって欲しいと思う動物なのである。つまりは早く寒い冬になると早く暖かい春がやってくるから・・・・・・ってそんなにうまくはいかないのかもネ?

11月27日 あめがふったりやんだり
とうとう!!。とうとう、あの「ハタハタ」を食べることが出来た!!朝散歩から帰ったらお母さんがおやつの代わりに昨日の夜に焼いたハタハタを一匹丸ごと僕にくれたのだ。僕は感激の余り「ペロリ、ゴクン」と一飲みにしてしまったよ。アトでよく味わって食べれば良かったと公開したのだけれど、まだまだハタハタの季節は終わらない。始まったばかりなのだ。やっぱり僕は秋田原産の秋田犬なのだ(生まれは山形県庄内地方だけれど)。「ハタハタ」と聞くと血が騒ぐのである。胃袋がハタハタを求めて泣くのである。・・・・・・と、言うようなことを毎年のようにこの日記で言い続けているけれど、それほど「ハタハタ」という魚は特別な食べ物なのであった。幼い頃の御主人は冬になると毎日ハタハタの塩漬けがご飯のおかずに出て「うんざり」したという記憶があると言うけれど、いまは好んで食べるようになったという。もちろん僕は塩漬けのハタハタは食べることが出来ないけれど、生を焼いたものならいくらでも食べられる。これから12月いっぱいぐらいまでは「胃袋が喜ぶ季節」なのである。楽しみなのである!!

11月26日 はれ
今日も良い天気で風もなく穏やかで暖かかった。そこで一日中、昨日と同じように外へ寝ころんでいた。でも、あんまり退屈なのでお正月のことを考えてみた。お正月と言えば犬にとってはあまり「これだ!」というようなものは浮かんでこないのだけれど、犬に関係があるとすれば「いろはがるた」である。別名「犬棒かるた」とも言われる。いろは47文字の一番最初の「い」が「犬も歩けば棒に当たる」なのでそう呼ばれているらしい。しかし、なぜ犬が歩くと棒に当たるのかわからない。以前は1人で町内中をうろうろしたこともあるけれど、一度も棒に当たったことはない。もしかして「棒に当たる」とは誰かに棒で打たれることなのではないだろうか?だとすれば動物虐待が少なくとも江戸時代に問題視されていたのだろうか?謎はいよいよ深まるばかりなのであった・・・・などと、どうでも良いことを考えるのは楽しいのである。何処にも迷惑がかからないし、深刻になることもないのであった。

11月25日 はれ
今日は、昨日にも増して暖かく、お日様も気持ち良く地上を照らしてくれた。今日の御主人は、小さいビニールハウスにほうれん草と春菊を播くための準備作業をしている。午後からは種子を買いに行ったようだけれど、それよりも僕が気になるのは、お昼にお母さんが「ハタハタ」がたくさん詰まった箱を持ってきたことである。「ハタハタ」とは、主に秋田県人がこの季節に好んで食べるお魚で、これを食べないと冬にならないとまで言われる季節限定のおいしい食べ物である。僕は、この「はたはた」を食べさせてもらえるのかどうか気になるのである。「どうか、僕のお腹の中にハタハタがやってきますように!」と海がある方向に向かって心の中で手を合わせる僕なのであった。

11月24日 はれ
「ハァァァ〜、気持ちが良い!!」気温も13度ぐらいまで上がったので犬が外へ寝ころぶにはちょうど良い気温なのだ。御主人は米の出荷慰労会で「大曲の花火」で有名な所にある温泉へ出かけていった。今日の我が家は一日、僕1人の天下である。誰にもじゃまされずにお日様と戯れることが出来る。と言うわけで、久し振りにのんびりした僕なのであった。御主人が温泉につかってのんびりしたように、僕はお日様の下に寝ころんでのんびりとして、日頃の疲れを癒したのだった。でも・・・・飼い犬の日頃の疲れって何?

11月23日 あめとかはれとかくもりとか
まぁ、とにかくめまぐるしく天気が変わる一日だった、晴れたかと思えば土砂降りの雨になったり・・・ところで、今日は日本国民の休日である「勤労感謝の日」なのだという。お母さんもお休みである。お兄さんはお仕事へ行ったけれどね。それに僕も労働者の1人である。「番犬」という仕事は立派に職業なのである。そこで今日はのんびりと休ませてもらった・・・と言っても毎日のんびりしているんだけれどね。最近は「わんわんわん」と吠えることも少なくなった。なぜなら犬小屋の中に引きこもっているので外が見えないからだ。でも、これから冬になるのだから仕方がない。早く春になって欲しいと願っているのだけれど、時の流ればかりはいくら動物が願ってもどうなるわけでもない。森の熊さんのように、じっと冬ごもりをして春を待つのみの僕なのであった・・・

11月22日 はれのちくもり
午前中は晴れて、僕も久し振りに外へ出て地面へ寝ころんでみたのだけれど、やっぱり寒い。歳を取ったせいなのか、今年はこんな具合の陽気なのかはわからないけれど、例年よりは寒いようだと御主人も言っている。ちなみに御主人も僕と同じように10年は歳を取ってしまっている。まぁ、こんな天気なのだとあきらめて早々に犬小屋の中へ入り込んでしまった僕なのだった。でも、お日様が午後になって隠れてしまったのが悔しくて犬小屋の中にあるプラスチックの植木鉢に八つ当たりをした。おかげで寒さよけに犬小屋の床へ敷いてある断熱材が「八つ当たり」のせいで割れてしまった。御主人には叱られたけれど、気分がいくらか晴れ晴れとして夕方散歩にも気持ち良く行ってくることが出来たよ。

11月21日 くもりいちじあめ
御主人のお話によると、京都という所は、いまが紅葉に真っ盛りなのだという(テレビで見たらしい)。一方、我々の地方では木枯らしが吹き荒れて木の葉なんか何処へ飛んでいったのか・・・?。それに紅葉などにはちっともお目にかからなかった。ここ何年、きれいに色づいた山々を見ていないので「紅葉って何?」と首をかしげたくなってしまう僕なのであった。一般的には朝と夜の気温差が激しいほどきれいな紅葉になると言われている。それは作物や野菜もその通りで寒暖の差が10度以上あるとおいしいものができると言われている。今年はたしかに寒暖の差は結構あったと思うのだけれど紅葉だけは、と言うより単に茶色く変色した落ち葉と言ったものになってしまった。緑色の葉っぱから、紅葉を飛び越えてしまって落ち葉色になってしまった今年の野の山の葉っぱたちなのであった。・・・・

注・・・犬には、あまり関係ないことだけれど・・・

11月20日 はれたりくもったり
今日は晴れたんだけれど、気温が低くて僕は一日犬小屋暮らしだった。朝散歩と夕方散歩、それにオシッコがしたくなって外へ出ただけなのである。ところで、今日の夕方散歩の時に見た夕空はとても美しかった。しばらくこんなにきれいな夕暮れは見たことがなかったからね・・・・やっぱり「枕草子」の冒頭にあるように「秋は夕暮れ・・云々」だね!!。まぁ、これから冬がやってくるんだけれど食欲はあるし散歩にも行けるし、冬の寒さには万全の対策をしている・・・・とまではいかないけれど、そこそこに「冬対僕」の心構えは心に秘めている。どうやら今年は冬が早くやってきそうな気配である。紐が柱に絡み、犬小屋の中に戻れなくて零下の気温の中で一夜を過ごすことがないように祈りたい僕なのであった。

11月19日 はれのちいちじあめ
午前中は「小春日和」だったのだ。僕は嬉しくなって犬小屋から出て、辺りを散策したり(と、言っても繋がれている紐がとどく範囲だけれどね。)、地面に寝ころんだりしてお日様の暖かさを楽しんでいたのだ。それなのに、午後になると曇ってきて雨まで降り始めた。「犬の楽しみを奪うにくい雲!!」とばかりに空を見上げて黒雲をにらみつけてやった。にらみつけてどうなるものでもないけれど、少なくともそんなことをしてやらなければ気の済まない僕なのであった。夕方は雨が止んだので散歩には行けたんだけれどね。そこで一句。久々に宗匠である僕が詠んでみたよ。「夕暮れて アスファルトの散歩道 歩む足取り寂しかりけり」なんだかブツブツに切れてしまった短歌の出来だけれど、冬を迎える犬のわびしさと無常感を詠んでみたんだ・・・・けれどね?

11月18日 あめがふったりやんだりいちじゆき
とうとう御主人は決断した!・・・・何がって、「自動車のタイヤを冬用のタイヤに替えること」である。ちょうど、おじいちゃんが畑にやってきたので、おじいちゃんの車のタイヤも替えることにした。御主人のトラックと合わせて2台のタイヤ交換である。タイヤを取り替えていると雨が雪に変わった。やっぱり取り替えの決断は的を射ていたのだ。ところが、タイヤを替え終わったとたんに雪は雨に変わったのであった。さっき「的を射た」と言ったけれど訂正をさせてもらいたい。的には当たったけれど、正鵠(真ん中の黒い丸のこと)は射ていなかったのであった。それも的の端に刺さり、刺さり方が弱かったので自然に抜け落ちてしまった・・・と言ったような例えで良いのかな?

11月17日 あめ
一日中、雨がシトシトと降っている。昨日とは打って変わって穏やかな雨である。だけど、「寒い!」。いよいよ寒い季節の到来かと憂鬱になる。御主人は元々寒いのが嫌いなのだから、いまの僕と気持ちは同じだろう。でも、「秋田犬は寒さに強い!!」がうたい文句であったはずなのに、年を重ねると寒いのが苦手になった。何しろ、今頃の寒さでも犬小屋の中から出たくないんだからね。特に今年は晩秋だというのに晴れた日が少ない。「もっと光を!!」と晩年の詩人ゲーテじゃないけれど、お日様に向かって叫んでしまいそうになる近頃の僕なのであった。

11月16日 あめがふったりやんだり
台風並の風雨は収まったけれど風は強い状態である。今日の御主人は使いおわった農機具を作業小屋の中に格納のお仕事である。まるでパズルのようだ。「あれをこっちへ持ってきて、これをよせて・・・」と様々考えながらお仕事をしている。もちろん秋作業用の機械は奥の方へ、春作業用の機械や道具は手前に置いて3ヶ月半後にはすぐ使えるように配置する。ところが、これが中々進まない。落ち葉が強い風に吹き寄せられて、作業小屋に入ってくる。それをよせながら作業をする。もちろん作業小屋の戸を閉めれば入ってこないのだけれど、そうなるとお仕事が出来なくなる。御主人は箒を使って落ち葉を集めては捨てに行く。すると風がはき集めた落ち葉を散らし、さらに多くの落ち葉が吹きだまるってくる。こんな悪循環の中で御主人は黙々とお仕事をしていたのであった・・・・・らしい!。もちろん僕は犬小屋の中に寝ていたので御主人の動きを逐一見ていたわけではない。時々、寝るのに飽きて犬小屋の外へ出て御主人を見て、推測したに過ぎないのである。まあ、犬がお手伝いできるようなお仕事でもないし、じゃまにだけはならなかったので、そこら辺が「お手伝い」できたっていっても良いのかなぁ?

11月15日 ぼううふう
今日は朝から台風のような雨と風である。と、言うことなので朝散歩も夕方散歩も行けなかったのであった。一日中犬小屋の中で眠ってばかりいた。ところが、昼前、何かを感じ取って犬小屋の外へ出てみた。すると御主人の乗ったトラックが帰ってきて「ムツ、おやつを買ってきたぞ」という。僕はうれしさのあまり買い物袋に口をつっこんでみたけれど、それらしい匂いはしない。「おやつは何処?」と御主人を見上げると、袋の中から、さらに袋を取りだして口を開けてくれた。するとかぐわしい匂いが辺りにただよった。どうやら煮干しの匂いである。以前は「煮干しなんか猫さんの食べ物だ」と馬鹿にしていたのだけれど、これが中々おいしいし、身体にも良いことがわかってきた。早速一つまみもらって食べた僕なのであった、満足、満足!

11月14日 あめ
今日は夕方になって雨が止んだので、東の山の下にある溜め池まで行ってきた。家からそこまではトラックに乗っていった。そのため池から奥の方に歩いていくと上を高速道路が走っている。その道路を横断するトンネルが薄暗くて気持ち悪かったけれど、何とかくぐり抜けた。くぐり抜けても何もない小さな空き地があるだけで、あとは急斜面に植えられた杉林ばかりである。その杉林の奥はさらに深い闇である。僕と御主人は急に恐くなって早々にトラックを置いてある所まで帰ってきたのであった。僕たちが行った所にある山の頂上は、少なくとも400年以上前は城というか館があった場所で、戦も起こっている場所なのだ(あくまでも言い伝えであり伝説なのだけれど)。もしかすると、ここで戦死した人達の何かがその場所を気味悪くさせているのかも・・・・知れない?

11月13日 はれ
今日は13日の金曜日と言うことで縁起を担ぐ人は気になるだろうけれど、御主人は気にしない・・・らしい。それに、今日は「大安」らしい。犬には理解できないことなのだけれど、野生の本能を失ってしまった人間にとっては、こんな縁起担ぎが自らを危険から守る方法なのだという。犬は、本能によって危険か安全かを即座に判断する。その判断を誤って自らを危険にさらしてしまった場合は、自分自身の判断が悪かったとあきらめるしかないのである。ところが人間は、そんな場合になったら「運が悪い」と他人や天地自然のせいにする。人間は生物の再頂点に立っていると自負しているけれど、いざとなったら真っ先に消滅してしまう生物なのだと思っている飼い犬の僕なのであった。えっ?、飼い犬だって万が一、人間がいなくなった場合でも何とか生き延びていけると思うよ。

11月12日 はれ
すっきり晴れた。僕は外に出てお日様のぬくもりを楽しんだ。御主人はモミガラを田んぼへ運ぶお仕事である。そのお仕事が何だか今日で終わりそうだと言っている。これが終わると本当に秋作業が終わりというわけだ。その他に様々なお仕事が待っているようだけれど、あとは春先でも良いだろうという御主人のお気楽な考え方である。でも、「その前に来年のお米の苗を作るための土だけは作業小屋の中に入れておいた方がよいのじゃないでしょうか?」と、御主人に忠告したい飼い犬の僕なのである。でも、飼い犬が我が家の職業に対して「ああだ。こうだ。」と言うことは主従の礼(飼い主と飼い犬の関係)に反することなので、あえて口をつぐんでいる僕なのであった・・・・

11月11日 あめのちくもり
今日、11月11日は「いいわんわん」で「良い犬の日」なのだそうだ。日本人お得意の語呂合わせというかシャレというか・・・・日本語を大切にする日本原産である秋田犬の僕としては「いい」ではなくて「良い」なのではないかと言いたくなってしまうけれど、犬の日なるものが出来ただけでもありがたいと思わなければいけないのだろう。何を持って「良い」のかはわからないけれど、「飼い主に忠実である」とか「恰好がよい」とか「性格がよい」とか様々あるだろうけれど、人間中心の考え方で「良い犬」が決められることは間違いがない。まぁ、僕なんか間違っても「良い犬」には選ばれないだろうけれどね。「ふん!!」

11月10日 くもり
今頃の季節にしては暖かい一日だったよ。但し、空はどんよりと曇っていて、鬱陶しい。だから僕は一日中犬小屋の中で過ごしたのだった。でも、一日犬小屋の中にいると飽きてしまうので、時々は外に出て辺りを見回したりして気晴らしをするんだ。すると、御主人がモミガラを田んぼに運んでいる。モミの中に入っているのがお米で、「モミスリ」と言う作業をするとモミガラとお米に分類されて、お米は袋に詰められて出荷される。そして、モミガラは何の役にも立たない。田んぼに運んで燃やしてしまう。燃やしたモミガラは灰になって、いくらかの田んぼの肥料にはなるようだけれど、今のところ役に立たないやっかいな代物なのである。御主人は真剣にモミガラが役に立つような方法を考えているけれど、今のところ燃やすしかない。思えばかわいそうな存在なのである。・・・・・

11月9日 あめがふったりやんだり
4日ぶりに雨が降った。でも、この前のような激しい雨ではない。穏やかに「シトシト」と降る雨である。そして暖かい雨である。僕は一日中雨降りというので、犬小屋の中で居眠りをしていた。作業小屋で秋作業の後始末をしていた御主人は、僕が中々犬小屋から出てこないので雨降りにもかかわらず夕方散歩に連れ出してくれた。もちろん僕は喜んでいったのだけれど、途中までいったら「雨降りだから帰ろう」という・・・まぁ、気休めみたいな散歩だったのだけれど、少しでもうっとうしい雨降りの気晴らしにはなったよ。

11月8日 はれ
今日は自動車に乗って遠出をしてきたんだ。別の言い方をするなら「家出」かな?。午後も3時を回った頃、御主人にいきなり「トラックに乗れ」と言われ、僕は御主人の運転する軽トラックの助手席に乗り込んだ。目的地は若犬の頃によく行った「七曲がり溜め池」である。深い山の中にある。そこに着くと、もう当たりは薄暗くなっている。溜め池の廻りをしばらく歩いたのだけれど、何だか熊かカモシカでも出て来そうで恐くなってしまった。なんか感じるのである。僕が怖がっているのを見て御主人も何かを感じたのか、早々に僕たちはトラックに乗り込んで家に帰ってきたという訳なんだ。これが今年初めての「遠出」だったんだよ・・・・

11月7日 はれ
今日は快晴である。一日が穏やかに明けて穏やかに暮れていった。こんな日は犬にとっては貴重な一日だ。地面に横たわってお昼寝するのがもったいないぐらいだ。どこかへ出かけたくなってしまう。と、言う考え方は人間特有なのだ。犬は、ここぞとばかりにお日様の暖かさを浴びながらお昼寝するのを無上の楽しみにしている。ところ、御主人も「今日は何もしない」と宣言をして、一日中ゴロゴロしていたのであった。今まで忙しかったことの反動なのだろう。もっとも午前中は床屋へ行ってきたらしいんだけれど。昨日も今日も、気持ち良く晴れてくれた。こんな日が一日でも長く続くことを願う飼い犬の僕なのであった。

11月6日 はれ
幼犬や若犬の頃は野生の本能がまだ残っていて、穴掘りをしてひんやりした土の中に入って涼んだり、穴の中に食べ物などを隠したりするものなのだけれど、成犬や老犬になると、そんなことは馬鹿馬鹿しくてやらない。なぜかというと、食べ物を穴の中に隠してもすぐ忘れるし、食べ物は毎日もらえるのでそんなにお腹が空くことはない。だいたい体力が消耗する。飼い犬が必要とされるのは動物の本能ではなく処世術である。いかに御主人に気にいられるか、どのように行動したら食べ物がもらえるのか、と言った世渡り術がこれからの飼い犬には重要なことなのである。と言うわけで、今日もうまく立ち回って無事一日を終えることが出来た僕なのであった・・・・。

11月5日 らいう、ごうう
午前中は、そんなでもなかったけれど午後になったら雷が鳴ってプールの水をひっくり返したような豪雨である。こんな時は、どこかへ逃げ隠れするに限る。ところが、今日はもうすでに逃げ隠れする場所に朝からいたのであった。それは犬小屋の中である。今日は我が家で今年最後のお米の出荷日である。農協からお米を取りに来るので犬小屋の中に朝から閉じこめられていたというわけなのだ。だから、いくら大嫌いな雷が鳴っても安心という訳なんだ。お米の出荷は午前中に終わったのだけれど、僕は午後からも引き続き犬小屋に閉じこめられっぱなしなのであった・・・・

11月4日 はれたりくもったりあめがふったり・・・
昨日は、この季節一番の寒さだったのに、今日は暖かかった。犬小屋の中より外の方が暖かかったので僕は外へ出てみたりした。でも、さすがに晩秋である。寝ころんでお昼寝というわけにはいかないようだ。お天気もめまぐるしく変わるしね。ところで、今日でやっと秋作業は終わりのようだ。我が家のモミスリがやっと終わったらしい。後始末はしばらくかかるようだけれど、農繁期はとりあえず終わったのだと御主人が宣言している。何を持っての宣言かはわからないけれど、とりあえず「ホッ」としたという所なのだろう。僕としても「新米」を食べることが出来ると期待しているのであった。

11月3日 ゆきがふったりやんだり
風が強くなって朝から雪が降ってきた。そして晴れ間が出てみたりと忙しい天気である。雪が降ったというものの積もりはしなかったんだけれどね。それにしても雪の降るのが早すぎる。これからゆっくりと晩秋を楽しもうと思っていたのに・・・・僕の場合は野山の紅葉を愛でるわけではない。短くなった日射しを存分に浴びてお昼寝を楽しみたいと思っているだけなのだ。それに紅葉と言っても、すでに木の葉が散ってしまったものもあるし、だいたい葉っぱに色なんか付かないで茶色く枯れてしまってハラハラと地上に落ちてくる方が多い。世の中の動きも忙しないけれど、自然の移り変わりも、それに合わせて忙しなくなったのかねぇ〜・・・

11月2日 あめがふったりやんだり
今日も雨である。時々雪混じりの雨が降ってくる。「はぁぁ〜、もうそんな季節になってしまったのか」とつくづく思う。この間まで、御主人はTシャツ一枚で、僕は舌をこれ以上伸びないぐらいに口から出して散歩していたというのに・・・・今日なんかは寒いので一日中犬小屋の中に閉じこもっていたよ。御主人は作業小屋の中でモミスリのお仕事である。何でも、明日は雪が降るという噂もあるけれど、たぶん明日も一日中犬小屋の中で過ごさなければならないだろうなぁ・・・・

11月1日 あめ
朝からものすごい風が吹いていて、朝散歩の時は身体が飛ばされそうだった。その風が止むとものすごい雨が降ってきた。暖かかったので外に寝ころんでいた僕はあわてて犬小屋へ避難した。その後は雨降り続きである。こんな日は左右方散歩にも行けないので、アトの楽しみは食事だけと言うことになる。食事なんて言うけれどそんな上品なものではないと言うことはみんな知っているので、あえて言わないけれど・・・・