飯島 孝先生  国立環境研退職時メッセージ

 

飯島 孝先生は環境省大気保全局大気規制課で酸性雨担当をされ、国環研理事に在任されていました。私は酸性雨対策検討会委員として、委員会で意見を交えた思い出があります。また、「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)」の設立のための中国ミッション(北京、成都、重慶)、バンコクでのJICAの酸性雨研修に同行させていただき、飯島先生の行政官としての優れた手腕を見させていただきました。

 今回、国環研理事の御退職にあたり、国環研の皆様へのご挨拶を掲載させていただきます。

(村野健太郎(国立環境研究所)記載)

 

国立環境研究所の皆様へ

私こと、7月19日付で国環研を退職し、20日付で環境省を退職いたしました。

昭和47年、環境庁に入庁以来、国家公務員生活34年の最後の3年間につくばの国環研にて勤務できたことをたいへん嬉しく思っています。特に最後の1年間は第2期中期計画の策定に向けて所員の皆様と議論を重ね、新たに立派な中期計画を策定できたことは国家公務員最後の仕事として感慨深いものがあります。尤も最後の3ヶ月余は非公務員でしたが・・・

今般、国環研を去るにあたり、私から皆様に期待することが2つあります。

 

ひとつは長期ビジョン研究への期待です。

第2期中期計画では4つの重点研究プログラムと各研究領域で行う先導的・基盤的研究のベスト・ミックスが謳われていますが、これら複合分野をつなぐキーワードとして環境長期ビジョン研究があげられます。

国環研が国立公害研究所として設立された30年前に地球温暖化問題を予測できた研究者が何人いたでしょうか?私たちはこれから30年後のビッグイシューを予測することができるでしょうか?今後の環境問題の予測とそれに対する取り組みは、国環研が今後とも「環境研究の総本山」を標榜することができるかどうかの鍵になるでしょう。そのためには、すべての研究者が何らかの形で長期ビジョン研究プロジェクトに参加されることを期待しています。

 

もうひとつは研究所で働く全ての人が研究所を愛する「愛所心」の醸成です。

国環研の名声は優れた研究成果を上げることのできる研究者だけのお陰ではなく、それを支える管理部門の職員やNIESフェローからアシスタント・スタッフまでの契約職員の努力があって初めてこれまで外部から高い評価を受けてきたものだと思います。このため、新中期計画では特に契約職員の処遇について配慮したところです。「愛所心」醸成のため、研究所で働く人ひとり一人が、それぞれの「良かった探し」をしてみませんか。

最後になりますが、国環研在職中は公私共に温かいお付き合いをいただき、楽しく充実した仕事ができましたことに深く感謝申し上げるとともに厚くお礼申し上げます。

退職後は、財団法人産業廃棄物処理事業振興財団に勤務しております。新しい職場は平成4年、私が初めて廃棄物行政に携わった時に設立された団体であり、自分の原点に立ち戻った気がしています。これからは「持続可能な循環型社会」の形成に向かって奮励努力いたす所存ですので今後ともよろしくお願い申し上げます。

 国環研の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、お礼方々ご挨拶申し上げます。

 

平成18年8月2日

                            飯島 孝   

                   (勤務先)財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団 専務理事

 

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