2007年大気環境学会での受賞報告

 

(2007年大気環境学会年会時の酸性雨研究会オールナイトミーテイング時に、酸性雨研究会会員の受賞披露が行われました。大気環境学会進歩賞、大気環境学会論文賞、日本土壌肥料学会奨励賞、日本エアロゾル学会2007年度論文賞が披露されました。受賞された方々から、以下のメッセージが届いています。おめでとうございます。これからもますますのご活躍をお祈りします。)

 

大気環境学会進歩賞受賞報告  藍川昌秀(兵庫県健康環境科学研究センター)

この度、国立環境研究所村野健太郎先生、広島県大原真由美先生にお世話いただき、「兵庫県における酸性沈着調査・研究」に対し、大気環境学会進歩賞を授与いただきました。ありがとうございました。

この受賞は、大気環境学会特に酸性雨分科会、酸性雨研究会の皆様から、日頃からご指導ご鞭撻をいただいている賜物であると心から感謝申し上げます。

合わせまして、地環研の一員として全国環境研協議会特に酸性雨調査研究部会を通じての日頃からのご指導・激励に対してもお礼申し上げます。

 

私が地方自治体の研究所の研究員として酸性雨調査研究の機会を与えられたのは、今から9年6ヶ月前、兵庫県に入庁して3年を県庁大気課で勤務した後でした。

まだまだ昔を懐かしむには早い年かとは思いますが、今回の進歩賞受賞に際し一つの節目として思い返すに、この約10年、実に色々なことがあったと思い出され、思い返すと感無量です。

昔、大学時代にある先生が授業中にふっと、「人間、『つき』は平等なのだなぁ」と言われたことがありました。本当に何気なく言われた一言であり、また地球物理の授業だったので私は『つき』は『月』かと思い、どういう意味かなぁと意味も深く考えずに聞き流しました。その後すぐに『つき』は『月』ではなく『運』だとわかったのですが、思うに私は人間関係特に上司、先輩、同僚、友人に実に恵まれた人間だと思います。今回の受賞に際しましても、個々のお名前を上げることは差し控えさせていただきますが、本当に多くの方にお世話になっていると改めて認識するとともに、心から感謝申し上げる次第です。ありがとうございます。

小学校の時、先生が同級生に「あなたはどうして勉強するの?」と尋ねたことがありました。彼女はその時「自分を高めるため」と答えたのですが、その時に彼女がどう思いそう答えたかは分かりませんが、今思うになんともすごい小学生だったのだなぁと思います。私は今年で40歳です(10月1日生まれですので平成19年9月30日までは39歳です)が、日々の研究生活・社会生活の中で、「世の中知らない・分からないことばかりで、人間として、技術屋として生涯勉強だなぁ」と痛感しています。これからも小学校時代の同級生がそう答えたように「自分を高めるために」勉強し続けていきたいと思っています。どうぞこれからも今まで以上にご指導・叱咤激励をいただけますようお願い致します。

その一方で、笠原三紀夫大気環境学会会長からいただいた進歩賞の賞状の最後の一文の中の一節「・・・・、今後の若手リーダーとしての指導的研究を期待して、・・・・」、この一節に込められた意味も深く肝に銘じて、今後の調査研究生活・社会生活を送る所存です。

皆様本当にどうもありがとうございました。そして、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。最後に今一度厚く御礼申し上げます。

平成19年9月9日

追伸

受賞の内容の詳細につきましては、来年の大気環境学会誌(号未定)に総説として執筆する予定です。掲載に際しましてはご一読をいただき、御意見等をいただけると幸いです。

 

 

大気環境学会論文賞(地域密着研究部門)  松本利恵、米持真一、丸山由喜雄、小久保明子、坂本和彦

非海塩由来塩化物イオン沈着物に対する廃棄物焼却施設の影響、大気環境学会誌、41(3)、135-143 (2006)

 

日本土壌肥料学会奨励賞受賞報告     林 健太郎(独立行政法人農業環境技術研究所)

日本土壌肥料学会奨励賞:林 健太郎「大気を介した窒素等の負荷およびその土壌環境への影響」

 この度,これまでの一連の研究に対して栄えある賞を賜りました.

一連の研究では,農業由来のアンモニア発生,畜産地域での窒素負荷,湿性・乾性を合わせた窒素沈着量,三宅島雄山の噴火に伴う硫黄沈着量の増加とその土壌への影響,そして,臨界負荷量を用いた大気沈着への脆弱性のスクリーニングを対象としました.今後はこれらを繋ぐ包括的な研究,そして,大気科学と土壌科学などの異分野の研究者を繋ぐ活動に微力ながらも貢献できるよう頑張ります.これまでの皆様のご指導,ご鞭撻,そしてご協力に深く感謝申し上げます.これからも「奨励」の期待に応えられるよう努力して参ります.

 

日本エアロゾル学会2007年度論文賞    日置 正、中西貞博、向井人史、村野健太郎

日本海沿岸で粒径別連続採取したエアロゾル中の水可溶性イオン種および微量金属成分による長距離輸送現象の解析−2002年春の黄砂イベントを中心に−、

エアロゾル研究, 21, 160-175(2006)

受賞のご報告   日置正(京都府保健環境研究所)

この度,「日本エアロゾル学会2007年度論文賞」という栄えある賞を賜りました。このような高い評価をいただいた関係の先生方に厚く御礼申し上げるとともに,本研究を実施するにあたり多大なるお力添えを賜りました皆様に心より感謝申し上げます。

また,論文の完成の最終段階で,多くの貴重なご示唆と励ましの言葉をいただいた査読の先生方に感謝申し上げます。

地方環境研究所という研究環境において実施した,大気エアロゾル成分の観測という,どちらかと言えば地味な研究が,今回,論文賞という栄誉をいただいたことは,私一人のみの栄誉にとどまらず,日々地道に研究に取り組んでいる地方環境研究所の研究仲間を大いに元気づけることになると確信しております。

本研究は,国立環境研究所 向井先生の降雪やエアロゾル中の鉛同位体比と流跡線解析により我が国に長距離輸送される大気汚染物質の起源を推定された一連の論文を拝読し,観測地点でのわずかな同位体比変動から,波濤や平原や山岳を越えた数千kmの飛程の彼方を思い描けることに得も言われぬ夢とロマンを感じたことに端を発しています。

受賞論文では,バーチャルインパクターとPTFE製テープろ紙による2粒径分粒採取が可能なPM2.5質量濃度測定装置と高感度のアルゴンプラズマ質量分析装置を組み合わせることによって,微量金属元素の粒径別,高時間分解能,長期連続観測の可能性を示し,この観測手法を用いて黄砂イベントにおける元素の特徴を明らかにするとともに,黄砂と同時にPb,Cd,Sbなどの人為起源元素が微小粒子として飛来していることを明らかにしました。本研究はまだ端緒についたばかりでありますが,今後は長距離輸送エアロゾルにとどまらず,本研究手法を本命である都市大気エアロゾルの動態解明に応用していきたいと考えております。

頭に白いものが混じるようになり,将に五十の手習い状態でありますし,いささか健康上の不安もありますが,自分ではまだ発展途上と思っておりますので,今回の受賞を励みに体力と気力の続く限り一歩ずつ夢とロマンとエアロゾルを追い続け,大気エアロゾル科学の進歩にわずかでも貢献できればと考えております。

酸性雨研究会の皆様とは少し離れた分野におりますが,今後とも忌憚のないご意見やご指導を賜りますことをお願いするとともに,丁重なご祝辞をいただいたことに感謝申し上げ,受賞のご報告とさせていただきます。                                                     2007年9月14日

 

 

 

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