まずは、知らない事はとりあえず辞書・事典で調べてみましょうという事で、『広辞苑』をめくってみました。
しょう-ぎ【将棋・象棋・象戯】
室内競技の一。二人で将棋盤を挟んで相対し、盤面に配置した駒を
交互に動かして闘わせ、相手の王将を
擒(とりこ)にした(詰めた)ものを勝とする。インドに起こり、日本には遣唐使や入唐僧などによって中国から伝来したという。
大将棋・中将棋・小将棋などがあり、現今の将棋は小将棋に中将棋の飛車・
角行を加えたものから発達。相手から取った駒を自軍で使えるのが特徴。「──をさす」
はい、調べてみてこんなにいろいろ書いてあるとは思いませんでした(笑)。
ただ、これではちょっと解りにくいですね。という事で、恐れ多くも広辞苑の説明に僕なりに補足を加えた上で解説してみたいと思います(大丈夫か?)。
なお、リンクしている単語をクリックすると、それぞれの解説に飛びます。
二人でするゲームです。以上。
ウソです(笑)。冗談はさておき、将棋をするには相手が要ります。最近は、パソコンやゲーム機、はたまた携帯電話などを利用し、一人でも遊べますが、
人にしろ機械にしろ、相手が要る事に変わりません。
ちなみに将棋をする事を、「将棋を指(さ)す」または、「対局する」(注1)と言います。
よく、将棋を知らない人が、「将棋を打つ」(注2)と言っているのを耳にしますが、これは間違いです。「打つ」という表現を用いるのは囲碁です。
余談ですが、“将棋を打つ”で変換しようとしたら、赤い字で《「将棋を指す」の誤用》と表示されました(やるな、ATOK)。
注1 将棋、囲碁を始め大抵のテーブルゲームは試合する事をこう表現します。
注2 将棋でも持ち駒(注・相手から取った駒)を使用するは場合“打つ”という表現を用いますが、この場合は、「駒を打つ」と言います。
左の画像が将棋盤(ここでは将棋についてしか触れませんので、以下、単に「盤」と表記します)です。
タテ・ヨコ各9列、合計81コのマス目があります。
極端な話をすれば、駒の収まる9×9のマス目さえあれば、何でも盤になります。ボール紙に定規で線を引いた物でも盤になります。
まあ、雰囲気は出ませんが(笑)。
ちなみに左の盤の上と右には、それぞれ算用数字と漢数字で番号が付いていますが、これはマス目の座標を示すためのもので、普通、対局用の盤にはありません。
それでは、これから盤の座標について解説しますので、盤の画像にマウスポインターを合わせて下さい。各マス目に番号が付きましたね。
これが各マス目の座標です。ヨコ位置(算用数字)が先、タテ位置(漢数字)が後になります。
ヨコ位置の番号が右から左に大きくなっている事に注意して下さい。
読み方は、「いちいち」、「にーよん」、「ごーろく」など、普通に日本語で番号を続けて読む場合と同じです。この番号の後に、動かした駒の符号を付けて指し手を示します。
一例を示すと「▲7六歩」(ななろく・ふ)や、「△3二金」(さんにー・きん)などです。
番号の前に付いている三角形は、それぞれ、黒塗りが先手(下手)、白抜きが後手(上手)の指し手である事を示します。
本来は駒形の五角形を用いるのですが、ネット上などでは便宜上、三角形を用います。
なお、指し手を示す符号については、もう少し先の項で詳しく解説します。
とりあえずここまで読んで、「将棋盤のマス目は、タテが9列、ヨコも9列なんだから、どの角を基点にして番号を付けいるのか判らないじゃないか」と疑問に思った方もいるハズです。
座標の基点は、後手(上手)側の左端、先手(下手)側から見て右奥になります。
この画像の盤は右上が基点、つまり先手(下手)側から見た盤面になっていますが、出版物等で盤を表記する場合も、特に但し書きがない限り同様です。
仮に今、あなたが後手でこの画像の盤で対局をしているとすると、自分が上下左右のどこにいるのか解りますね?(注1)
以上で盤とその座標の解説を終わりますが、座標はこれ以降の解説で必ず使いますので、理解出来るようにしておいて下さい。
まあ、難しく考える事は何もなく、盤のタテ列、ヨコ列にそれぞれ番号が付いていますので、そこから目で追っていけばいいだけの事です。
なお、上手(うわて)、下手(したて)については別項で解説します。
ここから駒についての解説です。
左の画像が将棋の駒です。
これで一組という訳ではなく、二組の駒からそれぞれ、各種類の駒とその成り駒(なりごま・注2)を1枚ずつ並べたものです。
上から1段目と2段目が、一文字駒。視認性が良いので、主にテレビ対局や大盤(おおばん・注3)解説などで使われます。
3段目と4段目が、二文字駒。一般的に販売されているのは主にこちらです。
それぞれ上段が左から、王将・飛車・角行・金将・銀将・桂馬・香車・歩兵、下段が左から、玉将・竜王・竜馬・(空)・成銀・成桂・成香・と金になります。
なお、それぞれの駒については、駒の名称と動かし方で詳しく解説します
(本文のリンクをクリックすれば、それぞれの駒の解説に飛びます)。
以上でこの項の解説は終わりますが、次に進む前に上の盤の画像をクリックして下さい。駒が並びましたね。これが平手(ひらて・注4)対局の初期配置です。
注1 答えは「上」。念のため。
注2 成った駒(そのまんま)。「成る」については駒を成るで解説します。
注3 対局の解説や、テレビの将棋講座などで使われる大きな盤。
注4 ハンディキャップ無しの対局をこう呼びます。これに対しハンディ戦を「駒落ち(こまおち)」と呼びます。
将棋は二人で交互に一手(いって・注1)ずつ指し進めるゲームです。ちなみに、先に指す方を先手(せんて)、後から指す方を後手(ごて)と言います。
例えば、「ここで二手続けて指せれば勝ちなんだけどな」と思ったとします。思うのは勝手ですが、それを行動に移せばその時点で反則負け(注2)になります。
また、「この局面はパスしたいな」と思ったとしても、必ずどれか一つ自分の駒を動かさなくてはなりません。
ごく当たり前のようなルールですが、上級者になるとこのルールを利用して、自分は一見、無価値な手を指しておいて、
わざと相手に一手指させる(注3)事で隙を作らせそこを攻める、なんて高等テクニックを使ったりします。
注1 一回指す事。ちなみに、将棋で「5手目」などという場合、対局者二人の手数の合計になります。
注2 二手指し(にてざし)と言います(そのまんま)。驚かれるかも知れませんが、プロの対局でもこれをやって負ける人がいます。
もっとも、意図的にという訳ではなく、相手がすでに指したと思い込んでするウッカリですが。
注3 これを「手を渡す」と言います。
さて、ここまで読んできた方は、将棋は、二人で、盤と駒を使い、交互に指すゲームだという事を知ったはずです。では一体、何を目的にしているのでしょうか?
例えば囲碁やオセロゲームの目的は、最終的に多くの陣地を取る事(=勝利)ですし、トランプの7並べやスピードなら、手持ちのカードを早く無くす事(=勝利)がそれにあたります。
では将棋の目的は?
「相手の玉将(王将)を詰ます事」
これが目的です。
つまり将棋とは、これまで解説してきた事と、第2章で解説するルールに従って、相手の玉将(王将)を詰ました方が勝ちになるゲームです。
「詰ます」という言葉を使いましたが、簡単に説明すると玉将(王将)を捕らえる事です。これについても第2章で詳しく解説します。