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Message From Tokuda


  大奥 Date: 2008-01-15 (Tue) 
新年一発目、
よしながふみの、
「きのう何食べた?」
と、
「大奥」
を購入。


2008年1月現在、マンガときて、
単行本を楽しみに買い続けているのは、

山田芳裕の「へうげもの」、
小田扉の「団地ともお」、
冨樫義博の「ハンター×ハンター」、
そんで安彦「ガンダム」に、
貞本「エヴァ」。

これらに加え、
さらに上の段階と言うべき、
<出版されたらなんでも買う>のが、

「くらもちふさこ」御大と、
「弐瓶勉」、

の両者の作品です。


くらもち大先生は「アルファ」の区切りがイイ感じでついたのか、
かる〜く「月のパルス」で肩慣らしをしたあと、
次なる連載、
「駅から5分」、
がまず第1巻としてまとまった。

必殺の連作短編、
つまりは「タイムテーブル」「チープスリル」形式で、
くらもち閣下はこれをやらしたら溜息モノなのだ。
今回も楽しみ。


第1巻ではさっそく、
<メール>、<ミクシィ>らへんを擬人化ならぬ漫画化するという、
相変わらずトガッた感性を見せ付けてくれるパートがあった。

音楽でも、芸暦20年のヨーダ級が<技>をみせつけることがあっても、
感性(それも新しいもの)を提示する例は、、、、
俺は知らないなぁ。
少なくともポップミュージック、ロックでは。
これから出てくるかもしれないけど。



弐瓶勉は、出版社を途中で移した(いまどき珍しい!)、
「バイオメガ」、
これが目を離せないです。
単行本を古本で入手しようとされている方は、
講談社版1巻に要注意。
内容は変わらんのだけど、集英社版の第1巻はオマケの読みきりが収録されています。


しかし「出版社移動」ってなにがあったんでしょうね。
手塚治虫の「W3」みたいな騒動があったりして…。


また弐瓶作品は、「ノイズ」全1巻が未だ絶版のまま。
それに伴い、じわじわ古書価格にプレミアが付いていってます。
ファンになりかけの方はくれぐれも迷わないようにしましょう。
レコードと同じ、
「見た時が買う時」
です。


さて、そんで冒頭の「よしながふみ」。
彼女が俺の中で、このふたりの枠に入りつつある感じですね。


今回買った2作も、
「きのう〜」は、お得意のBL+グルメ、もの。
古くは(って言っちゃいけない?!)成田美名子など、
自宅勤務である女性漫画家は、料理が趣味の人が意外にいる。

よしながふみはコミックス欄外の私信にとどまらず、
作品に昇華。
ついにご本人登場のレストランガイド風食マンガも書き出したりして、これまた成功。
あげく対談集も出した。
こうしてこのまま、
西原理恵子や内田春菊の領分に達するのか…。


というイメージを吹っ飛ばすかのような、
快作が「大奥」。

第3巻がついに出ましたが、
日本のマンガファンは、み〜んなこの作品にビビってるハズ。

06年にさんざん賞を受賞したし、
どんな作品かはここでは触れないですが、
連載開始当初、
「つまり今度はコスプレものね」
とタカをくくった1億総ギャフンしたものです。


江戸時代を一点の価値観からデフォルメして描き、
よく知られた歴史を痛快に再提示するのは、
「へうげもの」と同じといえますが、
もはやその得意の価値観はSF世界観の一部分でしかなく、
歴史の解釈へのロジックも綿密。
とにかく、全編にわたって張りつめる緊張感は相当なもの。


<BL>、<食>、
と金鉱をふたつも持ち、
流麗で、人好きのする画力もアリ。

これでもう十分人生楽勝モードだというところだと思いますが、
って誰もが思ったところで、
こうして高い創造力(と作家魂)を見せつけられて、
所詮同人誌あがりの、なんて見下ろしてた出版社の人たちはさぞ驚いたろうと。
思います。


現在まちがいなく、
トップクラスの漫画家ですね。



もう一点の「きのう〜」も、
「アンティーク」や「愛がなくても喰ってゆけます。」、
のように結局普通に終らないだろうな。
主人公の職業が弁護士ってのが匂う匂う!


この必殺ドラマパターンも、きっと作者のサービス精神ゆえだと思う。
読者に対して、1ネタだけで終らせたら申し訳ない〜、
驚かせたい〜、
っていうエンタメ魂。
これがサブカルの域を超越してる源ですね。


数年前、「アンティーク」を初めて読んだときは、
俺は真ッ先に、
「哭きの竜」を思い出しました。

でも、
××さえやってりゃ何でもいいよ、…っていうノリが、
すべての専門誌編集部にあるわけじゃないでしょう。


ま、町野変丸みたいなのが世に出ることもあれば、
よしながふみが「大奥」に至ることもある、ということです。

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