建築あそび記録 佐藤敏宏 作成

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八重樫直人さんの記録  3の3      


 


これ逆から、畳の方から、玄関側を見た、コチラ側がリビングでホール。畳の部屋。ここがふさがれて、ある区切られた空間がある。






これが閉めた状態で逆側から南側を見ているわけですが、こう言った回転扉を開けたりすると、領域化されたものが十字形から長方形に可変的に動く。
 これは五戸でやった外へ向けての大扉の内部化にもなるわけですけれども。こういった扉などによって内部空間の仕切の可変性をもたせるということです。



これは2階のホールで丁度居間の同じ方向性を持って、上の階に上がって見た図であとは個室があつて、ここは将来2世帯ということもあるので、ここを新しいカップルのリビング。下をマスターリビングとする形で。今は兄弟が20才ぐらいなんで、ここは共有のスペースに成っていて、パソコンなり共有のソファーが置いてあったりして、空間を私有化しないでかなり共同的に使っている。



これは逆を見たところ。切り取られた風景と、この辺パソコン置いてあったりして、ソファーが置いてある。






大体これで終わりました。前座として大体の内容は…

鷹村 大学のは無いの

八重樫 大学のはまだ一寸ない。

佐藤 模型は無いの

八重樫 模型は撮ってないんです。またその近いうちに。

佐藤 なんか質問ありますか。

山中 さっきの床のグレーチングみたいなの見せてください。



八重樫 はいはい。あれは簀の子になってる。機能上なもので。1階床暖なわけです。
これ1階にも入ってる。断面でこれがクローズだと、サーキュレイションしないんです。機能的なもので、ここを開けることによって、向こうのボイドと上下の空気がサーキュレイションする。

山中 ジャ基本的に上の階は暖房しないの

八重樫 しない
山中  下の熱気が上がってくるということで。

八重樫 で箱ですから、屋根と外壁全て断熱をして、ほんと一つのシェルターで囲っている。これは機能的な装置で、デザインじゃ無い。

佐藤 良いですか。…はいどうぞ。

張 ガラスはどうして全部はめ殺しでやったんですか。

八重樫 それは僕の、こういうことを言うと非常にアプリオリーなことを言わなきゃいけないんですが、僕の直感として、動くガラスが嫌いなんですよ。
   爆笑
ガラスが動く。ていうことが違和感がある。あのつまりそれはディテールのことも考える。ガラスが動くと枠がでますよね。その枠が動いてガラスがあるということが非常に違和感がある。これは建築の構成の説明に成ってないんですけど、その違和感が僕にはあるんです。で動くものなら基本的にはメクラ。無機質な壁が動く。

鷹村 過激だねー

佐藤 いいねー

八重樫 無機質な壁が動く、そう言う意識がどうも今ある。ガラスが動くことがどうも。
これから動かすと思うんですけどね。
    爆笑 大笑い
佐藤 言わなきゃ良いのに
大笑い
張 ガラスのサッシが出てしまう。

八重樫 そう

張  ガラスが透明なものなのにサッシが出ることで、あることが…

八重樫 そう、存在がある。ガラスはたぶん透明だったり、透過性だったり。あるけど見えないフィルターとして、ガラスがおいてなかきゃいけないものが、フレームが出ることでどうしても動か…。どうしても存在が意味を持っている。動かなきゃいけないと自分が言い始める。
それがどうも僕の中で違和感がある。素材と素材が示す機能の動き見たいなものを…

張 それは八重樫さんの中に反射性とか…

八重樫 ああそこまで僕は考えて無いです。反射とかモアレとかはそう言うことは全く興味が無くて、ガラスがどうしてそのフレームを持って動かなきゃいけないかと言うことが、一寸怪しい。
 だから単純にコルビュジェのスケッチなんか見ると何もフレーム無しで、切り取りますよね。風景を。サボア邸にしても。
僕はあの初期のスケッチの意味って言うのは、切り取られた風景がそのにあること自体が重要であって、そこにガラスがあって動い空気が入ることがあまり重要じゃない。
 だからこれは住みづらいというか。夏は暑い。今日(2000年8月5日)行ってみたんですがそんなに暑くなかったですね。(笑い) どうしても大開口のというと非常に暑かったりするんですけど、。
 これは本当に説明の仕方が良くなくて、これから自分で使いながら、なぜ自分はそう思っているかって、お金をもらいながら確認して行かなきゃならない。
そのガラスにフレームがあることが、どうもダメなのです。

山中 施主、言いますでしょう。

八重樫 うん、良いのそれは。

     爆笑

 原広司のところに行って何故エッチングするのかということですよ。ずーと考えるわけですよ。原さんは。ガラスの存在を自分の絵で。本当はガラスは消さなきゃいけないのに、と思うじゃないですか。なのにガラスに模様を描くでしょう。何故この人は描くんだろうと。ズーと疑問に思っていた。
 平気でフレームを付けて、ガラス上になんでガラスの存在を、様相とか何とか言いながら、陰をもたせてやるのかということに対して非常に疑惑を持っていて…。
何故この人はそうするのだろうと、ガラスは装置だとか言ってましたけど。でもガラスの意味はもう一寸違うんのじゃないかと思ってずーっとつき合っていたんで、今は自分で体感してる。
 こういう方法が合っているとか間違っているとか一寸僕はまだ解らない。僕は気付かなかったけど、五戸を見て山形を見た人は、僕のガラスの貼りかたとプロポーションが似ているて言う人がいるんですよね。さっきの五戸の内観のプロポーションも。
一寸、五戸の内観のスライド見せて…。


            


あこれ、これはどうしようもなくてフレームが、なるべく消そうとしていたんですが、一枚2メーター角ぐらいの大きな動くサッシですけれど。
これでも、やっぱりこの、これが(方立て)いやだったんです。でそれを消すために何度かサッシ屋と相談したんですが、どうもうまい方法が無くて。
 で、これが全面開口するときは、すべてフレームレスになるんですけど、どうしてもこの場合ガラスがあって、こちらのフィクスは同じようなプロポーションでフィックスに付けてる。ガラスはあって良いけれど、その機能を、自分の機能を言ってはいけない。
おれは動くぞと表現してはいけない。
非常に言い方が抽象的ですけれど。
山中 ガラスがガラスのまま動けばいいんですね。

八重樫 うん、ほんとは。それが一番綺麗かもしれない。フンフン。

山中 付属したてるのがそのまま動くのがいやだ
笑い
八重樫 それが出来るかどうか解らないけれど、今はこういう方法しか思い浮かばないので、ガラスはものを切り取るぐらいしか機能を持たせてない。そこを開けて空気を入れるなんてしない。入れたければ別な方法で入れる。
それは僕のガラスに対する今の考え。スタンスだから、やってみて、ああ間違っていた、5作ぐらいやって、間違ったと思うかもしれないし。
今回やるのはガラスも壁もある種、ある領域を仕切るものだと思うんですよ。大学でやろうとしてることは、空間のさっきいった中間領域と補完領域というのがあると、その領域の二つの真ん中にフルターが出来ますよね。そうすればそこには壁が有ったり、ガラスだったりするんですけど。
五戸の場合はアクティブに動かして、0か100にするフィルターを考えて、山形ではガラスを0でも100でもなくてガラスがズーと有って、そこで生活者がどうするかって考えて、次の大学の施設ではその境界の話をすると、ガラスは動くんですよ、サッシが有って、でガラスの外側にステンレスメッシュを建物全体に被せるんですけど。
ステンレスメッシュが有ることによって、光の表現を含めたで、フィルターというか境界がどういうふうに変わっていくか、変化していくか。自分が体感する装置を作るわけです。 だから機能はどうでも実は良くて、今の僕のなかではその境界の…、自分で作ってどうなるかということを実験してる段階。
三つめは、そう言った意味では、いままでとずいぶん違って。建物全体がフィルター化する。
あの、ステンレスチェーンメッシュ。簾状に全部かかってくる。それがどういうふうな自分の中でみてみて、失敗だったと思うか、なかなかそういったフィルターとして、もしかしてうまくいくと思うか…、

会場 それ何時できるの

八重樫 来年の春ぐちでしょう。

会場 なぜフィクスなの

八重樫 痛いとこ突きますね。なぜガラスはフィックスでなければいけないかと言われても、フィクスが仮定なんですよね。そうしたらどうかと。もしこれが固定されて動かなかったらどうかということを自分で体感してる。
佐藤 じゃ良いですか。・・どうもありがとうございました。
パチパチ


            


 八重樫直人さんの略歴
1990.3 東北大学工学部建築学科卒業
90〜 93 原広司+アトリエファイ建築研究所勤務
93〜2000  東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻 助手
 
96〜 ノルム ナル オフィスと共同

終わりです。八重樫さん感謝 感謝 !!m(_ _)m

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