建築あそび記録  佐藤敏宏 作成

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 建築家 山中新太郎 さんの記録 2 の 2


 




これは違プロジェクトなんですが、工事中の建物で、建ちつつあるんですが、神奈川県の逗子市、鎌倉、逗子、葉山。逗子というと海があると思うんですが、ここは逗子の中でも池子という、米軍の住宅地がある所です。ズーと治外法権だった場所のそばにある山の中です。



この住宅は2世帯住宅で、1階にお母さんが住んで、2階に息子さん夫婦と、生まれて、1才なのかな、2才なのかな、お嬢さんが住む家。
じつはこれ何でこんな形になっちゃたかというと。ここの裏っかわに施主である、ご主人のおじさんが住んでます。ここは谷戸ていいうふうに、鎌倉や逗子ではいってるんですが、すごい狭い谷の一部なんですね、
 
こっち側が南側でここの裏っ側におじさんがいる。もともと先代の代では大きい一つブロックだったんですけれど、今は2っに土地が分割され、奥の部分が袋小路になって、叔父さんが住んで、手前に彼らが住んでる。谷戸ですから日の当たる時間が限られていて設計をするまえから「冬至の時に家のサッシの中桟の位置よりも上に光が当たるようにしてくれ」と裏のオジサンにいわれた。
で、そこのサッシの中桟の所に日が当たるように、ズーと線を引かせられまして。反対側は道路斜線ていう、法律がありまして、その道路斜線のおかげで、こっち側も高さを制限されてしまう。

建物の形を考える前から、回りのレギュレーション(制約)で、フレームが決まってしまう。そういうのって、よく考えてみると、普通の建物の話しなんですが、結局家族の輪郭やら、住宅の輪郭とその側から決まって来る輪郭というものと、実は全然一致していない。割とさっき、見せて頂いた、千万家見たいなあいう、フリーな状態で家が建てられると、いうことは首都圏ではほとんど無いんです。完全にがんじがらめの状態です。そういうものと住宅のもっている形のズレまたは建築が持っているズレていうのが必然的にあってそれをどこかで隠そうとしながら、普通はやってしまう。しかしここではそのズレてるもの自体を、もつと積極的に使って、中の住居そのもや家族そのものを攪乱してしまっても良いんじゃないかと考えたんです。


さっきのは50分の1のスタディーなんですが、30分の1になるとすこし写真が生っぽくなってくる。施主の要求もあつて、木をもう少し増やしてみよう。RCだけでは一寸。RCにガルガリューム鋼板かと思ったんですが施主が木がいいと。だったらダブルスキンにしちゃいましょと。ここではイペという固く色の濃い木を使ってます。
 こっち側は大砲のようにドーンと開いてます。ここに道が一本あつて、こっち側が池子の山。目の前の雑然とした山を借景として独占できる。施主にいつたのは、「この建物は 、南側に向いてこの山の風景を楽しむしかない」と。
これが「下向いたら最後、ドン詰まりになっちゃうから、これは上を向きましょう」と言う話をした。
ここの下の所にリビングがある。「ここの部分は見えるよ」と。「見えても良いことにしよう」と。リビングって、そもそもなんだか良く解らない部屋だけども、そういう意味付けを始めっからされてるようなところだから、ここの部分は見える。家の中の「ハレ」の場。外向きの舞台のような空間だから。ある意味ですてーじのような空間と考えた。家族劇場のステージのような。

だけども奥のダイニングとキッチンは見えない。いまこういう形で、進みつつある。
施主の方から将来3階を作りたいってコトを言われまして、トップライトの部分がどうしても高くなる。これが出来たおかげで少し変化がでてきた。




これが歪んでますが、真っ正面から見たところ。もしこの写真を撮ろうとすると、山ん中へ分け入って撮らないと撮れない。
こういうふうにして見ると、蟻の巣を瓶の中に、蟻の巣を瓶の中に作らせたような、感覚でポンと見えてしまう。




これが断面図。ここの部分が、さっきいったステージ…。下がった所にダイニングがあって、お母さんの居室。
共有のエントランスで、ここから中に入って、上に上がる。将来ここに3階の床ができると言うような、構造。





これは現場なんですが、大体こいいうスケール。逗子なのに山ん中。僕としてはいい感じで、道に向かってボコッと突き出た感じが出来そうです。





これが斜面の少し上の方から見た感じですね。肩を寄せ合うように谷戸の住宅の中に、こういうのがスーと建つ。







次にお見せするプロジェクトは今のところ、やるかどうか全然わからないものです。札幌の美容師さんの住居兼仕事場です。突然電話がかかってきて、旭川のさっきの円筒形の家を、札幌のJIAかなんかのページかなんかでみたのかわかんないですけども、そういうのを見まして「一寸頼みたいだけども」っていう連絡があっあんです。美容院とエステとそういつたたぐいのものと住宅の複合施設を考えると。
敷地を聞くとれがななり広い。奥行きが50メートルぐらいで、間口が17〜18メーターあり、それぐらいのスケールのものなんです。
ズーと向こう側に札幌の時計台が見えて、このへんに大倉山シャンツェというジャンプ台が見えます。老人福祉施設がある。これに対してどういう建て物を建てるか。


次にお見せするプロジェクトは今のところ、やるかどうか全然わからないものです。札幌の美容師さんの住居兼仕事場です。突然電話がかかってきて、旭川のさっきの円筒形の家を、札幌のJIAかなんかのページかなんかでみたのかわかんないですけども、そういうのを見まして「一寸頼みたいだけども」っていう連絡があっあんです。美容院とエステとそういつたたぐいのものと住宅の複合施設を考えると。
敷地を聞くとれがななり広い。奥行きが50メートルぐらいで、間口が17〜18メーターあり、それぐらいのスケールのものなんです。
ズーと向こう側に札幌の時計台が見えて、このへんに大倉山シャンツェというジャンプ台が見えます。敷地尾となりには老人福祉施設がある。これに対してどういう建て物を建てるか。


施主は札幌の夜景も楽しみたいし、出来ればそこにカフェを作りたいと考えてました。今の裏っかわの部分が、実は国有林になってるんです。僕まだ現地行ってないんですが。ここの部分が境界なしで借景として使える。
施主が非常に面白い人で、気の流れを重視してくれとかね、なんかさかんいそういうことをいうもんで、これは一寸一担札幌には背を向けるけども、自然をボーと包み込むような形で建物自体を考えてみようと考えました。
さっきの切断断面の話しで、これも大きなチューブ状の物なんですが、トーラスですね。ドーナツ型のものをスパンスパンと切って地面にめり込ましたような、…形です。そこに光がこういうふうにはいってくる。こつち側が南ですね。札幌が北側になりますんで、南側から風が入りかつ緑が見える。ここがリラクゼーションルーム、この部屋はどういう用途ですかと施主に聞いたら、「ただ寝るだけだ」という話だったんで、こういうスペースを作ってみた。


プランはこういう角のような形で、こういうフォルムだと曲面部分の外観を見せたい、見たいと言うのが、デザインやつてる側の心理なんだけども、ここでは外観の形状なんてどうでも良く、インテリアだけのためのフォルムを作ってみた。
そして手前の方に美容院、エステ、リラクゼーションルームを用意し、この奥の部分に住居を配しました。
 動線上混乱するんで、住戸に行く人は一端上に上がって、吹き抜けのこういったカーブの中を、奥へ奥へブリッジをアクセスするようにした。
 これが立面。多分こんな風な感じになっていくんだなーと思います。なんか御施主さんのほうが、旭川のシリンダーハウスを見に行って「とっても良かった」といってたんで、ひょっとしたら出来るかもしれない。


これはその模型です。建築やってる人間て、「断面」というとホントに立体を切った切断面というふうに思うと思うのです。その切断面ていうものが、タダ単なる切断面じゃなくて、いろな生活のシーンやら、いろんな空間からてうものが、見えてる、一種の相みたいなもの、あるいはフェーズとかレイヤーとかと言えるようなものとして考えているんです。



そいうことでいうと結局一つの固まりに見えて物も、いろんな意味の、集積として見えてくる。複数のレイヤーで、又は複数の意味のレイヤーで考える、複数のシンボルのレイヤーで考えるとか、そういうことで建築というものを複相的に多相(層)的に考えようてみようと、今のところ実作の方はこんな感じです。


さっき渡した文章(10+1掲載・偽装する住宅)と繋がるかどうかは、さておき、(笑い)このうちちゃんと出来あがんのか解りません。これからもいろいろとトライして行こうと考えてます。どうもありがとうございました。


拍手パチパチパチと鳴り渡りました


終わりです山中新太郎さんありがとうございました


感謝・感謝!!! 文責 佐藤敏宏  m(_ _)m


     


 建築家   山中新太郎さんの略歴

1968年生まれ
「シリンダーハウス」でJIA北海道支部新人賞
東京大学生産技術研究所・藤井研究室より学位論文「建築空間の断面系列にかんする研究」で工学博士の学位取得