ことば悦覧in東京2010 春版 記録集   

  佐藤敏宏 刈谷悠三さんに聞く 2010年5月8日 晴れ新宿御苑

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  その06 

  (卒業設計) 

刈谷そうですね 情報操作
佐藤:その当たりはどう考えているのか?っていう内容は後に回して聞きますけど。建築を作ることからプレゼンとメディアの質に視線が移動していたと

刈谷:
逆に考えると、もともとそのものっていうのは、そういう情報を持っているわけでそれをどういうふうに見せるかっていうこと。そのまま見たのと。何かフィルターを通して見るのでも 実際の物は。
佐藤:コメント書いておくだけでも違う
刈谷:だけどコメント書く前にでも そのもの自体はそういう可能性は秘めていた
佐藤:写真の撮り方もあるし並べる順序でも意味は変わってしまうしね。そういう情報を伝達する領域に目覚めたと

刈谷うん
佐藤:これはオモロイゼと、良いところに気が付きましたね〜
刈谷:はははははははは
佐藤:格好いい建築を作ろうとばかりしてししてないで、政治性を持つって 大人っぽいですね
刈谷:いやいや

佐藤:小学校のスタートからそうだよな、テレビゲーム外され 大友克洋とスペースゴルフだもんな
刈谷:うははははははは
佐藤:それで無 事 東工大に行くと
刈谷:その前に卒業設計があるんですけど


佐藤:卒業設計は何をされたんですか
刈谷:卒業設計が、2003年。その頃もちろんニュータウンに住んでいるということもあって。そういう郊外とかに興味があったんです。でただコンパクトシティーとか、サスティナビリティーとか、そういう話も当時あって。こんだけ日本でスプロール化してる状態があるのにそういうコンパクトシティーとかの議論というのは本当に成立するんだろうか?っていう疑問がまずあったんで。日本的なコンパクトシティーの在り方を提案出来たらいいな〜と思って。都心に ははは 凄いこう、無茶苦茶な土木構築物を作ってその上に郊外住宅地を作るっていう
佐藤:ははははははははは 

  二人でははははははははははは

佐藤:暴力的だね! ニュータウンを都市に逆移植したわけね
刈谷:そうそう、そういう郊外が内側に出て来るっていう
佐藤:流石!大友ファンだけあるわ! 突如として郊外が構築物に保証されて都心に出現する!
刈谷:公開空地とか恵比寿ガーデンプレスとか、ああいう生ぬるい郊外化っていうか、ではなくって人が住む郊外っていうのが、どういうふうに町の中に現れて来るか?っていうことを考えた
佐藤:意外に暴力・前衛 過激的だな〜
刈谷:ははははは
佐藤:それは模型の姿は相当激しかったでしょう完成図も、何?考えとんじゃ!!と言われたでしょう
刈谷:激しい なに考えとんじゃでしたけど。でも幸い賞はもらって
佐藤:おお! その姿はビルディングになっているんですか?都心内郊外ニュータウンが
刈谷:いやいや

佐藤:絵が無いから トッサに分からないね
刈谷:後で送ります
佐藤:そうしてね

刈谷:ある住宅地のブロック、ストーリーとしてはまず土木構築物がゴミ捨て場を都心に、埋め立て地作れないからっていうことで都心に作らなきゃいけないっていう状況になったというストーリー
 
佐藤:
脚本が出来たんだ今度は 流石! 小5で スペースゴルフの制作者
刈谷:ふふふふふ。ストーリーまず 立てて。でその
佐藤:世紀末思想の残滓が残ってて 都市が いき詰まっていくだろうと
刈谷:巨大なコンクリートの擁壁でゴミ捨て場を作らなきゃいけないいう状況になって。そこの上を郊外ニュータウンとして住宅開発するっていう

佐藤:大友流妄想ストーリーでね、なるほど!パパの土木と息子の建築がキメイラ状に積み上がっていくんだ。海岸を埋め立てるんじゃなくって都市の内部、都心からから激烈にニュータウンを芽吹かせてね。 人間の無能をあざ笑うBGM曲を奏でながら ニュータウンが吹き出して来るんだ〜 凄い過激だね〜
刈谷:ふふふはははは
佐藤:凄いね 想像しただけでも
刈谷:建設残土っていうのが都市のゴミの中でもかなり一杯あるっていうことを調べているうちに解って。その残土だったら、そうい都心に埋めてもいいんじゃないかと。
佐藤:震災の時に 再生し使える建築の断片も全てゴミとして埋めちゃったからね。建築が全部ゴミ宣言喰らったからね〜逆襲ですね〜 凄いですね〜そうか〜すごい面白い。建築からの逆襲方法を考えたんだ
刈谷:ふふふふふふ

佐藤:絵柄を見ないと面白さや滑稽さが、俺の頭だけで想像してても悦楽している。でもそれでは面白さが共有されてないので、今一評価は保留ということで。コンパクトシティーとニュータウンはどういう関係になっているねすか。

刈谷:
だから日本の都市がそれ以上の、何かコンパクトシティーってそもそも直ぐ田園に行けるとか。そういうことが前提になっているんでこんだけスプロール化した日本でそういう話は成立しないと思って。片や都心の高密度な部分とスプロール化した部分というのはこれからもドンドン残っていくだろうということがまずあって。

だけど郊外の人が都心に住むときに同じ土俵を住環境として持った方が住み易いんじゃないかという。

佐藤:
お年寄りが住み慣れた郊外を都心に移植しようという、少子高齢化に対しての優しさ気分も 関係あるのかな。あんまりないの
刈谷:いやありましたよ
佐藤:郊外ニュータウンとの隔離というか、人間と町自体の孤独死化が共に進んでいるよね
刈谷:だから都市の巨大な空白が出て来る高密度でありながら、巨大な空白が出て来るっていうことは、あり得るかなと思って。
佐藤:東京がこの人口構成でいったら35才前後の刈谷世代によってでも 30年後は超老人都市に変わるものね
刈谷:だけど高密度っていうのは保たれたままで、ただそこに低密度な郊外住宅地なるものが必要なんじゃないかという。
佐藤:なるほどね、人口大地が何層にもなって超高層化しているんですか
刈谷:いや、えとですね擁壁の中が一応公共施設というかビルになっていて。でその擁壁がぐるーっと回っていて、そのなかに土が
佐藤:建築残土 ゴミがね擁壁ないにね
刈谷:土とかゴミが入っていて、その上は山をつくって
佐藤:都市機能は蟻塚のようにもぐり、人は表面に出てる。そんな地形が出来ているわけだ
刈谷:都心に 山を作った郊外住宅地
佐藤:凄いね面白いね〜

刈谷:ふふふふ 
佐藤:聞いているだけでSFマンガ!ポぽくっていいね、未来に実現するかもしれないよね〜
刈谷:マンガポイですよね
佐藤:マンガを侮ってはいけないですよ!今日もコスプレ女装丸太ん棒の男が目の前を歩いて居る事実があるんですから! マンガは世界を変えてしまう思想誌に変容してしまているんですからね。擁壁の中に公共施設が埋まっているんだ郊外の土台が公共施設であるおね〜
刈谷:そうです
佐藤:すごいよね〜
刈谷:うん

佐藤:その暴力的マンガ力によって卒業設計は優秀賞もらって
刈谷はい
佐藤:燃えに燃えて〜東京へ出てきたと(卒制タイトルは 頁下部 注参照)
刈谷ふふふふふふふ まあそうですね 

 

佐藤
:それは修士1年ということでしょうか
刈谷いやいや研究生なんで、研究室所属の研究生って。東工大って何か
佐藤:修士制度とか関係ないの
刈谷:関係ないです、長谷川さんとか

佐藤:所属させるけど勝手に居なさいってことかな。学費は無料なの
刈谷:学費あります。取られますし学生証ももちろんあるんですけども。学校所属というよりは大学院の塚本研究室所属みたいな。

佐藤:修士卒業しましたみたいな履歴はどうなるの
刈谷:無いです
佐藤:経歴には研究生を2年やっていたと書くんだ
刈谷:そうです
佐藤:ずーっっと長時間 研究生やっていてもいいわけか
刈谷:いやいや。一応期限はあったような気がする、ああ無いのかな〜。1年更新でぼくはたまたま2年居たんです。

佐藤:研究生と言うと修士試験とかドクタ試験に合格しない人がモラトリアムで所属するん そう思ってた。
刈谷:もちろんそういうのもあります。もちろん研究生で仮の姿としていて、勉強して修士として入り直すっていう人も いると思うですけど。入った途端に忙しすぎてへへへへへへへ
佐藤:なんで忙しいんだ?? 研究生でしょうが、研究が忙しいってこと

刈谷:いやいや いや。塚本研究室にまず入ったら 1:10:09


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 (注 2010年5月11日刈谷さんのメールより)

 卒業設計は「Inner Suburbia(内的郊外)」というタイトルでした(添付6枚)。「郊外が飽和して都市に溢れだす」という妄想を描いたものでした。都市機能を持った巨大な擁壁/ゴミ/清潔な郊外住宅地というもので構成された 都市の内側の郊外です