和 館

 六華苑には和風建築が付属しています。明治・大正の洋風建築にはこのような和館が付属しているのが一般的でした。やはり当時としては、純粋な洋式というのは抵抗があり、座敷を持つ和風建築を付帯したと思われます。しかし、この旧諸戸清六邸のように2つの座敷と蔵まで設備した本格的な和館を備えた例は少なく、貴重な遺構です。
 なお和館はコンドルの設計ではありません。諸戸家専属の棟梁伊藤末次郎の手になることが、移管時の調査の過程で棟札の発見によって分かりました。

和館全景 和館は客座敷として作られました。一部二階建てで二階部分は初代清六未亡人の隠居部屋であったようです(現在は非公開)。 一の間 18畳敷きで床の間、書院、琵琶床、地袋が付いています。床柱は三面柾目の杉材
琵琶床 楽器の琵琶を置くための台で、松の一枚板が使用されており、松ヤニが吹き出ています。左側は付書院。 ブラケットと釘隠 緋色の房の付いたブラケット、配線は柱の中を貫通しています。釘隠は菊と桐のデザインで、どのような高貴な人でも迎えられるようにとの配慮だそうです。
一の間と次の間 一の間18畳、次の間15畳の広さ。透かし彫りのある欄間は桐の一枚板。天井も桐材、障子の裏側の腰板も桐の一枚板を使用。 中廊下からの眺望 ガラス戸越しに庭を望む早春の風景
二の間 12.5畳の広さ、床の間、天袋付き  廊下 畳の廊下は家人、客人用、板廊下は使用人用
濡れ縁 板、袖垣付き、左の手水鉢は志摩半島桃取の海石を使用 一番蔵 和館北廊下によって連絡しています。土蔵造りで、扉は土壁黒漆喰塗りの頑丈なものです。
諸戸清六邸には7つの蔵がありました。