磐座みぃ〜つけた新聞
沖縄県辺戸岬のあすむい御獄(うたき)
沖縄県

辺土岬のウタキ
沖縄本島の最北端・辺土岬(へどみさき)にある安須森(アスモイウタキ)に行ってきた。沖縄には電車がないので、那覇から高速道路を使って車で突っ走って約三時間。

見るからに、異様な雰囲気の切り立った岩山が目の前にせまってくる。

琉球の始祖神が最初にこの岩山を作ったといわれ、地元ではこの四つの岩山を南から「シヌクシ」「アフリ」「チザラ」「イヘヤ」と呼ぶ。

今いる場所が沖縄ではないような不思議な異空間に迷い込んだような感じがする。まるで北海道の北の果て、アイヌの香りのする所だ。

北に行くほどに雲行きが怪しくなり始めた。ここに来るといつも龍神様のお出迎えを受けるんだよと沖縄の友人が言った。

だんだん雨がひどくなってきたので、山頂に登るのは無理だろうかと思っていたら、登山道についた途端に雨が止んだ! やはり、龍神さまが山頂で待っているらしい。

山に入る前に、まずこの看板が目に入った。

大聖地と書いてある。
沖縄の聖地の中でも、もっとも特別な場所らしい。破壊したものは処罰されるとも。

まず、観光客はここにはこないだろう。山頂に上るには鎖を頼りに、磐だらけの急斜面を足場を気にしながら這い上がらなければならないのだから。

険しい山
雨は止んだが、岩が雨に濡れてつるつるだ。わたしは革靴だったので、ロープを必死で掴んで滑らないように一足づつ鎖を手繰り寄せるようにして登った。険しい登山道の途中で、今年の夏の大型台風で岩場が崩れたような難所もあった。

登り始めたのが午後四時半を回っていたので、ぐずぐずしていては帰りに道が真っ暗になってしまうのではと、心配しながら登る。約20分ほどで山頂に着くことができた。道は急斜面だが、案外早く登れてほっとした。

ちょうど五時の時報が聞こえてどこからか音楽が流れ出した。タイミングの良さに友人と二人で顔を見合わせて大笑い。

きっと龍神さまが、ここまで登ってきたので音楽をサービスしてくれたのかも?
 

こがねの森

山頂では東シナ海の風と太平洋からの風が両側から吹き上げ、山頂で渦巻きながら風が上昇してゆく。海抜248メートルの山頂に祠が数基立っていた。

ここが、沖縄の七ウタキのひとつで、男の神さま(ニニギの命?)が降臨した聖地。

頂上の少し下に大きな洞穴(黄金洞)と少し小さな洞窟が並んでいた。

この山は別名「黄金森・こがねの森」と言われているらしい。その洞窟の土が、奈良の香久山の赤土と白土そっくりだった。もしかして金が出る山なのかも知れないと思った。昔は、みだりに人が立ち入ることを禁じられていたらしい。

1番南にある「シヌクシ」岳の山頂。

天気が良ければ、辺土岬の先から、東シナ海、と太平洋が一望の元に見渡せて、海が輝いて見えるのだろうが、あいにくの曇り空だった。

沖縄本島の北の端
この四連の異様な形の岩山全体が、神の降臨する磐座なのだろう。山頂の祠は、東西南北を拝むように配置されているような気がしたが、磁石がないのでハッキリしたことは解らない。

とにかく、ここは沖縄本島の北の端なのだ。南部のセーファーウタキや海の女性的なエネルギーと正反対の、荒々しい男性エネルギーが充満する場所だと山頂に立って痛切に感じた。

高さから言えば、あまりたいしたことはないが、とにかく、急斜面のごつごつした岩場なうえに雨に濡れていたので、どろどろになった。

暗くなる前に下山しなければ、と時間が気になったが、天気さえ良ければ360度の景色をゆっくり楽しみたいところだ。山頂をさらに数メートル南に行くと「御天卯之大神」の標識が岩の上に立っていた。

「卯」の方向ということは、東側なので、ここから太陽を拝むことができるのだろう。

やはり東西南北からやってくる神々をこの岩山の頂上にお祀りしているらしい。

下山道で雨がぽつぽつ降り始めた。お願いだからあと五分待ってください。と二人で龍神様に頼んだら、ちょうど登山口についたとたんに本格的に降りはじめた。やれやれ。



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