伊勢神宮崇敬会事務局長 奥重視氏 推薦文
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『古事記』の上巻を物語風にわかりやすく、面白く書き下ろした書物が出版されました。

サブタイトルを「稗田阿礼が語るゆかいな日本の神話」とし、そのコンセプトは「神話を忘れた民族は滅びる」「古事記を後世に伝えたい」というところにあります。

「古事記」の原文は難解で、そのまま読んでもなかなか理解できませんが、この「古事記のものがたり」は筆者の想像も含めて「ものがたり」として成り立っており、誰でもが親しみを持って日本の国の生い立ちや神々の活躍を知ることができます。

本書の特徴は、読みやすさもさることながら、随所に出てくる神代の神々が、現在どこの神社に祀られているかということをできる限り解読し「古事記」が編纂された奈良時代と平成の今日の約1500年の時間差を埋めて、古事記の神話は今もなお現代の全国各地の神社に生きていて、しかも日本人の生活の中に深く根ざしているが、大多数の日本人はそのことに気づいていないということを叫んでいるところにあります。

確かに、わが国においては「神社神道」と「仏教」は健在で、全国津々浦々に鎮守の森や寺院があり、祭礼や行事が行われ、生活の中に生きています。

このことが、遠い昔の我々の祖先の生活を源流にし現在の我々はその下流に生きているという確信を持って日々の暮らしを営んでいる人がどれだけいるでしょうか。本書はそれを改めて知らせてくれるものと思います。