春の季語 (2月3月4月)

■ 春[三春・九春・陽春・芳春・春陽・青帝]・・・旧暦では1月2月3月、新暦では2月、3月、4月を
   春としている。
■ 立春[春立つ・春となる]・・・大体2月4日に当たる。
■ 寒明(かんあけ)[寒明ける]・・・寒三十日の終わることをいう。
■ 早春[春早し]・・・まだ寒さの厳しい中に、春の趣を感じる頃。
■ 春浅し[浅き春]・・・早春よりも春めいたかんじではあるが、まだ寒さが残る頃。
■ 春めく・・・万象の春らしくなってくること。
■ 二月[如月]
■ 啓蟄(けいちつ)・・・地中の虫が出てくる頃。
■ 比良八荒・・・昔、白鬚神社で神社で比良八講が修されていたが、その時期になると強い寒風
   が吹くの で、その気候をいうようになった。
■ 二月尽[二月去る]・・・2月の終わること
■ 三月[弥生・花見月・桜月]
■ 春分[お中日]・・・3月21日、または22日。この日は昼夜の時間が同じとなる。お彼岸の中日に
   もあたり、   お中日ともいう。
■ 彼岸・・・春分の日を中心にその前後各3日間とあわせて7日間を彼岸という。
■ 三月尽[弥生尽]・・・3月の終わること。
■ 四月[卯月]
■ 四月尽・・・4月の終わることであるが、春が終わることをさしている。
■ 清明(せいめい)・・・新暦の4月5日にあたる。春たけなわの時期である。
■ 穀雨・・・新暦4月21日頃。晩春のころ。
■ 春寒[春寒し・春の寒さ]・・・春になってからの寒さ。
■ 余寒[残る寒さ・寒残る]・・・立春になってからもまだ寒さのこっていること。
■ 冴え返る・・・暖かくなってきたころ、また冬のような寒さがもどってきた感じをいう。
■ 暖か[ぬくし・ぬくとし・暖雨]
■ 麗らか[うらら]
■ 長閑(のどか)[のどけし]
■ 日永(ひなが)[永き日]・・・日が長くなってきたことをいう。
■ 遅日(ちじつ)[暮れ遅し・遅き日]・・・「日永」と同意味だが、遅き日は夕方の気色が長く続い
   ている趣   が主となっている。
■ 春暁[春あかつき・春曙]・・・春の曙。
■ 春の朝
■ 春昼[春の昼]
■ 春の夕[春の暮]
■ 春の宵[夜半の春]
■ 八十八夜・・・立春から数えて88日目。農家にとっては多忙な時期。
■ 春暑し
■ 仲春・・・春半ばである。
■ 春深し[春たける]
■ 暮の春[行く春・春も行く・暮春・春暮るる・晩春・春尽く]・・・春の終ること。
■ 春惜しむ[惜春]
■ 夏 近し[夏隣(なつとなり)]
■ 東風(こち)[朝東風・夕東風・強東風・荒東風]・・・春先になって東方から吹く風。
■ 風光る[光風・風まぶし]
■ 涅槃西風(ねはんにし)・・・旧暦2月15日釈尊入滅のころに吹く西風をいう。
■ 貝寄風(かいよせ)・・・旧暦2月20日前後に難波の浦に吹く風をいう。
■ 彼岸西風(ひがんにし)・・・彼岸のころ吹く風をいう。
■ 春光・・・春の明るい陽射し。
■ 春の日[春日]
■ 春の空
■ 春の雲
■ 陽炎(かげろう)[糸遊(いとゆう)・遊糸(ゆうし)]
■ 霞
■ 春の虹[初虹]・・・虹だけだと夏の季語となる。
■ 春の雷[春雷・初雷(はつかみなり)]
■ 春の月[春月]
■ 朧(おぼろ)[朧夜・夕朧・朝朧・鐘朧]・・・春の夜の物陰がおぼろげに霞む状態。
■ 朧月[朧夜]・・・春の夜の月がかすんでみえることをいう。
■ 春の星
■ 春の闇
■ 春の風[春風]
■ 春の雨[春雨]
■ 春霖雨[春霖]・・・春の長雨。
■ 菜種梅雨・・・菜の花が咲くころの長雨。
■ 春の雪[淡雪・春雪]
■ 雪の果[名残の雪忘れ雪]・・・春になって最後に降る雪をいう。
■ 春の露
■ 春の霧
■ 春時雨[春駿雨]
■ 春の霜[別れ霜・忘れ霜・春霜]
■ 春嵐(はるあらし)[春忘れ・春疾風]・・・関東地方にかけて2月から3月に吹く烈風。
■ 春一番・・・立春以後はじめて吹く強い南風。
■ 春塵[春の塵・黄塵・つちふる]・・・春先の乾燥しほこりっぽいさま。
■ 蜃気楼・・・海上に街などの景色があらわれること。
■ 残雪[残る雪・雪残る]
■ 雪間[班雪(はだれ)]・・・山などの雪が解け始め地肌が斑にみえてきたさま。
■ 雪崩
■ 雪解(ゆきどけ・ゆきげ)
■ 雪代[雪濁り・雪解水]・・・雪が解けて川や海に流れ出す水をいう。このため川や海が濁ること
   を雪濁 りという。
■ 春出水・・・雪どけ水が川をあふれて出水になること。
■ 凍解(いてどけ)凍ゆるむ・・・春になって土の凍てがゆるみ、やわらかくぬかるんでくること。
■ 春の氷
■ 氷解く[解氷]・・・湖、川などにはっていた氷が解け始めること。
■ 流氷[浮氷]
■ 春の野
■ 春の水
■ 水温む
■ 逃げ水・・・野一面に生い茂った草が風にそよいでいるさまを遠くからみると、水が流れてい
   るよう見 えるが、近寄ると水はない。水が逃げるように感じられるので、この語が生じた。
■ 春泥[春の泥]
■ 春の川
■ 春の山
■ 山笑う[笑う山]・・・春の山を擬人化した表現。
■ 焼山(やけやま)・・・枯れ草や雑木を焼き払った山。
■ 焼野(やけの)[末黒(すぐろ)]・・・枯れ草や雑木を焼き払った野。
■ 汐干[干潟・汐干潟]・・・春先から海潮がとおく干るようになる。汐がひいたところどころに
   窪みができ   て潮が残っている残っている。これを汐干といい、潟のように湾入したのを
   干潟という。
■ 潮干狩り
■ 春の海
■ 春の潮
■ 春の波
■ 春の湖(はるのうみ)
■ 春田
■ 苗代[代田・苗田]・・・苗をつくるための田。
■ 春園[春の庭・春の苑]
■ 炉塞(ろふさぎ)[炉塞ぐ・炉の名残]・・・炉に火をたかぬようふさいでしまうこと。
■ 春の燈(はるのひ)[春燈・春ともし]
■ 春炬燵
■ 炬燵塞ぐ
■ 春の暖炉[春の炉]
■ 北窓開く・・・暖かくなり、山野の家などで冬の間閉じていた北側の窓をひらくこと。
■ 目貼剥ぐ(めばりはぐ)
■ 垣繕う・・・冬を越して荒れた垣を修繕すること。
■ 池普請(いけぶしん)・・・池をなおすこと。
■ 山焼く(山火)・・・害虫駆除と肥料をつくるために、山の枯れ草などを焼くこと。
■ 野を焼く[野焼・野火・畑焼く]・・・山焼とおなじように野を焼くこと。
■ 芝焼く[芝火]・・・新しい芝が生えてくるように芝を焼く。
■ 涅槃[涅槃会・涅槃像]・・・旧暦2月15日釈尊入滅の日。
■ 針供養[針祭る納め針]・・・2月8日に行う針の祭り。折れた針を蒟蒻に刺して供養する。
■ 踏絵[絵踏み]・・・徳川時代、キリシタン弾圧の為にキリストの絵を踏ませて、信者である
   かないか 判別した。旧暦の正月4日、または2月3日におこなわれた。
■ 木流し・・・冬の間伐採し、谷間に落しておいた木を川にながし、運ぶ。
■ 厩出し(うまやだし)[まやだし]・・・冬の間舎にいた牛馬を、春になって放牧すること。
■ 雛市(ひないち)・・・雛祭りが近くなると、雛人形を売り出す。そのさまをいう。
■ 雛祭り[ひいな・雛・桃の節句・桃の日]
■ 白酒
■ 菱餅
■ 雛納め・・・雛祭りが終り、雛人形をしまうこと。
■ 流し雛[雛流す]・・・3月3日の夕方、川や海に紙などで作られた雛人形を流す風習がある。
■ 鶏合わせ[闘鶏・蹴合鶏]・・・鶏を戦わせる催し。
■ 試験・・・卒業試験を大試験、進級試験を小試験といったこともある。
■ 受験[入学試験・受験生]
■ 進級
■ 落第
■ 卒業[卒業式卒業歌]
■ 入学[入学式・新入生]
■ 入社[新社員]
■ 春闘・・・労働組合の春季闘争。
■ 春休み
■ 開帳・・・神社仏閣で厨子を開き、秘仏を拝観させることをいう。
■ 仏生会(ぶっしょうえ)[潅仏会・降誕会]・・・4月8日釈尊の誕生日で各寺院は法要をおこなう。
■ 花御堂(はなみどう)・・・仏生会のとき、つくられる御堂。中には釈迦像が安置され、華やか
   にお堂 がかざられている。
■ 甘茶[甘茶仏]・・・仏生会のとき、釈迦像に注ぐお茶。
■ 花祭り・・・仏生会に行われるお祭り。
■ 謝肉祭[カーニバル]・・・カトリックで復活祭前の四十日間にさきだって、3日間行われる祝祭。
■ 聖金曜日・・・復活祭と同じ週の金曜日。
■ 復活祭[イースター]・・・イエス・キリストの復活を記念する日。
■ 磯開き・・・秋から冬にかけて、岩海苔、ひじき、天草の採取が禁止されているが、それが
   解禁となること。
■ 磯遊び
■ 朝寝
■ 春眠
■ 春の夢
■ 春愁
■ 春風邪
■ 春日傘
■ 春手袋・・・春に用いる薄手の手袋
■ 春ショール
■ 春服[春の服]
■ 春外套・・・スプリングコート
■ 踏青(とうせい)[青き踏む]・・・山野の出、青草をふみつつそぞろ歩きすること。
■ 野遊び
■ 摘草(つみくさ)[土筆摘み・げんげ摘み]
■ 風車
■ シャボン玉
■ 風船
■ ぶらんこ
■ 遠足
■ 鶯笛(うぐいすぶえ)・・・竹で作った鶯に似た音色を出す笛。
■ 田打(たうち)[田掻(たかき)]・・・田植えの為に田を耕すこと。
■ 畑打(はたうち)・・・畑を耕すこと。
■ 耕し・・・田畑の耕作をすること。
■ 畦塗(あぜぬり)・・・田打を済ませた田の畦を、泥で壁のように塗り立てる。水の漏るのを
   防ぎ、 畦がこわれるのを防ぐ為である。
■ 物種・・・春に蒔く種。
■ 種蒔き[種おろし]
■ 花種蒔く
■ 物種蒔く
■ 苗床[温床・冷床・苗障子]・・・苗を育てる為に作る床。苗障子は苗床に用いる障子。
■ 苗札・・・花壇などに草花を蒔いたときなど、名を書いた小さな木札を立てておく。
■ 苗木市[植木市]
■ 剪定(せんてい)・・・木の形を整えたり、成長をよくする為に切りこむこと。
■ 接木(つぎき)
■ 挿木(さしき)
■ 根分(ねわけ)・・・菊、萩・菖蒲などの古株を古株を掘り出し、その根をわけて植え直す。
■ 遍路[お遍路]・・・弘法大師のまわられた四国八十八カ所の札所を遍歴すること。
■ 牧開く・・・冬の間舎にいた牛馬を放牧すること。
■ 茶摘み[茶摘女・茶摘歌・茶山・茶園]
■ 製茶
■ 目刺(めざし)・目刺干
■ 桜えび
■ 鶯餅
■ 草餅[草の餅・蓬餅・草団子]
■ 桜餅
■ 蕨餅
■ 田楽
■ 壷焼
■ 四月馬鹿[エイプリルフール・万愚節]
■ 春場所・・・大相撲の3月場所
■ 春祭
■ 西行忌・・・旧暦2月16日、西行法師のご命日。
■ 利休忌・・・旧暦2月28日茶人利休のご命日。
■ 虚子忌・・・4月8日高浜虚子のご命日。
■ 啄木忌・・・4月13日石川啄木のご命日。
■ 馬[若駒]
■ 孕み鹿[春の鹿]
■ 鹿の角落つ[落し角]・・・4月になると鹿の角が落ちる。
■ 猫の恋[恋猫・うかれ猫・春の猫・猫の夫・猫の妻]
■ 仔猫
■ 雉
■ 鶯[匂い鳥・春告鳥・初音]
■ 雲雀
■ 雀の子[子雀]
■ 囀り(さえずり)・・・いろいろの小鳥の鳴き声の総称。
■ 百千鳥(ももちどり)・・・春の鳥が群がっている姿。
■ 春の鳥
■ 駒鳥
■ 初燕
■ 燕[つばくら・つばくらめ]
■ 燕の巣
■ 鳥交る(とりさかる)[とりつるむ・鳥の恋]
■ 孕み鳥
■ 巣立鳥
■ 引鶴[鶴帰る]・・・春が来るとシベリヤなどに鶴は帰って行くのである。
■ 春の雁[残る雁]・・・雁は春になると北方に帰るが、とどまって帰らない雁をいう。
■ 帰雁[帰る雁・行く雁・去ぬ雁]
■ 鳥帰る
■ 鳥雲に入る・・・北方に帰る鳥の姿が雲に入ってみえなくなっていくさま。
■ 鳥雲り・・・鳥が帰るころのくもりがちな天気をいう。
■ 引鴨[行く鴨]
■ 残る鴨[春の鴨]
■ 鳥の巣
■ 初蝶
■ 蝶[白蝶・揚羽蝶・胡蝶など]・・・蝶の種類を季題としてあつかって良い。
■ 蜂[熊蜂・蜜蜂など]
■ 蜂の巣
■ 虻
■ 春の蚊[初蚊]
■ 蚕[お蚕]
■ 亀鳴く
■ 蝌蚪(かと)[蛙の子・おたまじゃくし]
■ 初蛙
■ 蛙
■ 鰊
■ 白魚
■ 公魚(わかさぎ)
■ 鰆
■ 鱒
■ 蛍烏賊
■ 蛤
■ 蜆[蜆売り・蜆汁]
■ 蜆掻き[蜆掘る]
■ 浅蜊[浅蜊汁]
■ 帆立貝
■ 寄居虫(やどかり)
■ 桜貝
■ 田螺
■ 地虫穴を出る[虫穴を出る]
■ 蛇穴を出る
■ 蟻穴を出る
■ 蝿生る
■ 春の蝿・・・蝿だけだと夏の季語である。
■ 春の蚤
■ 木の芽[木の芽時・木の芽晴・木の芽風邪・木の芽雨・芽立ち・芽吹き]
■ 山椒の芽
■ 楓の芽
■ たらの芽
■ 枸杞の芽
■ 若緑[松の芽・緑立つ]・・・松の新芽をいう。
■ 梅の花
■ 紅梅[未開梅]
■ 梅見[観梅]
■ 椿の花
■ 彼岸桜[枝垂桜・糸桜]
■ 初桜[初花]・・・その春初めて咲いた桜の花。
■ 桜
■ 花・・・俳諧で花といえば桜の花に限る。
■ 山桜
■ 落花[花散る・花吹雪]・・・桜の花の散ること。
■ 花冷え・・・桜の花の咲くころ、急に寒くなること。