平成23年8月8日ロイヤルチェスター前橋にて、法人内の職員を対象に第3回教育講演会を開催致しました。
講師には、群馬大学 医療人能力開発センター 副センター長の永井 弥生先生をお迎えし、『医療安全と接遇』に関して、丁寧に分かりやすくお話いただきました。
講師の永井先生、誠にありがとうございました。参加された職員の皆様、ご苦労様でした。
今後もまたこのような講演会や勉強会を企画していこうと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学
医療人能力開発センター副センター長、医療メディエーター・シニアトレーナー
永井弥生医師

医療安全と接遇というタイトルですが、主には医療メディエーションのお話をさせていただきました。医療における接遇とはホテルやレストランとは少し異なります。それは病院を訪れる人はみな病気を抱え、不安を持っている人だからです。
メディエーションとはそもそも調整、介入、仲介といった意味です。日本医療メディエーション協会の示すメディエーションとは、紛争の当事者間の対話を促進することを通して、お互いの認知の変容を促し、納得のいく合意と自主的な合意形成を促進する役割を持ちます。調停案を示して解決を図るものではありません。英米では学校で子供にも教えるなど、日常的な問題克服のモデルを指す広い意味でも用いられている一般的な考え方です。
今回の講演ではその入門として、3つのポイントをお話しました。
ひとつは、異なる認知フレーム、患者さんと医療者にはそれぞれの物語がある、ということです。そもそも医療者の立場で認識していることと、患者さんが認識していることは違います。患者さんはその思い(ナラティブ)が理解されずに、ただ説得されたと思ってしまうと、自分が否定されたようで受け入れられないことがあります。説明は十分してもらったけど、なんだかやっぱり納得がいかない、ということが起こるのです。
もうひとつは、紛争の分析という考え方です。IPI分析と言いますが、IPIとは、Issue:紛争の争点、Position:両当事者のとる立場・主張・見解、Interest:そのポジションをとらせている背後にあるものです。表面に出る怒りの奥底には全く別の思いが隠されていることがあります。対話を通じて自分で気づくことによって、はじめて本当に納得できます。
最後にこの2点を理解し、対話を促進させるのに必要な共感的理解についてです。聴くことが大事なのはもちろんですが、その聴き方のポイントとして、相手に関心を持って聴くということです。これは、対話を開き、真のインタレストに気付くために、まず必要なことです。
医療メディエーションは本来、中立的な第3者として行うものですが、1対1の対話にも、日常診療や院内コンフリクトにも応用できます。メディエーションの実践は日常診療の質の向上や医療安全の向上のみならず、職員間のコミュニケーションにも役立つものです。ぜひ関心を持つ方が増えてほしいと思います。

講演会に参加させて頂き、医療メディエーションというものが単に、紛争の回避をするということでは無く、対話を促進し双方の関係構築をはかるということを知ることができた。
「対話を促進するには、相手の立場で話を受容し、相手に関心を持って聴く事がとても大切である。」この言葉だけを聞くと出来そうに思えるが、いざ、臨床の場に立ち患者さんの話を聴くと、なかなか上手くいかないことに気付く。傾聴のなかで、相手が何を求めているか理解し、それを表出しやすい環境を作り出すということの難しさ、また、重要性を改めて感じる。
今回の講習会で学んだ医療メディエーションのプロセスをしっかりと念頭に置き、現場での役に立てていけたら良いと思う。
今回、医療メディエーション講演に参加して、患者さんと医療者との関係構築をはかっていくことが大切であることを学びました。今まで医療は患者さんの生命を預るという点で優位にいました。しかし、現在の医療は医療者と患者さんが対等でなければならないと教育されてきました。ではなぜコンフリクトが発生するのか。それはお互いの言葉をお互いが受け入れていないから、信頼関係が構築できていないからであると、今回の研修で学ぶことができました。
事例で挙げられた医療ミスに関しても、人間は完璧ではなく細心の注意を払っていてもミスが起きてしまうことがあります。しかし、患者さんと医療者との信頼関係があれば、「いつもこんなに良くしてくれているのだから」と許していただけるケースがあることは事実です。いつも細かい所を質問する家族も、その肉親である患者さんのことを思ってこそ、と思えばこちらも一つひとつ丁寧に対応することでコンフリクトは回避できると考えます。今回、コンフリクト・マネジメントという言葉を新しく学び、再度、自分は患者さん・患者家族に対する対応はどうだったか、ということを考えるきっかけとなりました。患者さんの症状の訴えに対しての応対の仕方についての事例では日々の業務の中で「頭が痛い」と言われれば、バイタルサインを測定して、頓用薬があれば頓用薬の使用、それがなければ医師に報告、といった手順で対処してしまいます。しかし、その頭痛の本当の原因が「病気のことを考えて昨晩眠れなかったから」となれば、まず患者さんと向き合い患者さんの言葉を聞くことで解決できたのではないかと思います。話をすることで「分かってもらえた」「心の中を話してもらえた」「打ち解けることができた」と感じることは、お互いの信頼関係を築く上で重要であると思います。
今回この講演会に参加して、普段の患者さんへの対応についてと、医療者と患者さんとの信頼関係の大切さについて改めて学ぶことができ、大変勉強になりました。患者さんは対象ではなく、生きている人間であるということ、そして、その人間を大切にしている家族という人間と向き合っていることを再度認識し、対話を重視しこれからの業務にあたりたいと思います。
医療安全と接遇というテーマのお話を聞くことができ、大変勉強になりました。医療の場において、最も大切なことの一つであり、決して忘れてはならないことですから。患者様への検査の説明や質問に答えることもありますが、こちらの話したい内容をただ伝えるだけではなく、患者様のお話したいことをよく聴き、考えや思いをよく理解した上で接していくことの重要性を再確認することができました。
このような有意義な勉強会をありがとうございました。今回のお話を常に頭におき、仕事をしていきたいと思います。
今年の事務室の目標は「働きやすい職場環境づくり、迅速かつ正確な現場業務のサポート」です。
今回の講習会ではこの目標達成のヒントがたくさんあり、また日常生活を見直すと同時に改善できる点があることに気付かされました。今までの出来事を思い返してみるときちんと聴いておけば起こらなかったミスもいくつかあります。
私にとっては当たり前のことでも相手は複雑な感情を抱いているかも知れません。逆の立場ならすぐ気付けるはずなのに他人事だと鈍感になりがちです。当院では意見箱を設置していてたまに目を背けたくなるようなことが書かれていますがその一つ一つの声が宝であり、悪い結果でも改善のチャンスにつながるということを教えて頂きました。
講習会で学んだことを機に事務室の一員として、人としてもこれからの生活に役立てていきたいです。「話し上手は聞き上手」という言葉があるようにまずは「聴くこと」から始めてみようと思います。
【接遇とは→もてなし、接待】
医療の現場での接遇はホテルやレストランとは違う。不安を持った方(患者様・ご家族)に対する接遇である。
手術中の患者さんを待つご家族の不安。(分からない・何もできない)
病院では感覚の研ぎ澄まされた患者様と感覚が鈍感になっている医療従事者が対峙する場所。(もちろんホテルの接客に学ぶところはたくさんある。一流のウエイターは、客に呼ばれたら負けである。呼ばれる前に気付く事が大切である。)
【コンフリクトマネージメント】
2つ以上のものの衝突→こうしたいのに出来ない
相手との利害の不一致
コンフリクト(葛藤) マネジメント(対処)
医療におけるコンフリクトはなぜ起こる?
医療訴訟の件数は近年増加している。病院での相談・苦情処理→調停→仲裁→裁判・(ADR)裁判外処理 医療ミス・医療事故と考える患者・家族は19%
「ミスをしたら報告すればいいんでしょ?」という考え方は最悪。
悪い結果+ご家族のクレーム
(クレームは宝である。気付かせて頂いている。お客様の声を大切にする会社が成長する。)
【説明と対話】
(説明)
・患者様・ご家族とスタッフは見ているもの、見えているものが違う。
・相手の立場を受容しながら対話すること。
・表に出ているものだけでなく深層を見る。
・かみあわないのはなぜか?
・この人の事実認識は何か?→事実認識を互いにすり合わせていく。
(対話)
・まず、きちんと聞く事からはじめる。
・相手に関心を持つこと。
・聞いてうけとめた事を分かりやすく、相手に伝える。
・共感的理解。気持ちに寄り添う。
(認知フレームの違い→なぜ、そんなことを言うのか?)
どんな人が感じがいい人なのか?
自分に関心を持ってくれている人
どんな人に何かしてあげようと思う?
相手に関心を持てる人
我々一人一人の心の持ち方が、一番大切な事
毎回、貴重な講義を受講させていただきありがとうございます。今回学んだことを、実際の医療の現場に役立てていきたいと思います。

私はこの講習で初めて「メディエーション」という言葉を知りました。ただ単に訴訟回避させるためのものではなく、当事者同士、円滑に話し合うためのものだそうです。よく話し合い、お互い何を思っているのか、どう考えているのか表に出していく。とはいえ、そもそも初めから何のトラブルも無い事が一番です。そのためには看護技術を磨くのはもとより、普段から言葉遣いや態度、動作の1つ1つを気を付けていき、患者さんとのコミュニケーションを計り信頼関係を築いておくのも大切なのだと学びました。