シューベルト セレナーデ
Serenade D. 957
シューベルトは1828年11月に熱病にて急逝しまうのですが、8月から10月に掛けて作曲されたのが「白鳥の歌」で、三大歌曲集の最後の曲集です。これはシューベルトの意志で出版されたものでなく、死後に遺品の中から14曲を探し出して歌曲集として出版商が、白鳥は死ぬ前に一際美しく鳴くとの言い伝えによって、「白鳥の歌」として出版したものとされています。
その中の第4曲「セレナーデ」は、ギターによるトレモロ奏法風のピアノ伴奏で、セレナーデらしい効果を引き立てています。原題は「シュタントヒェン(Staendchen)」となっていますが、「セレナーデ」同様に“恋人の家の前で贈られる小曲”でもあることから、日本では「セレナーデ」として親しまれています。シューベルト歌曲の中でも、耳にする機会が多い名曲です。
独唱 ディートリヒ・フィッシャー=ディスカウ
1982年 8月 ベルリン Siemens-Villaで録音
ディートリヒ・フィッシャー=ディスカウは1925年生まれで、既に80才を越えました。歌曲とオペラの両方で活躍したドイツの名バリトン歌手、1993年に第一線の歌手活動からは引退し、現在は指揮や教育の分野で活動を続けています。
1963年の初来日以来、数々の舞台やレコードで日本のファンにもすっかりおなじみで、最近では97年1月にNHK教育テレビ『趣味百科』シリーズの「シューベルトを歌う」に講師として出演して、深遠な解釈を披露していました。
Leise flehen meine Lieder Durch dei Nacht zu dir;
In den stillen Hain hernieder, Liebchen, komm zu mir!
Fluesternd schlanke Wipfel rauschen In des Mondes Licht,
Der Verraeters feindlich Lauschen Fuerchte, Holde, nicht
Hoerst die Nachtigallen schlagen? Ach! sie flehen dich,
Mit der Toene suessen Klagen Flehen sie fuer mich
Sie verstehn des Busens Sehnen, Kennnen Liebesschmerz,
Rueren mit den Silbertoenen Jedes weiche Herz
Lass auch dir die Brust bewegen, Liebchen, hoere mich,
Bebend harr ich dir entgegen! Komm, begluecke mich!
しめやかに 闇を縫う 我が調べ
静けさは 果てもなし 来よや君
ひそむる木の葉に もるる月影 もるる月影
人目は届かじ たゆたいそ