しかし、長年使い込んできた車輌の行く末なのであろうか。
列車が断続的に加速・減速を繰り返すと、車内のいたる所からつぶれるようなきしむ音が聞こえてくる。
座席の揺れる音だけならば新型車両でも起こるが、私の聞いたのはそんな生易しいものではなかった。
ミシミシミシミシミシミシミシミシミシ・・・・バリバリバリ・・・・・ガガガガガガガガ・・・ドドド・・・・・ドン(停車するまで繰り返し。)
「165系ってそんなにガタガタな車輌だったかなあ。 激しく揺れるのは分かるけど、こんなにきしむ音は初めて聞いたぞ!」
私は以前に 快速「ムーンライト」(現在の「ムーンライトえちご」)で新津まで利用したことがあるが、
それに使用されていた165系は座席の揺れる音だけで他の異音は聞こえなかった。
もっとも「ムーンライト」のほうは、車輌そのものを改造(専門用語でアコモ改造)しており、ほぼ原型に近い「東海」とは
比較対象にならないのであろうが・・・。
きしむ音は確かに不安感を覚えたが、それをうち消すかのように床下からくる動力感がグイッグイッグイッと私の体内に入りこみ、
また心地良い気分に戻してくれた。
車体がきしむ・・・・・・・・?
グリーン車内の抗議
列車は小田原に着いた。
私の乗車したグリーン車にもようやく他の乗客が入り、おのおのが座る席を選んでいる。
乗車した人の荷物の上げ下ろしが一段落したところで列車は発車、乗車人数こそ7〜8名であったが(私を含め)外を眺めて
いる人や本を読み始めた人・仲間同士で会話している人などでやっと静寂さから解放された。
このままの状態でいればいいなあ・・・・・・そう思った時であった。
なにやらデッキの近くに座っているグループ(4〜5人)と乗務員との間で何かもめている感じで、
私はその席のすぐ近くで座っていたため会話の内容が(はっきりとではないが)聞こえてきた。
乗務員:「恐れ入りますが、その券では利用出来かねますので、別に券をお求め頂くか隣の普通車に移って頂くこととなります。」
グループ:「これグリーン券だぞ、乗車券も持っているのに何がいけないんだよ!」
乗務員:「それは普通列車用のグリーン券でして、この列車は急行のため、急行券と急行用のグリーン券を別にお求め下さい。」
グループ:「この車輌湘南色だぞ、普通列車じゃないのか?」
乗務員:「申し訳ありません。 お客様のように急行と知らずに乗車される方がとても多いので、こうして毎回説明しております。」
グループ:「わかった。 で・・いくらになる。」
乗務員が値段を言うと、そのグループは不服そうな顔で隣の車輌に移って行った。
そしてその後、次の停車駅である湯河原で一人、その次の熱海でも二人降りて車内は再び静寂さが戻ってしまった。