生活者ネットニュースこだいら  No.70     2005年8月20日
身近な水源 地下水をまもろう

水辺空間は街にうるおいを生み出しますが、小平市には川や湧水がほとんどありません。玉川上水や少しずつ水流復活が進んでいる用水路などを守り活用していく活動が続けられているのは、小平をうるおいのある魅力的な街にしていこうという市民が多いことを示しています。私たちの飲み水になっている地下水も、目には見えませんが、守り活用していきたい大切な資源です。

水道水源としての地下水
  東京に暮らす私たちが日々使っている水道水はどこから来るのでしょうか。23区では、ほんの一部を除いて河川水、それもほとんどが利根川・荒川の水です。多摩地域の場合は河川水とともに今でも地下水が使われています。地下水のブレンド率は市によってさまざまです。昭島市のようにすべてを地下水でまかなっている市から全く使われていない市まであり、多摩地域全体では約3割が地下水です。小平市でも、日量約9700トンの地下水を13本の井戸から汲み上げて使っています。これは、水道水の約18%にあたります。
  地下水は、河川水と比べて水温の変化が小さく、土壌のろ過作用によって水質が清浄であることから、安全性、使いやすさ、おいしさなど飲料水として優れた特性を持っています。河川水を水道水にするためにはさまざまな処理が必要ですが、地下水にはその必要がありません。しかし、地下水の利用という点では、汚染と地盤沈下が心配されています。
  汚染については、予防はもとより汚染された場合の原因究明と除去対策が必要です。また、汚染された水は汲み上げないと地下水脈によって汚染が広がるため、汲み上げ続ける必要があります。地盤沈下対策で汲み上げを全面ストップさせた大阪では、汚染がどんどん進んでしまいました。飲み水として使わないため、汚染予防に熱心でなくなることが原因になっていると指摘されています。
  地盤沈下については、東京でも地下水の汲み上げ規制が行われました。その結果、今では鎮静化しています。それどころか、規制が強すぎて地下水位が上昇し、上野駅や東京駅の地下ホームでは水を汲み出したり浮力に対抗するためアンカーを打ち込んだりしているというのです。


地下水の涵養と活用を
  昨年9月小平市議会は「多摩地域の地下水を水道水源として安定的に飲み続けることを求める意見書」を全会一致で東京都に提出しました。東京の正規の保有水源量に地下水を位置づけ、飲み続けられるよう施策を進めることを求めたものです。
  自前の水源を保全してダムに頼り過ぎず、水の自給率を上げることは、環境負荷の小さい循環型社会づくりにつながります。雨水の地下浸透を積極的に進めるために、畑や雑木林をできるだけ残すとともに雨水浸透ますの設置を促進するなどの施策が必要です。
  小平には川はありませんが、地下水脈が息づいています。地下水の流れはまだわからないことも多いのですが、玉川上水あたりをピークに北方向と南方向に水の流れがあるようです。小平で地面にしみ込んだ水が東久留米や国分寺で湧き出しているのかもしれません。水循環を促し、地下水の涵養を図りながら利用を進めることが、うるおいのあるまちづくりにも寄与するのです。


議会報告・・・2005年6月議会報告はこちら

市民がつくる自治基本条例
       〜自分たちのまちは自分たちで決める〜

 小平・生活者ネットワークでは、5月から学習会を皮切りに、自治基本条例づくりに向けて活動を始めています。7月10日の14周年記念行事では、多摩市や川崎市など数多くの自治体で市民参加型の自治基本条例づくりに関わってこられた(財)地方自治総合研究所主任研究員の辻山幸宣さんにお話しをしていただきました。
自治基本条例づくりは原案行政のシナリオはありません。それに関わる人は、公募によって参加します。つまり、自治基本条例はつくる段階のプロセスが大切であり、参加者が多ければ多いほど、つくりっぱなしにしなくなり条例を意識して暮らしていくことになります。また、自治基本条例が出来ることによって今ある条例が見直されることにもつながります。
周年行事には数多くの方の参加があり、質問が時間いっぱい出され、関心の高さがうかがえました。
アンケートには、小平市でこの条例づくりが始まったらぜひ
とも参加したいという声が沢山ありました。そして、自分たちのまちだから責任がある、という声もありました。
自治基本条例の制定は、小林市長の公約でもあり、すでに庁内では、その手法について内部での検討が始まっています。生活者ネットワークでは、条例策定のプロセスに、いかに多くの市民を巻き込んでいくかが課題で、さらに多くの市民が感心を持ち、ともにつくっていけるよう、今後も活動を広げていきたいと考えています。

小平・生活者ネットワークでは教科書採択に対する要望書を提出しました

新しい価値観は子どもたちが決めること
         
  小平・生活者ネットワーク子ども部会では、扶桑社教科書をまず自分たちで読んでみました。歴史については、社会問題となった経緯もあってか、内容にかなり変化が見られましたが、それでもグローバルな視野で客観的に物事を考えていくための材料としてふさわしいものとは思えませんでした。さらに問題なのは公民で、家族や個人のあり方、個人と社会の関係を古い価値観に引き戻そうとしているだけという印象がぬぐえません。このような読後感は他社の教科書にはなかったものです。
  これが「新しい」教科書だ、とはおとなの勝手な言い分でしょう。新しい価値観とは、未来を同時代で生きていく子どもたちが自らつくりあげるものです。
  政治団体が教育の内容まで踏み込んで要望するのは控えたいという思いはありますが、教育に対して不安を持つ市民の集まりとして、声を上げる責任があると考えました。
私たちは4年前に引き続き、採択について慎重に検討してほしいという要望書を教育委員会に提出しました。

生ごみのリサイクルを目指して 
       〜泣Aグリクリエイト見学〜
                  
 
  小平市地域協議会では、2年前から活動のテーマとして、生ごみのリサイクルを掲げ、学習会などを行ってきました。その流れの中で、今回、食品リサイクルシステムを実践している泣Aグリクリエイト(茨城県稲敷市)を訪問しました。
  ここでは家庭や学校、事業所などで出た生ごみを乾燥させたもの(一次生成物)を集め、肥料にしています。その肥料を使って作った米や野菜を都会の消費者が食べるというシステムができています。このシステムに参加している農家の土壌分析や維持管理の指導を行い、アドバイスもしているとのことでした。
  本社での説明の後、肥料への加工をしている神栖市の池田産業の工場を見学しました。運ばれてきた一次生成物は、まずふるいにかけられて大きなものや、時に混じっている金属等の異物が取り除かれます。出す側できちんと分別することになっていますが、ビニールの切れ端やスチールたわしのかす等の異物が混ざってくることがあり、これらは着払いで元の事業所などに送り返し、きちんと認識してもらうそうです。
  工場の中にはふるいにかけられた一次生成物が山のように積まれていましたが、生ごみ特有の嫌なにおいはまったくありません。運送会社のトラックが各事業所からの一次生成物を搬入する時も、臭いがないため一般の貨物と一緒に積み込んできていると聞きました。一次生成物に酵素、糖蜜、天然のミネラル分(カルシウムやマグネシウム)を加えて攪拌し、15分ほどでペレット状の肥料ができあがります。できあがった肥料は農家で野菜や米作りに使われ、消費者の台所に帰ってきます。
  現在、小平市では市内の全小学校に生ごみの乾燥処理機がおかれ、個人が市の回収ポイントに持ち込んだものと併せて肥料工場に持ち込むところまではやっていますが、それを地域で肥料として使用する循環のしくみはできていません。学校給食から出たもので作った肥料で学校農園などで栽培学習をおこない、植物の観察や食べものへの考え方、土のしくみ、環境などについて学ぶことができる。こんなしくみができたらいいなと思った一日でした。 (川合)

  *小平市地域協議会:生活に必要な機能を社会につくるために、市内の団体が定期的に情報交換しながら連携し活動している生活                 クラブ運動グループ

苗村洋子のわいわいコラム
   多様性を認め合う社会へ
 
  先日東京都の広報を見ていてびっくり。「基本的な生活習慣は学力に影響」というタイトルで、朝食習慣と正答率の関係のグラフが載っていました。朝ごはんをいつも食べている子どもが、食べない子どもよりも教科の正答率が高いことを示しています。どんな調査でどのように結果を導き出したのかわからないグラフですが、わたしがいちばん驚いたのは、朝食を成績に結びつけ、何でも教科の成績という価値観で見ようとするとらえ方です。朝ごはんはもちろん食べた方がいいと思うけれど、それは体にとって必要だと言えるからです。
  世の中に寛容さがなくなってきて、薄っぺらなひとつの価値観だけで人間をとらえようとする傾向がどんどん進んでいると感じます。だれでも多面性を持っていて、それが厚みのある人柄を形成していくんだろうに、スッパリ切って捨てて、勝ち組と負け組、いい人と悪い人、敵と味方、ソンとトクに分けてしまう。これってときには必要かもしれないけど、こればかりになると「そうでない人」を排除する方向に突き進んでいきます。
  世代交代するたびに過去の価値観を壊してきた歴史があって、ここへ来て壊しすぎたことに気づき始めたように思います。人間の厚みをそのまま受けとめられる世の中は、今の時代にあっては多様な生き方を認める社会です。わたしたちの社会が壊してしまった寛容さを、過去とは違うものにつくりかえて復活させなければなりません。決して回帰を望んでいるのではないし、また回帰できるはずもありません。人を色分けせずに丸ごと見る努力から始めますかね…。


これからの保全活動の1つの試み

                              小平市玉川上水を守る会   世話人 庄司 徳治 
  当会では昨年、結成30周年を迎え、「玉川上水」の著者杉本苑子さんの講演、会員による「玉川上水辞典」の発行、更に歴史環境保全地域指定(99年3月)及び国の文化財指定(03年3月)が具体化し、そのことは次世代に残すことを目途に取り組んできた当会が、いくばくかの寄与ありやと自負しているところです。
  今後の活動もトータル的な見地からの上水の保全維持を継承しながら当面の活動の主軸は、歴史環境保全地域指定の緑の保全計画、史跡の保全管理指針の受容と共に、当面、植生管理を林内の暗い部分に陽光が射すよう法面の下草・下層木・青木等を刈払いして、雑木林の保全・小鳥を呼ぶ・水と緑・植生観察等を念頭に関心のある地域居住の方々の参加を母体に意見を取り入れながら本格的な保全作業に取り組んでいきたい。是非参加を!!