生活者ネットニュースこだいら No.73       2006年4月15日

みんなでつくろう!
   エネルギービジョン

 昨年、京都議定書が発効して、温暖化対策への真剣な取り組みが一層求められるようになりました。温室効果ガスを削減する取り組みで中心になるのがエネルギー問題。小平市では、2008年度にエネルギービジョンを策定する予定です。

温暖化対策とエネルギービジョン
  昨年、京都議定書の発効にあわせてブームになったのが「クール・ビズ」。冷房の設定温度を28度にし、ノーネクタイで見た目も着心地も快適なファッションで夏を過ごそうというものでした。日本が約束した温室効果ガスの削減量を考えると、ファッションのブームでどうにかなるようなものではありません。国は、構造的な問題にきちんと取り組んでいかなければ、削減は非常に難しいのが現実です。とりわけエネルギーは重要な課題で、省エネルギーをすすめるとともに、持続可能な新たなエネルギー源を生み出していくことが必要です。このような課題に対する国の取り組みは動きが鈍く、市民の間には遅々として進まないことへの苛立ちが募っています。
  しかし、国の動きを待ってばかりはいられません。国がやらないからこそ、地域から発信し実行していく必要性が逆に増しているのです。エネルギービジョンは、地域で新エネルギー導入や省エネルギー対策の推進を図るために、数値目標などの将来像を定めるものです。小平・生活者ネットワークでは、かねてからエネルギービジョンを策定するよう、市にはたらきかけてきました。昨年新市長がマニフェストに掲げたことで、実現に向けて踏み出しました。

持続可能な社会をめざして
  折りしも、今年3月、東京都が新エネルギービジョンにあたる「東京都再生可能エネルギー戦略」を策定しました。その中で、「2020年までに東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を20%程度に高めることをめざす」とし、省エネルギーによる削減を前提に、都内で導入するだけでなくグリーン電力証書(※1)による調達も含めており、都内での利用拡大により日本全体に波及するとしています。全国の策定状況は、2005年度までに新エネルギービジョンが959、省エネルギービジョンが301の自治体で取り組まれています。東京都内では新エネが三鷹市、日野市、中央区など11、省エネは杉並区、豊島区、調布市など8自治体です。
  小平市では、エコダイラネットワーク(※2)が省エネに取り組み、さまざまな活動をしています。こうした市民の自主的な活動をさらにすすめ、企業も一緒になって将来像を描き実行していくことが大切です。エネルギービジョン策定に向けて、多くの市民の声と知恵を集めていきましょう。

※1 自然エネルギーによって発電された電力の環境付加価値を「グリーン電力証書」という形で利用できるシステム
※2 環境基本計画にもとづき、集まった市民が市民版環境配慮指針をつくった。その後実践活動を続けている。


議会報告・・・・2006年3月議会の報告はこちら


井戸調査に参加しませんか?

多摩地域には豊富な地下水があり、昭島市のように水道水をすべて地下水でまかなっている市もあります。小平市には大きな川はありませんが地下水脈から井戸として利用されています。 市では災害時に備えて震災対策井戸を指定し、年1回、水質調査も行っています。「小平市防災マップ」によると震災対策井戸は市内に80カ所以上あり、井戸の近くには「震災対策井戸」を示す標識があります。
  小平市地域協議会では、それらの指定された井戸や、他にも使える井戸があるか調べてみることにしました。井戸に関心を持つことをきっかけに水の大切さに一人でも多くの人に気づいてもらいたいと思います。
  実施は6月の予定です。関心のある方は、小平・生活者ネットワークまでご連絡ください。


知らないうちに変えられてしまう前に
    教育基本法について考えてみませんか
            日向 美砂子
 
  私たちは、憲法を意識しながら暮らしてはいません。でも、自由に自分の考えが言えるのも、好きな場所に住めるのも、憲法で保障されているからです。
  それと同じように、私たちが学校に行ったり、子どもたちに教育を受けさせたりしている背景に教育基本法があります。この法律がいま改正されようとしています。
  「ゆとり教育の弊害」「学力低下」「教育の危機」などという言葉がまことしやかにマスコミに流れていますが、大事な情報や本当のことは、意外と私たちの耳には入ってきていません。「教育憲法」とも言われる教育基本法の改正が進められ、政府案ができていることについての情報は果たしてどのくらいの親たちのもとに伝わっているでしょう。「子どものしつけや教育は家庭から」と言われながらも、まさに教育の基本であるこの法律についての議論が、親や学校、そして子どもたち抜きで進んでいるのは不思議な気がしませんか?
  改正案には、「日本の伝統」という言葉が付け加えられたり、「男女共学を認める」という言葉を削除したり、いくつかの大きな変更点があります。こうした改正点について、一方的に押し付けられるのでも、はじめから反対するのでもなく、子どもの育ちをどう考えるのかという視点で問い直すことが大事だという気がします。
  なぜ、いま改正が必要なのか、政府案の意図するものは何なのか注意深く動きを見守り、意見を表明していこうと考えています。

 〜公開学習会のお知らせ〜
  
   どうしてするの?教育基本法改正
     ー読み直そう、教育基本法 読んでみよう、改正案ー


       講 師  弁護士 石井小夜子氏
       日 時  6月17日(土) 午後1時半〜4時
       場 所  小平市福祉会館 第1集会室

        ※保育あり(定員10名) 
       申し込み 小平まちづくりネットワーク 042-342-4494
       保育希望の方は6月7日(水)までにお申し込みください


視察報告

ペットボトルからペットボトルへ                           岩本 ひろ子
  1月31日から2月2日にかけて、香川県の豊島・直島そして山口県周防市にある帝人ファイバーに視察に行ってきました。3日目に訪れた帝人ファイバー徳山事業所では使用済みペットボトルを再びペットボトル用樹脂として再生する「ボトルtoボトル」事業について話を聞いてきました。
  ここには、新技術によってペットボトルを化学的に分解して原料にまで戻し、ペットボトル用樹脂を再生するプラントがあります。従来の石油から新製品を作るより消費エネルギーも二酸化炭素排出量も削減することができ、地球温暖化防止にも有効とのことです。ペットボトルのリサイクル率は高いといわれていますが、主に繊維材料として1回限り再利用されるだけで、結局はごみとして焼却されることになります。その点、この「ボトルtoボトル」事業はペットボトルの途切れのない完全循環型リサイクルの輪が構築されるという点でこれまでの方法よりは環境に配慮したシステムとして評価できると思います。
  残念なことに、今回視察に伺った時点ではプラントは休止状態でした。原料のペットボトルの調達が難しくなってきたからだそうです。各自治体などで回収されたペットボトルが繊維などの原料として、現在、海外などに高値で輸出されているという実態があるからで、今後はプラントの稼動に向け、自治体などへ働きかけていくとのことでした。小平市でも2006年度から回収したペットボトルの半量を売却することになっています。海外に輸出されることはないということであり、厳しい財政状況の中で行政としてはやむをえない判断なのでしょうが、環境の視点からリサイクルの方法を考えるべきだと思います。
  ごみ減量のためには、リサイクルより発生抑制を優先すべきです。増え続けるペットボトルなどのワンウエイ容器から繰り返して使えるリユースびんへの転換が必要であり、そのためのしくみづくりを求めていくという活動は今後とも継続していきます。


「ひとこと提案」募集

  小平・生活者ネットワークでは、皆さんから日々の生活の中で気がついた疑問や要望を 「ひとこと提  案」として募集しています。
   お寄せいただいたご意見は市政に反映できるよう議会活動などにつないでいきます。
   お気軽にFax・Eメール・はがき等で 6月10日 までに小平ネットにお寄せください。

                              Tel/Fax 042-342-4494
                              E-mail: kodaira@seikatsusya.net


苗村洋子のわいわいコラム

「はたらく」アンケート調査から
 
  わたしたちは、市民提案を政策にしていくために、みなさんからご意見やご要望をいただきます。毎年募集している「ひとこと提案」もそのひとつです。また、課題を把握するため調査活動も行っています。実踏による調査もありますし、アンケート調査もあります。先日、事務所でガサゴソ調査報告書を探し出しました。
  1998年に実施した女性の労働についての調査は、「ペイドワーク(有償労働)とアンペイドワーク(無償労働)」という視点で、意識と実態をアンケート調査したものです。97年に経済企画庁がアンペイドワークを賃金換算し、家事の“値段”を年276万円と発表したことで、女性が担っているアンペイドワークの数値化や性別役割分業について議論が広がっていた頃です。「はたらく」と題した報告書には、有職(ペイドワーク)者が家事も地域活動もアンペイドでこなしている姿が表れています。そして、労働と家族のあり方や労働と活動の切り分けなど、すっきりとはいかないジレンマが出ているのです。
  この調査から8年、わたしたちの社会はどう変化したのでしょうか。多くのNPOが誕生し、介護や子育てなどが少しずつ社会化されてきました。コミュニティビジネスという言葉が生まれて、アンペイドではないコミュニティワークが展開されるようになっています。このことは、これまでわたしたちが提案してきたことが実現したとも言えます。女性の働き方や家族のあり方もより多様になり、さまざまな生き方が認められる社会になったように見えます。しかし、いっぽうで、所得をはじめとする格差が広がり、多様な働き方があるがゆえに、不安定な労働を選ばされている例や、良質なNPOの参画によって、逆に労働単価が下がるというねじれも起こっています。新たなジレンマにおちいっていると言えるでしょう。どうしたら、ほんとうに多様な生き方が尊重され、地域の中でみんなが担い合う社会になるのか、模索を続けていくしかないのだと思っています。
  わたしたちの調査活動は、ささやかかもしれませんが、時代を切り取る1ページとして、そのときの課題を映し出します。調査も含めて地道な活動を積み重ねることで、暮らしやすい社会をつくっていきたいと思います。



地産地消のエネルギー それが太陽光発電      高柳 良大

 普段何気なく使っている電気、この電気はどこからやってくるか知っていますか。東京電力の場合、福島や新潟などの遠いところから長い旅をしてやってきます。それに比べ太陽光発電は自分の家の屋根の上で発電ができ、そのまま自分で使うことができます。ですので太陽光発電は地産地消というわけです。また、余った電力は系統連携といって電力会社に売ることができますので、自宅が発電所にもなりご近所に電気を供給することにもなります。太陽光発電所ネットワークは、このような自宅に太陽光発電を設置している発電所所長が中心になって設立したNPO法人です。当会の目的は、この安全でCO2を排出しない太陽光発電を中心とした自然エネルギーを、もっと普及させ私達の孫やその先の子供たちに安全で快適な持続可能な社会を引き継ぎたいというものです。
  しかし実際に太陽光発電を設置するとその後の情報、例えば太陽光発電は正常に動作しているのか、発電量は妥当なのか等の情報は皆無と言ってよいのが現状でした。そこで、当会ではメーカーに頼らず、産業技術総合研究所の協力を得て、会員が発電量の妥当性を判断できるPV健康診断や発電量をご近所の会員同士で比較できる近隣比較を行うことで、設置後の疑問点や不安などを解消できる活動を行っています。また、より詳しく太陽光発電について知識を得るため、PV基礎講座なども開催しています。
  すでに設置されている方、太陽光発電に興味のある方、ぜひともホームページにアクセスしてみてください。  http://www.greenenergy.jp

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