Word By 藤井美保

観劇日記

ZLVZX公演 「サド公爵夫人」を観る

戻る

11月16日(火)7時森之宮

「サド公爵夫人」※1 のお芝居は外せないと思っていたK田氏と私は、一時間も前に森ノ宮に着いてしまった。ショットバーで一杯だけ飲んで、駅前を通ると、「k田さん、Fさん」と声をかけられ、顔をあげると大竹野さんが満面の笑みをたたえている。

ひょっとして大竹野さんもサド公爵?と思うとやはりそうだった。待ち合わせをしたわけでも、約束をしたわけでもないのに、くじら企画の一親等から三親等くらいまで総勢7人で、こんな豪華キャストに1000円でいいのかと思いながら見に行かせていただきました。

剣先公園での飲み会の折、あんなに親しくお話しをさせていただいていたイシダトウショウさんのお名前を間違え、受付で大きな声で「イシダイッセイさんの券で」といってしまったのは私です。あうん堂のH氏は肩を震わせながらもわかってくださり、ちゃんとチケットを売ってくれました。

デカルコマリーさん辮髪にも似たエレガントなヘアスタイル、まついきよしさんの口の周りの自然なにこ毛、たおやかなしぐさ、イシダトウショウさんのくらくらする美貌、その中にあって吉田敦子さんのすがすがしい美しさ、そして魔瑠さんの圧倒的な存在感(わたし個人としてはバイクミキさんや白馬ミキさんも大好きです)。それとあの細い骨と薄い皮でできているような衣装はときにぴったりと筋肉に寄り添い、ときに役者自身の作り出す風に追われて右往左往し、無言のエコーのように、ひとつひとつの動きに時間差を与え、奥行きを深めているなあと感じ、ただただみとれるばかりでした。ほんとにええもん見せてもらいました。

お芝居終了後、隠れ魔瑠さんファンのK田氏は、甘いものが苦手なのにもかかわらず、うれしそうに並んで、「わたしはやっぱりアングラ女優!」といいながらチュルルンを配る魔瑠さんにチュルルンを一杯もらってにやにやしていました。

それからトラパン※2 のMA氏と駅前の一力という劇団関係者大歓迎の店でかってに出してくれるおいしいあてで、心行くまで楽しみました。マスターは真剣にペーロンに人生をささげているそうなので、お芝居に見切りをつけたいと考えている若い男子がいたら、是非一力のマスターに申し出てください。蛇足ですが、酔っ払って一力の便所スリッパで駅に向かおうとしていたのも私です。そしてそれからは、ついてこれないK田氏を相手にサド公爵夫人ごっごをしてK田氏の夢を壊している今日この頃です。ZLVZXのみなさま東京公演の大成功をお祈りしています。

※1

作:三島由紀夫 今回ZLVZX(ゼルブゼクス)の公演では、2場を中心に1時間程度にまとめてありました。 

※2

劇団トランスパンダ