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| 2004.11 |
| 第10回 抗生剤を投与する前に行う皮内反応は意味がない? |
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| 平成16年9月29日指示分 www.info.pmda.go.jp/kaitei/kaitei_index.html ![]() 厚生労働省は、16年9月29日指示分で使用上の注意の改訂情報を出しました。 これは、医薬品医療機器情報提供ホームページでも見る事ができます。 1.【医薬品名】注射用の抗生物質製剤、サルファ剤及び合成抗菌剤 【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。 [重要な基本的注意]の項のショックに関する記載を削除し、 「本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。 (1)事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。 (2)投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。 (3)投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。」 を追記する。 わかりにくすぎ〜 以上が、平成16年9月29日付けで厚生労働省から製薬企業に対して出された使用上の注意の改訂指示で、注射用・坐薬用について従来からの抗菌薬皮内反応が廃止されることになり、添付文書の改訂も行われました。 しかし、これがわかりにくい事この上なく、説明も何もなし、改訂情報を読んでも皮内反応の廃止を書いていると気づけと言うほうが無理なくらいです。 www.chemotherapy.or.jp ![]() で、ちょっと調べて見たら日本化学療法学会から抗生剤投与前に、テストとして行う皮内反応は意味がないので中止すべきだと提言にがあり、このような動きになったようです。 ![]() 日本化学療法学会のサイトにも上げられている『皮内反応検討特別部会報告』 (日本化学療法学会雑誌 Vol. 51, 2003年8月号 p.497〜506) に、抗菌薬の静脈内投与時におけるアナフィラキシーショックの予知目的に行われる皮内反応試験実施の有用性に関するエビデンスは存在しなかった。と言う報告を読む事ができます。 具体的なアナフィラキシー対策 薬剤アレルギーが疑われる患者において、当該抗菌薬を投与せざるを得ない場合には、予め皮膚反応試験を行い、即時型アレルギーの存在を確認することに臨床的意義が認められる。具体例として、本ガイドライン項目3−2)に示した場合が皮膚反応試験実施の対象となる。米国においては妊婦梅毒の患者にペニシリンアレルギーの既往がある場合、などが挙げられています。(ガイドラインより引用) ![]() 抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドラインとその概要版に詳しく書かれています。 ![]() http://www.chemotherapy.or.jp/journal/reports/hinai_anaphylaxis.html#guideline 上の二つのPDFファイルが、アナフィラキシー対策の文書で、ここには、 ■アナフィラキシーショックの発現予防のた めに行わなければならないこと ■投与時の観察 ■救急時の対応 1.必要な薬剤例(成人および小児) 2.救急処置の具体例(成人) 等が案内されています。 ショック等の発生時に必要な薬剤例(成人および小児)は具体的に示されています。 1) エピネフリン(ボスミン) → アナフィラキシー初期治療薬 2) ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ、など) → 副腎皮質ステロイド薬 3) マレイン酸クロルフェニラミン(ポララミン注) → 抗ヒスタミン薬 4) アミノフィリン(ネオフィリン) → 気管支拡張薬 5) ドパミン(イノバン、など) → 昇圧薬 6) 輸液製剤(生理食塩水あるいは乳酸リンゲル液) と言う事ででやっと話の全体が見えてきました。 新たに求められる事 全抗生剤を対象に添付文書から削除されることになった皮内反応の文言の代わりに最初に書いた3項目が追加されました。 ■アレルギー歴の問診 ■アナフィラキシーショックに対応できる 準備 ■投与開始から終了まで十分に経過観察 反対に言えばこれら3項目が、もしできていないと許されないと言うことなので対応をチェックする事が必要ですね。 その後・・・ 10月28日に厚生労働省は、医薬品・医療用具等安全性情報206号(報道発表資料) www.mhlw.go.jp/houdou/2004/10/h1028-2.html Pharmaceuticals and Medical Devices Safety Information No.206(本分) www.mhlw.go.jp/houdou/2004/10/h1028-2a.html でやっと分かりやすい?案内を出しましたのでこの件に関しては上記URLを見るとよいでしょう。 |