自給自足


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「ナンナ、もっと火の近くに寄った方がいいよ」
「リーフ様、みんな遅いですね」
「そうだね……でも、仲間も増えたし、調達物資も余計に必要だから」
「ええ、まあ」
「しかし、今夜は冷えるなあ。アスベル、どこかでブリザードの練習なんてしてないだろうな」
「まさか、……でも、聖遺物フォルセティを雑魚に連打するセティ王子に魔法を習っていたし、ありうるかも……」
「やめよう、ナンナ。考えるだけで勿体なくて気分が悪い」
「フィン、どこまで行ったのかしら…」
「鉄の槍を持っていたし、熊でも捕る気なのだろう」
「熊鍋ですか……温かくておいしそうですね」
「皮も剥いで使えるしな。エーヴェルなら剥製にも出来そうなくらい上手に…
…あ、すまない。ナンナ、エーヴェルは僕のせいで……」

「いいえ、リーフ様、今日は私が熊の皮剥します。エーヴェルほど上手じゃないけれど」
「うん、頼む。マリータも急所を突くのは上手だけれど、加減が分からないからな」
「ふふふ、マリータが聞いたら怒りますよ」
「そうだな、ははは」
「……あら、あれはカリンかしら」
「カリンだ。…うわ、上手だなあ。あっという間に野ウサギを串刺しだ」
「カリンは、みるみる槍の腕を上げていますね」
「うん、僕も頑張らなきゃ。
剣の腕なら少しは自信がついたけど、この前もフェルグスに“暗い”って言われたよ。
セイラムは見た目が暗いが、僕は中身も暗いそうだ」

「リーフ様、フェルグスさんは昼間の松明のような方ですから、気にすることはありません」
「……そうかな。僕が明るい方が、みんなも、もっと前向きになれるような気がするが…」
「リーフ様はリーフ様ですから、他の人の事なんて気にしないでください
だいたい、生きるか死ぬかの生活を数年も続けていて、前向きに明るい人格の方が変わっていると思います」

「そうか……ありがとう、ナンナ。君には励まされてばかりだ。
だめだな、僕は……」

「リーフ様、その暗さがあるから、みんな破滅的状況でも冷静にいられるのです」
「……ナンナ……君も結構クールだね……」
「リーフ様、鴨が焼けました」
「うん、ありがとう。僕は少しでいいからね」
「はい、リーフ様。
…カリンはまだ狩りをするつもりでしょうか。
シチューにウサギも入れようと思ったのですが……」

「……そうだね。そろそろ狸の出汁も出ているようだけど。みんな戻ってこないね。煮しまってしまう」
「水を足しましょうか」
「そうだね」
「…………リーフ様、その辺で。
あ、カリオンさん。……牛ですか?倒したのですか?
はい、じゃあ、丸焼きにしましょうか。」

「僕らじゃどうしようもないな。グレイド達を呼んでこよう」
「え、カリオンさん?
……行ってしまいました」

「彼も馬に乗ると人が変わるからなあ」
「あ、フィーンー!牛肉でーすーよー!」
「………いいんだよ、熊なんて。猪の5頭も捕ってくれば既に十分だよ」
「今日は大漁ですね、リーフ様」
「そうだね、ナンナ。
あ、ダグダ!丸焼きって、どうしたらいいかな?」

「……そうですか、じゃあ、ダグダ達に任せてしまいましょうよ、リーフ様。
私たちは猪の皮でも剥ぎましょう」

「ああ、薪が湿っているならミランダ呼んで……あ、オルエンがファイアー連打やってくれるの?……向こうでフレッドが泣いているけど……
……ま、いいか」

「食べ物がたくさんあると、なんだか希望が湧いてきますね、リーフ様」
「うん!やはり、ひもじいのは良くないね。ティナ、先に狸汁食べるかい?」

(F・I・N)


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14/7/2002