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こんばんは、今井美樹です。まずは1曲、お送りします。 みなさんいかがお過ごしでしょうか。今井美樹です。今から10時までの2時間40分は、音楽の美術館「サウンド・ミュージアム」をお届けいたします。 開館日は月に1回、月末の日曜日のこの時間です。毎回さまざまなミュージシャンの魅力をご紹介するため、さまざまな展示室をご用意して、リスナーのみなさまの来館をお待ちしております。今月は私 今井美樹がお送りします。 今夜は、みなさんに 私 今井美樹が、夜のしじまへいざなう素敵な音楽たちを、たっぷりとお届けしていきたいと思っています。 今までたくさんの音楽たちに、たくさんの幸せをもらった私は、本当にいろんな音楽たちと共に、世界中を旅して、いろんなところでいろんなふうなハッピーをまた、自分の体の中に詰め込んで、こうやって日常で暮らしていたりするんですけども。 そんないろんな想い出のたくさん詰まった曲たちを今日は、すごく古い曲から、一番新しいアーティストのものまで、お届けしたいな〜と思ってます。みなさんも知ってる曲たくさんあると思います。楽しみにしていてください。 今夜の1曲目。お送りしたのは、私が最近とても注目しているというか、大好きなアーティスト、土岐麻子さんの曲。「My Favorite Things」をお送りしました。 土岐さんのこの曲は、映画「Sound Of Music」の中でも歌われている、ジャズのスタンダード・ナンバーでもある「My Favorite Things」なんですけれども。 いろんなアーティストの方が歌ってらっしゃいますが、私は彼女のこのバージョンが、今は本当に一番のお気に入りで、ヘビー・ローテーションで聴いています。 彼女のこの作品とは、ちょうど去年の春辺りに出逢ったんですけども。夫である布袋寅泰さんが、(笑) 新しいCDを聴いて、「あ、これは絶対君にも似合うと思うよ。君が好きだと思うよ」っていうのは、いろんなのピックアップして聴かせてくれたりするんですけども。その中の1曲目として、この「My Favorite Things」と出逢いました。 それからず〜っと私の中ではこのグルーヴがループしています。今日はどうしても1曲目におかけしたくて、この曲からスタートしました。 それでは、また続いて気持ちいい4曲、聴いてください。 JAMIE CULLUM、THE BLUE NILE、QUEEN、STACEY KENT、4人の素晴らしいアーティストの作品聴いていただきました。 「「夜のしじまへいざなう」だったら、これはかけないとね」的なものを選んでいるうちに、やっぱりどうしてもこのつながりがいいと思って、(笑) 最初からこれをかけてしまいたくて、選んでしまいましたが。 JAMIE CULLUM という、すごく新しいアーティストから、QUEEN の「Leaving Home Ain't Easy」とかは、私が中学生のときに、この QUEEN のアルバム『JAZZ』を購入いたしまして。初めて買った、いわゆるロック・バンドのアルバムだったんですけど。 ロック聴かなかったんで。ず〜っとジャズと、中学1年のときからユーミンにハマっていて。そういう人だったので、ロック・グループのLPなんか全然持ってなかったんですけども、QUEEN はね、なぜか、すごく好きだったんですよ。 BEATLES も、初めて買ったのが『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』だったし。結構ジャズとかクラシックとかそういう「プログレ系」みたいな(笑)ニュアンスのものは、そっちのほうが私には、非常に「スッ」と入ってきて。 シンプルなスリー・ピースのロックン・ロールとか、当時は全然受け入れられなかったんですけど。まぁ人間変われば変わるもんだな(笑)っという感じがしない気もするんですが。(笑) でも、そういういろんな、今まで聴いてきた音楽たちの中から、こうやって選曲をさせてもらっていて、自分の今までの、どういうふうに歩いてきたかの歴史を垣間見る感じでね、すごく楽しい選曲をさせてもらっています。 今日お送りする選曲のタイトルのほうは、NHK のホームページでチェックできますので、ぜひそちらのほうでチェックしてみてください。 それでは、また続けて聴いていただきますが。夜のしじまへいざなうつもりだったんですけど、この曲だけはどうしてもかけたかったの。聴いてください。 THE POLICE、ROBERTA FLACK & DONNY HATHAWAY、そして NICK DECARO、3曲続けて聴いていただきました。 POLICE の「Synchronicity」はね、すっごく好きなんですよ。今回、わりとムーディーな曲を選んでしまうだろうな〜と思っていたんですけど。 実は私、グルーヴが気持ちのいい、グルーヴィーな、アッパーなものが、すごく好きで。家なんかでは、そういうものをガンガン聴いていたりするんですけども。 でもこの、今井美樹的なムードの(笑)、何が「今井美樹的ムード」かわかりませんけど、(笑) なんとなくちょっとメロウな感じの曲たちがね、時間も時間だから、気持ちいいなと思ったんですけど、やっぱり、どうしてもこれをかけたくて。 最近、そういえば自分の中でね、「Synchronicity」を急に聴きたくなって聴いてたんです。いつもこの曲が聴きたくてこのアルバムを聴くんですけど。 これはどっちかっていうとね、エイトで「ズズチャツズズチャツズズチャツ」っていう感じで、頭振っちゃう感じなんですけど。「さぁ今日もがんばらなきゃ!」っていう朝とかはね、(笑) 聴いたりするんですよね。 でも私はね、POLICE というか STING に関しては、本当は POLICE が終わって、STING がソロになってからの、ちょっとジャズの匂いのする『Bring On The Night』っていうライブ・アルバムがあるんですけど、そっちから入ったんですね。それで、THE POLICE に遡っていったんですけども。 やっぱり、3人でこれやってるすごさとかね、(笑) やっぱりこのエイト・ビートの、パンキッシュなビートとかも本当に好きで、「あぁ、若いときに出逢ってればもっと楽しかったのに〜(笑)」と、そのとき既に思って、残念だったな〜と思ったぐらい、逆に今は、私の中では絶対必需品な感じになっております。 そして ROBERTA FLACK と DONNY HATHAWAY にしてもそうだし、どっちかっていうとね、本当に、古いものを若いころに聴いてた、若いっていうかリアルタイムに聴いてたよりも、あとになって聴いて遡るパターンが、どうしても多いんですけども。 この辺は「Synchronicity」も、それから DONNY HATHAWAY、ROBERTA FLACK のこの「You've Lost That Loving Feeling」そして次の NICK DECARO の「Tea For Two」も、音楽を始めるようになって、いろんなミュージシャンたちからいろんな音楽を教えてもらったりした、その影響の中で出逢った音楽たち。それで「はぁ〜♪カッコいい!」って、自分の中に、スポンジが水を吸うように、どんどん入ってきた音楽たちなんですね。 その時期に自分の中に入ってきた音楽っていうのは、今でもすっごく自分の音楽をする上での、どこかにすごく大きな影響にはなっていて。 同じような曲をやるっていうんじゃなくて、「その曲を聴いてあのとき感じた衝撃」みたいなのが、(笑) 自分が音楽をするときに、エンジンをかけてくれるというか、すごく大きな影響を与えてくれている曲たちです。 そういう時代を、本当にたくさんの音楽に囲まれて、たくさんのミュージシャンたちに囲まれて過ごせたことは、私にとって本当に大きな財産だな〜と思ってます。 それでは、また次におかけする曲、CAETANO VELOSO っていう私の大好きなアーティストの曲を聴いていただくんですが。 もう、さきおととしかな、日本にいらしてライブを観て、本っ当に、体が震えて、心が震えて、涙が止まらなかったんですけども。そのときの、感じた想いが、私の去年出したアルバム『Milestone』につながっています。 じゃあそんな、ここ最近、すごく大好きで聴いている私の3曲を、続けて聴いてください。 気持ちいい。。。聴いてて本当に自分が気持ちいい。(笑) CAETANO VELOSO、CORINNE BAILEY RAE、そして CAROLINE HENDERSON 3曲続けてお送りしました。 1曲目におかけした CAETANO VELOSO という方は、さっきもお話しましたけれども、彼の作品に出逢ったのはね、2000年ぐらいだったかなぁ。まだ全然日本では、あのとき国内盤出てなかったと思うんですけど。 それこそたまたま、布袋さんがどこかの地方の、旅に行ってるときにね、HMV かなんかで大量に買ってきたCDの中に入っていて。そうだ福岡だ。2人で(笑)そのライブの旅先でね、部屋で聴いて、すごく好きでねぇ、すっかりハマってしまったんですけども。 ブラジルの大有名なアーティストらしいんですけど。もうおいくつぐらいかな、60代だと思うんですけどね、本当に官能的な方。会ったこともないんですけど、ライブで観ただけなんですけれども。 その CAETANO さんの存在自体も、もちろんルックスっていうか、もう全て、音楽も、声もすごく官能的なんですよね。それなのに、すごく前衛的なことをやるんですよ。びっくりするような感じで。 ブラジルっていうとそれまで、単純にボサノバとかサンバとか、なんとなくそういうラテンの音楽っていう印象が「パッ」と思い浮かんだりすると思うんですけど。 彼は全然そういうことではなくて、非常に前衛的な音楽を、ブラジル音楽のその「リズム」かな。それと絡み合わせてるというか。で、そこに、カナリアのような声が、さえずるように、その声が全てを彩ってるというか。 だから、ライブで観たときにね、私、あっという間に、今の自分の現実から、どこか「ふわぁ〜」っと旅に連れて行かれたような気がしたの。 「この曲が好き。あの曲が好き」とかっていうことよりも、次々に奏でられる音楽たちの中で、気がついたら自分が、いろんな自分の過去の記憶だったり、行ったことのない街だったり、かつての想い出深い街並みだったり、いろんなところに自分の気持ちが、まるで幽体離脱(笑)するかのように、自由に旅をしている感覚だったんですね。私はここに居るのに、気持ちはず〜っと遠くに行ってたの。 それがね、すごく自分の中で、自分らしさを取り戻したというか、自分はこんなに自由に、いろんなところを旅してたし、「あぁ、私は音楽で旅をすることがこんなに好きだったんだよね」っていうことを、本っ当に強く思い出して。 「私は、本当にこういうふうに音楽に恋をしていて、こんなふうに音楽で旅をすることがしたかったんだよね〜」「こんなふうに旅をする音楽、今までも、自分でも、やってたつもりだったし。でも、忘れてた」っていうことに、気がついたんですね。そしたらねぇ、もう涙が止まらなくて。 子供のせいにするつもりは全くないですけども、やっぱり生活のスタイルが大きく変わってしまったこの数年間の中で、音楽をこんなにゆったりとした気持ちで、自分の「アイデンティティーだ!」っていうぐらい音楽って欠かせないものだったのに、そんなふうに音楽を聴くという、楽しむということを、全くしていなかったってことに気がついて。 私は何より、音楽に対してのその想い、「音楽で旅したかったんだ」「音楽で旅をできることが、私にとってこんなに自由になれることなんだ」って、そのことを思い出せたことが、すごく嬉しかったんですよね。なんか、呼吸ができるようになった。極端にいえばそんな感じだったんですけども。 そのときのね、胸を締めつけられるような想いが、去年私が出した『Milestone』っていうアルバムをつくるきっかけに、つながっているんですね。 だからこうやってまた、自分の大好きな音楽、自分にとって本当に欠かせないと思っていた音楽が、やっぱりこうやって自分のところに戻ってきたという感じが、すごく今はねぇ、とても嬉しいです。 それでは、また続けて聴いていただきますが。この方はもう、私が音楽を語る上で、絶対になくてはならない存在です。聴いてください。 松任谷由実さんで「影になって」「人魚になりたい」「手のひらの東京タワー」3曲続けてお送りしました。 私がユーミンの曲と初めて出逢ったのは、13歳のとき、中学1年なんですけども。そこから、私が一番最初に買ったアルバムは、『14番目の月』という、そのときに出ていたアルバムだったんですけれども。それから、『COBALT HOUR』『MISSLIM』『ひこうき雲』、『YUMING BRAND』その辺を遡って、聴くようにはなったんですが。 とにかく、その『14番目の月』から始まって、それから先、毎回毎回ユーミンのアルバムが出るのを楽しみに、少ないお小遣いを(笑)貯めて、近所のレコード屋さんに行って、アルバムを買うのが楽しみだったんですけど。今かけた「人魚になりたい」が15歳、「影になって」が16歳、そして「手のひらの東京タワー」が18歳だったんですけど。 私ね、最近「ふっ」と思ったんですが、さっきの CAETANO VELOSO の話で、いろんな音楽が、旅に連れてってくれる、いろんなイメージを広げて、自分が行きたいところへ行けるというか。そういうふうな音楽のきっかけだったのが、もしかしたらユーミンだったんじゃないかって、最近すごく思うんですよね。 宮崎の片田舎に住んでて、やっぱり、中学生、高校生、そういう思春期の頃。毎日つまんないし、一所懸命やることは、毎日学校に行って部活動して、それだけで他に何か楽しみがあるわけでもないし。 だけど、そんな中で、いろんなことをユーミンの音楽から、イメージさせてもらってたというか。東京という街だったり、横浜だったり、湘南だったり、いろんな街、行ったことのない街だったりね、大人の恋だったり、青春の輝きだったり、いろんなものが、そこには含まれていて。 まだまだ見たこともない、感じたこともない、いろんな想いを、ユーミンの作品から、「パラパラ」といろんな本を読むように、もしかしたら、どんどん吸収していっていたのかもしれないな〜と思います。 「早く大人になりたい!」と思う気持ちだったり、なんか「東京」とイコール「ユーミン」だったんですよね。あの東京の煌びやかさと、ちょうどそのとき、私が高校3年のときは、『昨晩お会いしましょう』っていうアルバムがあったんですけど、そのアルバムのいろんな曲たちの「キラキラ」した感じが、すごく東京のイメージで、「早く東京に行きたい(笑)ここを早く出て行きたい!(笑)」っていう感じだったんですけどね。 今こうやって振り返ってみると、私の中には、ユーミンの歌詞も、メロディーも、そして松任谷さんが描かれているサウンドでのいろんな景色とかね、そんなものが、ものすごく濃く、(笑) DNA の中に混じっているんだな〜っていうのをね、(笑) 感じてしまいました。 ついこないだ、苗場のライブに行かせていただいたんですけども。本当にねぇ、古い曲から新しい曲まで、いろんな曲があったんですけど、やっぱりユーミンという存在が、この目の前に、苗場はまたすごい近い距離で観れたものですから、そこに、この存在感を感じることができるというすごさにね、また圧倒されて帰ってきました。 まだまだ、本当に素晴らしい先輩が、人生の先輩でもあり、そして音楽界の先輩でもありますけれども、あまりにも素晴らしい、大きな、人生の先輩が、そこにまだ君臨していらっしゃるというのは、すごくね、嬉しいです! 私も本当に「もっともっとがんばらなきゃ!」って、また思いました。 それじゃあ、もう1人聴いていただきたいんですけども。次はね、どうしてもこれは外せなかったんですが、本当はアルバム1枚かけたかったぐらいなんですけど。(笑) そういうわけにもいかないので、涙を呑んで、この3曲に絞りました。聴いてください。 |
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今井美樹がお送りしています「サウンド・ミュージアム」。PRINCE で「Christpher Tracy's Parade」「New Position」そして「Kiss」。3曲続けてお送りしました。 この PRINCE の『Parade』というアルバムなんですが、大好きで、さっきも言いましたように、「1枚かけちゃおうかな〜今回(笑)」って思うぐらい、フルでかけたかったぐらいのアルバムなんです。それはなぜかというと、PRINCE がね、映画音楽やってるサウンド・トラックなんですね。 だから、曲が全部、つながって成立してるので、まずそれを分断してかけるっていうことが、なかなかしにくいことと、ストーリーがある音楽だから、本当に美しく彩られていて、もう「これはちょっと1曲だけセレクトっていうのはできないな〜」と思って、悩んで悩んで、さっきもスタッフと一緒に頭を悩ませながらね、(笑) 「これでいきましょう!」ってここに辿り着いたんですが。 私、本当は PRINCE のことは、最初の頃あまり好きではなかったんです。「Purple Rain」の頃とかね。あの時代、ちょうどバブルの時代でしたよね。「Purple Rain」とか、あっちこっちカフェ・バーっていうか、あの辺でいろいろ、テレビでかかってる頃。 MTV とかでかかっているのを、バンドの連中なんかと一緒に、飲みに行ったりとかすると、かかってるんですよ。みんな「イェ〜」とか言ってるのに、私はもう、あのビジュアルがダメで。あの、ナルシシズムがどうしてもダメでね。(笑) 私は音楽よりも、まずそこから拒否反応があったんてすが。 そのあとに、この『Parade』のアルバムになる映画があって。それを、たまたま観たんですね。そしたら、その中に出てくる PRINCE が、「Purple Rain」と違って結構お茶目だったの。それと、南フランス・ロケだったんですけど、ニースの花市場みたいなところのシーンがあったんですよ。 そしたら、私も以前、撮影でその市場に行ったことがあったの。それで、「あぁ〜!」と思って。(笑) そういう個人的なことなんですけどもね。(笑) いろんなことが重なり、そして、音楽がすごく好きだったことで、一気に PRINCE が、興味津々の人になり。 それでこの『Parade』のアルバムを手に入れてからはもう、1曲目の、いびつなあのドラムの感じから、もうすっかりハマってしまって。すごく好きで。本当にこのアルバムはず〜っと聴いていましたね。 だから今回は、「夜のしじま」とはちょっと違うんだけど、これは本当に、今井美樹を語るに、べつに語ってはいないですけど、(笑) 語るに、なんとなく片隅のほうで、ず〜っとうずいている、「おいおい、僕のことはどうなってるんだよ」と、(笑) うずいている作品だったので、ぜひご紹介したいなと思って、今回かけさせていただきました。 PRINCE、最近いろいろ「ポツポツ」とですけど、新しいの出てますよね。あまり昔ほど、さっきも言ったように、音楽を楽しむ、堪能するような時間がないものですから、なかなか新しいものを自分でゲットすることは少なくなっているんですが、夫が買ってきたやつを、何気にかけていて。 全然誰のをかけてるのか知らなかったりしても、イントロで、まず歌が出てくる前に、PRINCE の声が出てくる前に、イントロで「えっ!これ! PRINCE?」って言って。もうね、すぐわかっちゃうのね「PRINCE 節(ぶし)」っていうか。 本当にそういう「PRINCE 節」が、私すっかり大好きになってしまっているんだな〜と思って。もう PRINCE はね、本当に、どの時代のやつも、やっぱりあのグルーヴに、私は結構まいっています。 「あんまり PRINCE 好きじゃないな」っていう人も、このアルバムはねぇ、トータル・アルバムです。すごくいいアルバムなので、ぜひ聴いてみてください。 それでは、次にねぇ、これもまた私の、今に至る、音楽をする人として、本っ当に多大なる影響を与えてくれている人たち。メロディーがいいのはもちろん。だけど、そこに、そのメロディーをいかに彩るかという、そのサウンド、音楽。いわゆるアレンジメントっていうか。 私は実はとても、そういうところにこだわっている人だったりするんですけども。そういう意味で、ものすごく音響的に、この人たちに出逢ったことは、私にとって非常に大きかったな〜と思っています。また4曲続けて聴いてください。 STINA NORDENSTAM、SEAL、吉田美奈子さん、矢野顕子さん。4曲お送りしました。 いやぁ〜〜。。。(小声で) なんかお話しすることができないくらいな気持ちになってるんですけど。(笑) 何でこんな小声になっちゃってるのか。あのねぇ、まずちょっとこの矢野さんのお話していいですか? この矢野さんの「PRAYER」という曲はね、『SUPER FOLK SONG』という、矢野さんがピアノの弾き語りで、レコーディング・スタジオではなくて、大きいちゃんとしたホールを借り切って、ホールのステージの上にピアノを置いて、そこで弾き語りで録っているアルバムなんですけども。 これがねぇ、ず〜っとドキュメンタリーで、カメラでずっと追ってたのがあってね。小さい映画館で上映されることがあったんですよ。で、最初に、それのパンフみたいなのに、「コメントお願いしていいですか?」っていうふうに、光栄なことに声をかけていただいて。 それで、最初にそのビデオを観せていただいたんですけどね。「あの矢野さんが!」っていうぐらい、緊張との戦いだったり、もちろん自分自身との戦いだったり、その映画の中には、イライラしてる矢野さんとか、自分で思うように指が動かないっていうとか、もう「んん〜〜ん(悶)」っていうものも、すごくラブリーな矢野さんも、本当に美しい音楽も、全てが入っているんですけど。 ある曲があって、その曲が、何度やっても何度やってもご自分が満足いかないんです。同じところで、どうしても上手くいかない。で、本当に何度もやってもダメっていうところが、ず〜っと撮られているんですね。もう、観てるこっちが、もう息をするのを忘れてしまうぐらい、一緒に緊張してしまって。 で、その曲のあとに違う曲で、そのあとがこの「PRAYER」だったのかな。違う曲をやって。とにかく、映画が進んでいって。それで映画が終わりました。 「あの曲はいったいどうなったんだろう?」って、彼女の中で決着がついてなかった「その曲はいったいどうなったんだろう」なんて、どこかで思っていたら、それが最後のエンド・ロールのときに、いろんなエンディングのタイトル・バックで文字が流れるときに、それが流れるんですけど、私もう涙が「ポロポロポロ〜」っ・・・(笑) もう号泣したんですけどね。 本っ当にねぇ、あのピアノと、歌だけという、その緊張感。そしてそれを同時に録ってしまうという、それも広いところで録るから、本当にそのとき「録ったもの勝負」みたいな感じのね、その緊張感と、それを聴ける至福の喜びと、その風景を、その光景をこうやって目撃できるという喜びと、いろんなことが入り混じった、映画だったんですけどね。 素晴らしいフィルムだったんですよ。それで、この曲というか、そのアルバムが、ますます自分にとって、本当に深い深い印象のものになったんですけども。 このアルバムの最後に、この「PRAYER」っていう曲が入っていて。矢野さんの、神に対しての想いみたいなのがね、いろんな曲で垣間見えるんですけども、この曲は本当に、今また母になった自分がね、すごくその想いがわかる気がして。また久しぶりにこの曲をこうやって聴けて、よかったな〜と思っています。 今おかけしたこの4曲というのはね、サウンド・エフェクトというか、レコーディングでいうところの「ミックス」という作業が最後にあるんですけど。いろんな録った音、声とかを、どういうふうに最後にお化粧していこうかという作業なんですけども。 そのミックスの面白さというか、そういうものでその曲の空気感とか、彩られ方が、私にとって本っ当に「うわぁ〜気もちいい〜。。。」と思える、(笑) 曲たちばっかりだったんです。 だから、この辺の曲はもう出逢ってからずいぶん経つんですけど、10年以上前の曲たちだったりするんですけども。今でも私の中では、やっぱりどこかで、いつか自分でも、チャレンジをしたい、音の奥行き感だったり、こんなに声が前に出てきてるのに、楽器がすごく奥に「ふわぁ〜」っと聞こえるとか、いろんな音の配置っていうんですけど、「定位」っていうかね、それの面白さだったり。 音がないところの、無音という気分。私の気分でいうと「無音の音」っていう感じがあるんですけど。音と音の隙間のクリアさみたいなものとか。そんなものが本当に、すごく美しく、シャープにできている曲たちで。すごく好きなんですよね。 だから私は、私の音楽の中で、自分のできる範囲というよりも、これからもずっと、こんなに大好きな音楽たちがあるんだから、そんなたくさんの素晴らしい音楽たちから学んだことをね、自分の音楽の中に、いかに自分らしく生かせていけるかなぁと思って、これからもいろんなことを、トライしていきたいなと思っています。 そんなことを本当に今でもずっと思わせてくれる曲たち、4曲お送りしました。 布袋寅泰 vs.(ヴァーサス) 吉田美奈子で「MIRROR BALL」聴いていただきました。 この「MIRROR BALL」という曲はね、去年出た布袋さんの『SOUL SESSIONS』というアルバムの中に入っているんですが。布袋さんのこのアルバムは、本当にいろんな素晴らしいアーティストの方たちと、「バトル」というか、(笑) いわゆる「ヴァーサス」という感じで、コラボレートしているアルバムなんですけど。 土屋アンナさんとか、RIP SLYME、DAVID SANBORN、井上陽水、町田康、Char、BRIAN SETZER、葉加瀬太郎、吉田美奈子、中村達也と、本当にさまざまな、本っ当に最高な人たちが、今回、すごく楽しんで、このアルバムに参加してくださっています。 布袋さん自身がすごく伸び伸びしていて、布袋さん自身がすごく楽しんでいて、そしてそこに参加してくださった方たちが、またさらに楽しんでくださっているという、本当にねぇ、私たちファンにとっても、とっても幸せなアルバムなんですけども。 「MTV アンプラグド」っていうライブがあるじゃないですか。それで布袋さんもこないだライブやったんですけども。そのときに、いろんな曲たちをやって、美奈子さんに1曲、この曲を歌っていただいたんですね。私はレコーディングのときには伺えなかったので、生でこの曲が奏でられるのを初めて観たんですけども。 もう、美奈子さんの声が始まった途端にね、美奈子さんのところからね、天井抜けて上に「ふわぁ〜!」って、天空に一瞬につながった感じでしたよ。 「天の声だな」って今までもよく思ってたけど、そんなものじゃなくてね、本当に星の上にある感じ。「うわぁ〜!」って広がる感じでね、もう頭の先から足の先まで、(笑) 鳥肌が立って、涙が止まらなかったんですけど。 本っ当にねぇ、素晴らしいアーティスト同士のコラボレートで。それもまた、その現場を目撃できたという幸せにね、私は本当に、感謝感謝だったんですけども。 このアルバムもねぇ、こういう「MIRROR BALL」もあれば、ものすごくハードなのもあったり、すごいグルーヴィーで気持ちいいのもあるし。女房だから言うわけじゃないですけども、布袋寅泰ファンとして、本当にいいアルバムなので、まだ聴いてない方はぜひ、このアルバムは聴いたほうがいいと思いますよ。(笑) ぜひ聴いてみてください♪ 今井美樹がお送りしています「サウンド・ミュージアム」。 今井美樹で、「真夏の幻」聴いていただきました。 この曲は、去年出ました私のニュー・アルバム『Milestone』の中に入っているんですが。これからはいよいよ、今井美樹の『Milestone』の曲を、おかけしたいと思っています。 去年ですね、2006年が、デビューをしてから、20周年だったんですね。「もうそんなになるのか!」と思って、(笑) まだまだいろんなことを模索しながら、毎回毎回アルバムをつくっているような気がしていたので、「もうそんなになってしまうのか」と驚いていたり、「あぁ、こんなに歩いてきたんだな」って感慨深かったり、いろんな想いが交錯したんですけども。 でも、先ほどもお話しましたけれども、こうやってたくさんの音楽たちに、多大なる影響を受けながら歩いてきて、やっぱりまだまだこれからも、トライしたいこと、まだまだやってないことが、たくさんあるような気がするんですね。 だから、今までは、一生懸命自分を試行錯誤してきた時期、一生懸命がんばってチャレンジしてきた時期だったような気がするんですけど。 そういう、自分が歩いてきた道の上に、これからは、もっとリラックスしてというか、チャレンジしてきたこと、トライアルしてきたことを、楽しんでできるように、楽しんで自分が、自分の中に、体の中に、心の中に、だんだんストックされてきた、そういう音楽の波動みたいなものを、楽しく奏でられるようになれたらいいな〜と思っています。その第1弾みたいな気分でつくったのが、今回の『Milestone』だったんですけども。 とにかく、ず〜っと自分の中で、こだわり続けていた、音楽の景色みたいなもの。今日聴いていただいてる中で、なんとなく、今井美樹が好きなもののトーンっていうのが、感じていただけてるんじゃないかと思いますが。 「いいメロディーだね」っていうのはもちろん大前提として、そのメロディーを彩る、音楽という波動が、いかに気持ちいいかというか、気持ちいいっていうのは、ただリラックスしたというだけではなく、そのメロディーに対してどのように、寄り添って、彩っているか。 で、そのメロディーと共に、聴いてる私たちが、その音楽の波動に「揺さぶられて」っていうのか、ゆりかごに乗ってるっていうか、そういうふうに、あっという間に、気がついたら自分の行きたかったところに、旅をしてるみたいな。 音楽が、今の自分から、あっという間に「パッ」と開放してくれるような、そんな力を持っているというのは、ず〜っと私の中には、気がついてることだったような気がしたんですよ。 ず〜っとある時期から、そういうふうに音楽を聴いていて、音楽が周りにあって、私はいつもそうやって音楽たちに、どこかに、べつに逃避してるわけじゃないんですけど、音楽というものに、何かすごく自由に旅をすることを教えてもらって。 いろんな、自分の中の、心の旅に出ることもあったり、かつての過去の旅に出かけて、柔らかい気持ちを思い出したり、「あの頃もっと私は、柔らかい気持ちを持っていたよね」って。「あ〜いけないいけない」ってことを(笑)取り戻したり。 本当にいろんな場所に、まだ行ったことのない場所に飛び立って、それで、見果てぬ夢を見る。そういうロマンを得たりとかね、いろんなふうに、音楽から、私はそういうふうに、自分らしくいることを学んだような気がしているんですね。 だから今回の『Milestone』のアルバムでやりたかったことは、自分の心にある、「このメロディーに対してこういうふうに歌いたいんだ」って気持ちだったり、「このメロディーで、この歌詞だから、私はどこに行きたいんだ」っていうことに対して、嘘をつかないってことが、すごく自分の中にあったのと、最初に、このアルバムをつくるきっかけになった曲というのが、「年下の水夫」っていう曲なんですけども。 この「年下の水夫」という曲はね、歌詞だけが先にあったんです。岡田ふみ子さんっていう、その時点では私はお会いしたことがなかったんですけど、本当にたくさんの歌詞を書いていらっしゃる、ベテランの女性の方なんですけど。その方が、今井美樹をイメージしたのちに、「ポン」と書いてくださったのが、その「年下の水夫」という歌詞だったんですけども。 本当に恋をしてるときって、胸が「ギュ〜ッ」と痛くなって、肉体的にもちょうど胸の辺りが「ギュ〜ッ」と痛くなることあるじゃないですか。その歌詞を初めて見たときに、そんな感じだったんです。胸が痛くなって。本当に、あっという間にその歌詞の、この2人の世界に、自分も飛び立っていて。 その景色、その彼らが居る部屋のムード、外にある潮騒の感じ、波間に光る月明かりの感じとか、いろんなことが「うわぁ〜」っと浮かんで。どんなムードの音を鳴らせたいと思ってるのか、どんなムードの曲にしたいと思ってるのかが、本当にあっという間にすごくイメージとして広がったんですね。 そんな曲との出逢いが、さっきお話しました CAETANO VELOSO のライブを観てるときに思っていた、自分の中のいろんな気持ちと、完全にシンクロしたんですね。CAETANO VELOSO のライブのときに思った、開放された気持ち、自分で呼吸ができるようになった、そんな錯覚ですけれども、そんな開放された気持ちみたいなものを、ここでもまた感じて。「あぁ、この曲を早く歌いたい」っていう想いから、結果的にスタートして、このアルバムをつくることになりました。 だったので、この『Milestone』というアルバムは、全部でコンセプト・アルバムというものではなくて、本当に1曲1曲、ひとつひとつを、ひとつひとつ塗りつぶしながらつくったアルバムだったりするんですけども。 その曲に対して、「この歌詞だから、私はこういうふうなムードで歌いたい」「こういう声になりたい」「こういう声で、あそこのところは、こういうふうに歌いたいんだ」とか、そういうのがものすごく、自分の中ではっきりとしたビジョンみたいなものがあって。だから久しぶりに、朝までスタジオにこもったっていう感じで。(笑) レコーディングをしていました。 やっぱり子供を授かってから、できるだけスタジオに居る時間を少なくして、負担をかけないようにとか、そういうふうに、プロデューサーである布袋さんもすごく配慮してくれていたので、本当にスタジオに居る時間は最低限、自分が必要なところだけで済ませてもらっていたんですけども。 やっぱりこれだけ音楽が好きな人間としては、やっぱりその音楽が、音がね、自分の歌だけではなく音が、どういうふうに生まれているのかっていうその瞬間をず〜っと、実は味わいたかったんだなっていうことを、改めて気がついたし、だから今回は本っ当にスタジオにへばりついて、ず〜っと一緒にやっていたんですけども。 そういうふうに、若かった頃、一生懸命、手探りだったけど、自分の感覚だけで「私はこういうことが好きなんです。ああいうことが好きなんです」って言いながら、プロの音楽家たちに、わけもわからない素人の私が、一生懸命何かを伝えようとして、スタジオにこもっていた、その頃と同じようなエネルギーで、情熱で、スタジオにこもってつくったアルバムです。 で、またね、そういうふうに、いつもいつもこれからもできるとは限らないですけれども、20周年という、そういうメモリアルなタイミングのときに、久しぶりにまたそういうふうなレコードづくりができたっていうことも、私にとってはすごく嬉しかったし。 でも、娘が幼稚園に行っている毎日があって、もちろん一所懸命ギリギリまでスタジオに居ても、朝、お弁当つくって送って行ったりしてたんですけども、さすがに最後のほうで「朝までスタジオかかるから難しそう」なんていうときは、布袋さんがね、「明日は俺がやるから、お弁当もつくって、幼稚園も連れて行くからいいよ。がんばってそっちをやって」なんてメールくれて。 本っ当にねぇ 嬉しかったっていうか、ありがたかったんですよね。それは、「朝を担当してくれる」ってことが嬉しかったというよりも、そういうふうに、スタジオって大変だから、「スタジオにこもってるときの大変さは、僕もよくわかってるから、もう気にしないでいいから、存分にやりなさい」と、そういうふうに言ってくれた、彼のその想いが、すごく嬉しかったです。 だから今回はね、自分でこのアルバムに、ひとつの後悔もないです。こんなに想いをね、本当に注ぎ込んでアルバムをつくれたことが、すごく幸せだなと思ってます。 それでは、アルバム『Milestone』から、「年下の水夫」「雨のあと」2曲続けて聴いてください。 「サウンド・ミュージアム」。今夜は私 今井美樹がお届けしてまいりましたけれども。そろそろ、お別れの時間です。 2時間40分、どの曲を選曲しようかと、本当にここ数日間、朝3時半までかかって(笑)選曲してたんですけど。あっという間だったですね。(笑) かけたい曲はもう本っ当に山のようにあって、あれもこれもあったんですけれども。 でも、本当に「夜のしじま」っていうかね、昔から、学生の頃から、このくらいの、日が変わる前の時間を、自分独りの時間だという感じがしていて。すごくねぇ、大人っぽい時間で大好きだったんですけども。 そういう頃に、それこそ NHK のFMでね、「クロス・オーバー・イレブン」って番組が(笑)昔あったんですが。そういうのからかかってくる音楽たちが、本当にあこがれで。早く大人になって、東京に行って、たくさんの音楽たちを聴きたいと思ったものです。 そんな気分をね、自分でも思い出しながら、今日ず〜っと選曲してきたんですけども。たくさんのいい音楽たちに出逢ってこれたことを、本当に幸せに思っています。 こうやって今日おかけした曲たちが、聴いてくださったみなさんの中で、みなさんのこれからに、少しまた、花を咲かせるためのきっかけになってくれる曲たちがあってくれたら、うれしいな〜なんて思っています。 これからも、私もがんばってというか、もっともっと幸せに、音楽していきたいと思いますので、ぜひ聴いてくださいね♪ さて、これからの私の予定なんですが。もうすぐですね。20周年を記念したスペシャルライブ、「今井美樹 20th anniversary concert "Milestone"」。『Milestone』のアルバムを持った、コンサート・ツアーを行ないます。 3月17・18日、東京国際フォーラム・ホールA。3月23日金曜日、愛知県芸術劇場。3月24日土曜日、大阪フェスティバルホール。そして4月1日日曜日、福岡サンパレス。4月6日金曜日、山梨県立県民文化ホール。 リハーサルに入ったばっかりなんですけども。(笑) これからどういうふうに、また紆余曲折ありながら、スタートの日へ向かうのかっていうのが、すごく楽しみでもあり、ドキドキでもあるっていう感じなんですが。 選曲してるときがすごく楽しかったように、ライブもね、リハーサルやってるときがすごく楽しいんですよ。ああだこうだいいながら、音楽がだんだん音楽として、本当に花になっていくところをね、自分たちでつくっていくのは、すごく楽しいものです。 この、楽しい気持ちを持って、そのままみなさんの街に、向かいたいと思ってます。機会がある方は、ぜひ遊びに来てください。 次回の「サウンド・ミュージアム」は、3月25日日曜日。7時20分からです。 今日は本当に、素敵な音楽に包まれた夜を過ごせました。最後まで聴いてくださって、どうもありがとう♪ 今井美樹でした。おやすみなさい。 |
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