三岐鉄道 トム1・10・20形
トム1形(1・2)
 トム1形は15トン積車で、石原産業に保管されていたセム形鉱石車を譲受し台枠以下を流用して、1957(昭和32)年3月に大鉄車輌工業で製作された半新造車で、アオリ戸が一見5枚板構成に見えるが、開くのは下から3枚目までで上2枚は固定であった。後述のコトラ500形と共に関西電力黒部川第四発電所建設用セメントバラ積輸送(以下黒四輸送)に活躍したが、1965(昭和40)年11月に2輌とも廃車解体されている。

トム10形(10〜12)
 トム10形は15トン積車で、1955(昭和30)年に江若鉄道で廃車となったトム300形300・301・305を1957(昭和32)年4月に譲受したもので、前歴は運輸省トム5000形で江若鉄道が1949(昭和24)年4月に運輸省から払下げたものである。譲受時は側面中央鋼製両開戸があったが、1957(昭和32)年6月に大鉄車輌工業でトム1形同様のアオリ戸の構成に改造された。トム1形と同じく黒四輸送で活躍したが、トム10が1965(昭和40)年12月、トム11・12が翌年9月に廃車解体されている。

トム20形(20〜33)
 トム20形は15トン積車で、トム20・21は1957(昭和32)年11月に鉄道用品、トム22・23は1958(昭和33)年2月に大鉄車輌工業、トム24〜33は1961(昭和36)年6月に若松車輌でそれぞれ新造されている。ただ、トム24〜33は昭和電工富山工場トム1〜70のうちの10輌を譲受したという書類が残っている。形態は鉄道省トム4500形と同様である。1961(昭和36)年11月の大矢知駅での脱線転覆事故でトム29が早くも廃車になっている。残りは1970(昭和45)年2月に全車廃車解体されている。

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2013.2.19 更新
主要諸元
形式 車号 最大寸法(長巾高) 自重(t) 荷重(t) 実容積(m3) 軸距 備考
トム1 1・2 7346×2456×2490 7.30 15.00 34.22 3500
トム10 10・11 7791×2470×2396 7.50 15.00 34.63 3950
12 7791×2470×2396 7.63 15.00 34.63 3950
トム20 20・21 8056×2740×2226 8.38 15.00 37.28 4000
22〜33 8056×2740×2255 8.51 15.00 37.28 4000
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