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(update 2012/11/11)

秘境駅探訪ブームを考える 

 

 

    近年は鉄道趣味のなかでも秘境駅探訪がブームだそうである。確かに書店でも秘境駅をテーマにした書籍は容易に見つかるし、ネット上でもファンによる探訪記が続々とヒットする。(かく言う自分も少し前に宗谷本線の糠南駅来訪を当HPに掲載している。)

   これら秘境駅の中でも秘境度No.1の駅は(通説によれば)JR室蘭本線の小幌駅と言われている。到達困難度や人煙稀な雰囲気等を考えれば頷ける格付けであり、そのため書籍でも比較的早くから紹介されている。ちなみに平成8年の初来訪もその数年前に季刊誌「旅と鉄道」の記事に興味を持ったからで、その時は自分以外の乗降客は皆無であった。

    初めて小幌駅を訪れた際の撮影(平成8年10月撮影)

   その次に降りたのは平成10年、帰途のホームには自分の他に地元の釣り客(親子)がおり、海岸で採取したウニ等が入ったクーラーボックスを見せてくれた。その際に「今日はどちらから来られました?」「東京からです。」「えっ東京!?」とのやりとりがあったのを覚えている。この頃はまだ遠来の旅行客が珍しかったのだろう。

   そして今回(平成24年9月)は久しぶりに3回目の来訪、上り長万部行きに乗る。列車は小幌駅が近づきトンネル内で減速、すると自分も含めなんと10人程度が腰を上げ降車の行列へ。こんなことは経験がなく少々驚いた。そして降車客はみな右写真のような具合…こりゃブームだね。

 

 秘境駅探訪と言うよりは撮影会のありさま

   自分が降りた列車は14:57着、折返し15:14発の下り列車に乗るべく下りホームをを見ると既に列車待ちの乗客がホームを占拠している(右下写真)。はて?あの人たちはいつからこの駅にいるのだろう…列車以外に到達手段のないことで有名な小幌駅、時刻表で見ると直近の停車列車(上り)でも11:34着で、3時間以上も何してたんだろうと思わず考えてしまった。

   逆に今降りた下りホームは次に列車が停車するのが19:11なので、当然ながら誰もいなくなる。ホーム上の駅名標が黒ずんで見づらいが、列車通過時にトンネルから噴き出る塵埃や油煙に長年まみれたせいなのだろうか?

 

駅名標が黒ずんでバックの壁面と同化している上りホーム

    しばらくして上り列車が到着、またカメラがいっせいに向けられる。ちなみにこの列車へ何人乗ったのか数えてみると、実に22人(うち4人は当駅の資材置場建設作業員)がゾロゾロと乗り込んだ。この駅にしてはいくらなんでも大人数に過ぎ、そのため今回は秘境駅を見るというより「秘境駅を見る人」を見たというのが率直な印象だった。

    さて総括すると、小幌駅のようなトップクラスの秘境駅来訪にはシーズンの週末等を避けるべきと感じた。また書籍・ネット等の情報にこだわらず、例えばローカル線の車窓で見つけた駅にふらりと降り立ち、旅の思い出として“自分の”秘境駅発見を楽しむのも良いかも知れない。

  

下りホームは賑やか、ちょっと秘境駅とは…