(update 2008/01/13)

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10年ぶり、指宿枕崎線に乗る

 

(乗車日:平成19年12月31日)
 

     鹿児島中央から指宿を経て枕崎に至る「指宿枕崎線」。途中にあるJR最南端の駅「西大山」でファンには知られた路線であり、自分も今回が5回目の乗車である。しかし近年は少々ご無沙汰していたために、今回は平成9年6月以来の来訪となった。

   趣味的には西大山駅が最南端の駅を返上したあと、どのように変化したのかが興味あるところだったが、その他にも気づいた点をレポートしてみよう。鹿児島中央から枕崎まで直通する列車は日中にはないので、まずは「なのはなDX3号」(鹿児島中央10:40-11:33指宿)を選んで指宿乗換の行程を組んでみた。 

 

鹿児島中央で出発を待つ指宿行き快速「なのはなDX3号」

   この「なのはなDX3号(3両編成)」には2004年3月からデラックス車両なる車両が1両連結されており、普通車指定席料金500円(JR九州)を別に払えば乗れる。ところが前日取った指定席券には席番が3号車3番A席とあり驚いてしまった。指定席は席番指定等の操作をせずに取るとマルス(コンピュータ)は3番から順に売り1・2番でエンドが原則、つまり前日に自分が買うまでは誰も買っていなかったようである。

   この事実を裏付けるかのように、鹿児島中央発車時には自分を含めタッタの3人、自由席車から親子連れが途中から移ってきて結局5人という何ともお寒い乗車率であり、観光用車両としてベテラン車掌のタイムリーな車窓案内がせめてもの救いであった。   

 

3両目は普通車指定席の「DXシート」

   指宿では跨線橋を渡り枕崎行きの普通列車(指宿11:39-12:53枕崎)に乗り換える。列車は2両編成でボックスに1〜2人の乗車率である。

   指宿を出て山川・大山と過ぎ、次は西大山である。JR日本最南端の駅として知名度の高い駅であるが、今回の行程では下車する予定はないため窓を開いて開聞岳でも…と思って写真を撮る。    

   すると車内放送で「この駅で3分ほど停まります」とのアナウンスがあった。あとで気づいたのだが、日中の列車はいずれもこの西大山駅で少々停車するダイヤとなっているのだ。この措置は最南端の駅目当ての観光客や鉄道ファンの便宜をはかるために違いなく、うれしい配慮である。

 

本日の開聞岳は頂上に雲がかかっていた(車窓から撮影)

   そんなわけで自分も久しぶりに西大山のホームに降り立ってみる。すると記念撮影をしている乗客が他にも10人程度いることがわかったが、いわゆる鉄道ファンよりも一般の観光客が多いように感じられ、この駅の知名度の程がうかがわれた。

   右の写真にあるように近年は標識の文字が書き換えられ、併せて「JR」と「西大山駅」の文字が加えられた。2003年、はるか南方に沖縄都市モノレールが開業(新駅設置)したために書き換えたわけだが、当初は「本土最南端の駅」と書き換えたそうである。しかしこの表記については沖縄からクレーム(沖縄は本土ではないのか!?)がつき、結局「JR 日本最南端の駅」に再度書き換えられて今日に至っている。

 

 書き換えられた最南端の碑(右の碑は平成6年2月撮影)

   右写真は同じくホームにある案内板で、最も東西南北にあるJR駅を紹介しているのだが、その内容を良く見てほしい。

   沖縄都市モノレールの駅を切り捨てる以上、たびら平戸口(佐世保よりも西にある松浦鉄道の駅)を取り上げないの止むなしとしても、最東端の駅が根室とあるのは誤りで正しくは東根室である。この点、資料によっては駅員配置の最東端駅として根室を紹介するケースが確かにあるのだが、それでは無人駅の西大山を取り上げる根拠がなくなってしまう。

   逆に東根室にも同様の看板を立てて、最南端の駅を山川(駅員配置の最南端駅)とでも紹介するかな?(なんてね)。

 

JR最東・西・南・北の駅を紹介した案内板

   列車は枕崎へと向かう。車窓には畑中心の単調な景色が続く。やがてトンネルを抜けると終点の枕崎で、急に町並みが目立つようになる。

   枕崎駅に降り立つのは今回が3回目、鹿児島交通から借りていた駅舎が2006年に取り壊されている情報は既につかんでいたが、実際に到着して唖然としてしまった。かつての駅舎付近は跡形もなく大型スーパーに変わっており、以前より100メートルほど手前で線路は切られて簡素なホームがまるで仮設ホームのように据え付けられていた。

   風情ある終着駅が簡素化されて驚いた例は他にも志布志・宇野・夕張等を経験しているが、ここ枕崎はJR最南端路線の終着駅、降り立ってガクっとくるのは何ともツライね。

 

簡素になってしまった枕崎駅の全景

   さて枕崎ではすぐに折り返し列車に乗っても良かったのだが、本日は夜までに熊本に着けば良い行程である。そこで1時間半ほど後の次の上り列車で戻ることにし、隣の薩摩板敷駅まで(3.4Km)歩いてみることにした。本日は西からの風が強く、ちょうど追い風になるのがラッキーである。

   国道226号線を東へ歩くこと45分、簡素なホームと屋根が右手に見えて薩摩板敷駅とわかる。周囲に人家は少なく、駅の南側に鹿児島水産高校があるものの本日が12月31日とあっては誰もいない。

   この駅は昭和38年に路線が枕崎まで伸延した際に設置され、駅名標や利用案内板を除けば開業当時と変わらないかの雰囲気である。

 

枕木が草に埋もれる線路(薩摩板敷にて)

   駅から南側を見ると開聞岳と海が見え、のどかな光景である。やがて遠く枕崎方から列車のタイフォンが聞こえ、2両編成の列車がやってきた。復路の列車は往路よりもすいていた。

 

   こんど指宿枕崎線に乗るのはいつだろう?

   また10年後かな…

  

 

薩摩板敷から見る開聞岳と水平線