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(update 2015/1/10)

 

さぁ今のうちに乗ろう、普通「妙高号」

 

  (来訪日:平成25年12月29日)

   

    北陸新幹線(長野〜金沢)の開業が秒読みになってきた。鉄道ファンは例により開業と引換えに廃止となるものに右往左往、例えばほくほく線「はくたか」に乗ったり、3セク転換の路線や駅を来訪したりするケースが多いと思われる。

   そんななか今回紹介するのが表題の普通「妙高号」で、わざわざ列車名の前に“普通”を付けるのも仰々しいが、列車の方向幕(右上写真)にもあるのでそうしてみた。この列車は長野新幹線開業(平成9/1997年)と同時に長野以北のアクセス列車として設定されたが、今春の新幹線開業時には走行路線の3セク化と同時に廃止が決まっている。そこで惜別の来訪となったわけである。

    長野駅2番線で出発を待つ国鉄特急色の「妙高3号」

 

   今回乗車する列車は「妙高3号」で、長野12:45−14:17直江津というダイヤ。事前に下調べをせずに長野駅2番ホームに降りてみると、おぉ昔懐かしい国鉄色の編成が入線している。国鉄時代の特急「あさま」を思わせる189系(両端のみクハ183)6連で、すでにファンのカメラの被写体となっていた。

   時刻表を見るとこの「妙高3号」は新幹線「あさま517号」(12:30着)を受ける列車と分かり、新幹線到着後は帰省客でみるみる座席が埋まり満席となった。この列車は最後尾の1号車のみ指定席だが車掌が車内アナウンスで全席完売の旨を告知しているので、本日は6両編成の目的を十分果たせていると感じた。

 

帰省客で満席、網棚には大きな荷物が目立つ

   

   さて長野を定刻に出た列車は北信地方の雪深い山あいを分け入るように走る。かつての「あさま」もそうであったように、この区間は単線で曲線も多いため速度が上がらないのは止むを得まい。列車は各駅で少しずつ帰省客を降ろしていくが、最も下車客が目立ったのは行程半ばの妙高高原であった。この下車客たちは来年どのような手段で帰省するのか、単純に転換される「しなの鉄道」を使うのだろうか…と考えたりもした。

 

二本木スイッチバックで小休止する

 

   二本木ではスイッチバックと対向列車行き違いのため少し停車、ホームに降りてみる。構造的な特色から鉄道ファンには人気のある駅だが、JRの駅としては余命いくばくもないためやはりファンの数も多いように感じられた。上写真の駅名標の緑帯もあと僅かである。

   ところで乗車の車掌は放送で「停車中のホームでは走らないでください」等の注意喚起をしていたが、全体的にはルール・マナーを守った上で残り短い「妙高号」をどうぞ楽しんでくださいとの雰囲気が伝わる車内放送を行っており、「妙高号」の誕生から今回の廃止に至るまでの案内放送も有ったりでこれはとても良い配慮だと感じ入った。   

  

今にも営業列車が走ってきそうな北陸新幹線の高架(脇野田)

 

   一時は陽が差した車窓もまた曇が厚くなり、雨模様の中を「妙高3号」は直江津に到着した。意外?にも柏崎方面や糸魚川方面の普通列車にさらに乗り継ぐ帰省客も少なからずいて、大きな荷物を持ちながら半自動扉を手で開けて乗り込んでいた。

    直江津駅は北陸新幹線のルートからは外れており、開業後は利用客が減るものと思われる。北信・上越地方の人の流れが今後どう変わっていくのかは関心のあるところで、新幹線は開業したけれどフィーダー線としての第3セクター鉄道がダイヤ・運賃の面などで不便であれば客足が遠のくこともあり得る。今後の推移を見守りたい。

  

直江津に着いた「妙高3号」