トップページへ   夢は鉄路を駆けめぐるへ   最近の話題へ

(update 2012/9/30)

  さぁ今のうちに訪れよう、糠南駅

 
  (来訪日:平成24年8月30日)

   

    昨今はいわゆる“秘境駅”への来訪ブームだと言われている。その実態&是非については別の機会に取り上げるとして、今回は先日訪れた宗谷本線の糠南(ぬかなん)駅を紹介してみたい。

   秘境駅の定義については書籍やネット等でいろいろ論じられているが、停車列車の少なさは秘境度(到達困難度)をはかるうえでも重要な要素であり、この糠南も下り3本・上り2本と非常に少ない。自分は南稚内に2泊する中間の日を来訪に充てることにしたが、うまくスケジュールを組むにはどうすれば良いのだろうか?

    旭川と稚内を結ぶ宗谷本線に糠南駅はある

    北海道のローカル線は首都圏の鉄道とは異なり駅間距離が非常に長く、隣の駅まで10kmを超えることもざらである。ところが糠南の場合はひとつ南の問寒別(といかんべつ)までがわずか2.2kmと近く、地図で両駅を結ぶ道路を調べてみても3km弱であることがわかった。停車列車も下り5本・上り5本ある。 

   そこで往路を南稚内10:55−12:27問寒別、糠南までを歩いて復路を糠南14:45−16:55南稚内とするプランを組んでみた。当日は単行のキハ54の窓を全開にして道北の涼風と車窓を満喫、若い運転士の所作もきびきびしていて好感が持てるうちに問寒別に着いた。 

 

問寒別で下車、糠南まで歩くことにする

   

   右写真が問寒別の駅全景である。かつては交換設備もあり駅員も配置されていたが今は全くの棒線無人駅でひっそりしている。首都圏の駅から見ればこれでも立派な秘境駅であるが、駅前には小さな集落があり、道路沿いに中学校や郵便局も確認できた。

 

問寒別もローカルムードたっぷりの駅

    さて歩くこと30数分、目的の糠南駅が見えてきた。近づいてみると列車1両分の簡素な板敷きホームと物置き同然の待合室だけ、それが周囲の緑の中にちょこんと鎮座している。周囲に人家は全く無い。

    このような形態の駅は国鉄時代には仮乗降場として時刻表にも載っていなかったがJR化後に正式の駅に昇格したものが多く、この糠南もその例に漏れない。

    それにしても見れば見るほど“簡素”な駅である。

  

糠南駅全景、上の問寒別よりさらに簡素な駅

    上述の秘境駅の定義には駅周辺に殆ど住居その他の構造物が無いというのも有るそうだが、糠南には駅前広場がある…ただし原野と言う名の広場である。この点からも秘境駅としての要素を十分に持ち合わせていると言って良いだろう。

    なお先達のHPによれば夏季はアブ等の昆虫に悩まされる記事が散見されたが、本日は風が強いせいか幸いそのようなことはなく、のんびり過ぎる“北海道時間”を写真撮影等に充てることができた。

    通過列車さえも来ない無人駅、鉄道時間は止まっている…

  

駅前はまさしく延々たる原野で、人煙稀である

  

    どうにも暇なので物置同然の待合室の扉を開けて中へ。中央に1人分のベンチ(箱?)が有るものの常用されている雰囲気ではない。ふと窓下を見ると教科書・学参が並べられてあり、地元の高校生が待ち時間に勉強かと思わせたが、巻末を見るといずれも平成18年版だった。当時の高校生はこの地を既に離れたのかな?と思いを巡らせたりもした。  

  

物置のような待合室、扉を開けて入ってみる

   

    ホームにある駅名標を見てみよう。よく見ると両隣駅の記載のうち、おのっぷない(雄信内)にはシールが貼ってある。これは平成13年まで隣駅であった上雄信内駅が廃止されたことによる標記変更である。上雄信内は糠南と同様にかつて仮乗降場だった駅であるが、廃止直前には利用者が殆どいなかったようである。

  

隣駅廃止でシール貼りされた駅標

    最後に今回取り上げた糠南を総括してみよう。来訪日は平日であったが地元の用務・通学客等は全くおらず、自分が帰途の列車に乗るときに降りた1人の客も秘境駅来訪が目的の鉄道ファンのようだった。また既述の通り隣駅の問寒別と比較的近いため、仮に廃止となっても地元客への影響は少ないものと思われる。そんなわけでこの秘境駅「糠南」の来訪は今のうちなのかも知れない。

    この駅で降りた若いファンも乗り込んだ自分が秘境駅目的の来訪であったことは直感でわかったようで、去り際の車窓から小さく手を振ると気がついて振り返してくれた。彼の北海道旅行が思い出あるものとなるように!

  

稚内行きが到着、ほぼ7時間ぶりに列車が停車する