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(update 2016/1/25)


さぁ今のうちに乗ろう、三江線
 

  (来訪日:平成27年12月30日)

   

    2010(平成22)年12月31日、早朝の三次駅は前日までの降雪で凍りつくような寒さだった。この日の自分は三次→江津→宍道→備後落合→三次と中国山地と山陰を時計回りに戻る強行軍、第1ランナーの三江線422Dはダイヤの乱れを心配するわが身をよそに徐行運転で雪を踏みしめながらなんとか進んでいる有様だった。

    およそ1時間遅れで列車は三江線の中間地点・浜原に到着した。対向列車と交換して発車と思いきや、なんと「この先で大雪による倒木発生のため運転打切り、タクシーにて代行輸送」の案内があった。しかしこの様子では仮に江津側に達したとしても無事に三次に戻れる保証は限りなく低く(他線も不通・遅延の可能性あり)、やむを得ず三次側へ戻るタクシーに乗り込んだものだった。   

   5年前、三次で5:46の出発を待つ422D

   

    あれから5年、超ローカル線の三江線は存続していた。もっとも昨秋にJR西日本が廃止を検討開始との報道が流れたため、いよいよカウントダウンが近くなったことは否めない。そんな状況下で5年前と同じ422Dに乗ってみた。

    早朝にホテルを出て三次駅5:30、キハ120の単行に乗りこむと既に乗客が13人もいる。しかしよく見ると地元のおばチャンが1人いる他はすべて……。やはり廃止の報道が効いたのだろうか?ちなみに5年前は自分を含めファンは2人だけだった。

    列車は夜明け前の細道を江の川沿いに走る。とは言え外はまだ真っ暗だから車窓は望むべくもない。乗降客ゼロのまま列車は停車・発車を繰り返し口羽着。28分停車のうちにようやく夜が明ける。   

   口羽6:39着/7:07発。東の空が白み始める

 

    7:15、列車は「天空の駅」として知られる宇都井に着き、ここで鉄道ファンが2名下車した。行程を組むのが大変な三江線にあって幸いにも1時間後に三次行きが来るので、全線踏破にこだわらない向きには使えるダイヤである。(自分はこの駅に2日後に下車、別稿にて掲載予定)

    三江線のほぼ中間地点である浜原には7:45着。今年は全く雪がなく、5年前とは別の路線のように感じる。それにしても相変わらず地元客の乗降が無いうえ、車内に陣取る鉄道ファンは殆どが始発の三次から終点の江津まで乗り通すわけだから車内は変化に乏しく、列車は車窓に江の川を映しながらのんびりと時間を潰すように鉄路を往く。 

 

江の川に沿ってゆっくりと

 
   8:24石見川本着、ようやく地元客が6人乗り込んできて車内の雰囲気が少し変わる。もっとも鉄道ファンはボックスを1人で占拠し、ロングシート部分にも点々と座っている有様では地元客も困惑しているかも知れない。三江線は単純に考えれば「青春18きっぷ」のシーズンになると途端に鉄道ファンが増える線区と思われ、北海道のローカル線などと同様に地元客とファンとの共存が課題と思われる。

    さて石見川本以降は江津に近づいたこともあり、他の駅からも数人の乗車があった。右写真は川平駅、見てのとおりかつては交換設備のあった駅だが今は棒線駅。現在では石見川本〜江津32.6キロ間で列車交換可能駅は無いため、イベント列車等を設定しようにもダイヤの組み難さは容易に想像できる。 

 

右側のレールは撤去、左側も無くなるのだろうか…

  

    だいぶ陽光が上がり、この列車もファンと地元客が半々で総勢30人程の車内となった。終点の一つ手前、江津本町を出るとようやく江の川と別れて左へ大きくカーブ、山陰本線が近づいてくると程なく江津である。列車自体は列車番号を変えて浜田まで行くが、殆どの乗客は江津で下車した。

    全線108キロを3時間46分かけて踏破する三江線、鉄道ファンがいない日常の輸送状況を考えると存続しているのが不思議な程の過疎路線である。その鉄道ファンにしても青春18きっぷ等の特企利用が殆どで、三江線に直接寄与する普通乗車券等での乗車は皆無に近いと思われる。もうおとなしく廃止の日を待つしかないのだろうか…ホントに「さぁ今のうちに乗ろう、三江線」。


江津に到着、108キロ・3時間46分の旅