(update 2006/09/08)

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このまま草むすか、高千穂鉄道

 

 

   まず、右の張り紙を見てほしい。延岡駅に張り出されている高千穂鉄道からの「お知らせ」である。この高千穂鉄道が昨年の台風で不通となったのがちょうど1年前のことであるが、その後沿線自治体が復旧費用の負担に難色を示したこともあり結局廃止、その旨を通知した内容となっている。

   自分はこの写真を今夏撮影した時、この「お知らせ」を作成・貼付した人はどんな気持ちだったのだろう、と考えた。簡潔な文面ではあるが、その行間には無念さがにじみ出ているように感じる。特に経営者が放漫でも従業員が怠惰だったわけでもない。ただ不可抗力の天災によってあっさり会社が無くなる事実を強制的に受け入れざるを得ない現実は、そこで働くものにとって非常につらかったに違いない。   

 

延岡駅に張り出された「お知らせ」

   なお近時の情報として、高千穂町の観光・商工関係者らが部分運行再開のためにと「神話高千穂トロッコ鉄道株式会社」を本年3月に設立している。とりあえずは末端区間の高千穂〜日之影温泉で開業し、徐々に延岡方向へ伸延させる計画のようであるが、まず末端区間からとしたのは当該区間が観光客の乗車を見込めるとの読みからであろう。延岡まで再び列車が来るようになるか否かは、その施策の成否いかんとも考えられる。

   高千穂鉄道のホームはJRホームの北の端に残っており、写真のように1両のディーゼルカーが留置されている。このまま雨ざらしで放っておいては車体の損傷が早まる恐れもあり、同線で再び走らせるにせよ他線区へ売却するにせよ、その資産価値をむやみに下げるべきではない。(あるいはこのまま廃車か?まだ使えそうだが…)

車内のカーテンを下ろしてポツリとDCが停まっている

   さて翌朝、駅前のビジネスホテルを出て高千穂鉄道がJRから分岐する付近まで歩いてみた。線路は右の写真から左へカーブして内陸(高千穂方面)へ向かっている。踏切は列車が来ないために遮断棒が撤去されており、レールも赤錆が目立つようになってきている。余談だが廃止線の外形の推移として、@レールの赤錆が目立ってくる Aバラストから背の高い雑草が繁茂する Bレール撤去、残ったバラストからそこにレールがあったことがわかる Cさらに雑草が繁り、その痕跡も発見困難となる D場合によっては整地されて建物が建ったり、道路や駐車場となる、の概ね5段階があり、今はまだ@の状態と言える。

  果たしてこのレールには再び列車が走るのか?はたまた整地して遊歩道にでもなるのか?現時点ではどちらとも言えない。

このまま土に還っていくのだろうか…