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(update 2013/01/28)

さぁ今のうちに訪れよう、坪尻駅

 
 

(来訪日:平成25年1月1日)

    このところ秘境駅を題材にすることが多くなったが、今回は土讃線坪尻駅を取り上げてみたい。この駅は香川県から徳島県へ抜けた山あいにあるスイッチバック駅で、秘境駅としても名高い駅である。

   平成25年の元旦、琴平駅で始発の阿波池田行き単行DCに乗り込む。車内の乗客は10人程度だったが、どう見ても地元の客は僅か…つまり鉄道ファンで占められている。さてはこの殆どが坪尻駅で降りるのではないか?と昨夏の小幌駅フィーバーが頭をよぎった。秘境駅来訪の雰囲気がまたもブチ壊しではたまらんなぁ〜などと考えているうちに列車は長いトンネルを抜け徳島県に入り、その坪尻駅が近づいてきた。

本線を通過する南風号はみるみる高さを稼ぐ 

    

   するとファンはスイッチバックの様子を撮ろうとカメラ片手に車内を行ったり来たりと予想通りの行動を始めた…が、実際に当駅で途中下車したのは自分だけで少々拍子抜け。おそらく彼らは土讃線乗り潰しが目的のファンだったのだろう。

   そうは言ってもやはりこのような駅では他に下車客がいない方が秘境らしい雰囲気を味わえて有難い。折り返しの上り列車が来るまでに1時間程あるので駅周辺を歩きながら撮影時間とする。

    この駅は山奥の秘境駅で、雲間から陽光が漏れるかと思えば雪が舞い、人工的な音は全く聞こえて来ない。そんな駅である。

秘境駅らしいひっそりとした駅舎

 

 

   右写真はスイッチバック駅と本線の勾配を撮ったものである。この区間は25‰(パーミル)で北から南へ下っており、平坦な駅ホーム部分の線路と高さの違いが良くわかる。

    なおこの駅構内では特急列車の通過が時々あるが、警報機が無いため列車は突然高速でやってくる。このため通過列車の時刻表が駅舎に貼ってあり、撮影時には要チェックの情報と言える。

  

上り方面を見る。右は高松方面への本線

 

 

    ところで駅舎の周辺は草が生い茂るのみで外部に通じる道らしきものが見当たらない。では通常この駅を利用する場合の“外界”との接点は何処にあるのだろうか?と思い周辺を歩いてみると一応構内踏切らしきものがあり、それを渡ると細い山道が登り坂となって延々と続き、国道32線へと出る。しかし実際にこの道を歩いて駅を利用するのはかなり難儀で、地元の乗客は大変だなと思わずにはいられなかった。

   右写真はその国道から歩いて駅に辿り着いたイメージであるが、踏切には本線しか写っていない。と言うのもこの付近のホームへの線路は高低差のためにもう隠れて見えないのである。

国道から歩いて辿り着くとこんな雰囲気  

 

 

   さていろいろ探検?しているうちに1時間はあっという間に過ぎ、帰りの上り列車がやって来たので乗る(往路列車の折り返し運用だった)。列車はスイッチバックのためいったんバックして右写真の引き上げ線に入り、再び進行方向を変えて本線(上2出)へと向かった。

    最後にこの坪尻駅は今のところ廃止云々の話は出ておらず、表題はやや大げさと考える向きもあろう。しかし仄聞によれば1日の利用状況は1〜2人とのことであり、合理化のため例えば信号場に格下げのような話が持ち上がる可能性は常に考えられる。同じく土讃線のスイッチバック駅である新改駅とも併せて来訪は早いうちが良いかも知れない。

乗車列車内で(引き上げ線から)撮影