桃太郎(5)



数十分後、ポチは意識を取り戻しました。
まだ血が流れてはいますが、体を起こして洞窟へと向かいます。
洞窟は静かで何の気配もしません。
ポチは仲間を求めて、洞窟の奥へと進みます。
奥からは血の臭いが漂ってきます。
不安を覚えながらも、さらに進むとあたりに何かの残骸が残っていた。
よく見ると、仲間の死骸だった。
食用とされたらしく、台の上に乗っていた。
「くっ…鬼どもめ……」
ポチは激しい怒りに体を振るわせました。
「必ず、必ずみんなの無念を晴らしてやる」
そう言うと、ポチはその場から去っていきました。

洞窟を出て、身を隠せるところを見つけて体の傷を癒します。
この後どうするか考えるポチ。
自分ひとりでは、とてもすべての鬼を倒せそうにありません。
国に帰って仲間を集うにしても、もっと情報が必要です。
ポチは傷がいえたら、いなくなった赤鬼を追うことにしました。
鬼の住む場所を探し、退治方法を探し、国に戻って精鋭部隊を集うことにしました。
とにかく、いまは傷が癒えるのを待つだけなので、静かに目を閉じ眠りに付きました。
起きたら、鬼の追跡です。

だいぶ傷の癒えたポチは、鬼の向かった方向に進んでいきます。
道なき道を進んでいくと、人里が見えてきました。
そこは、見覚えのある人里でした。
かつて王とともに人間と友好を結ぶために立ち寄った場所。
あの里に住む、長老のところへ行けばなにか情報が掴めるかも知れない。
ポチはそう思い、人里の方に進んでいきます。
村の入り口に着くと、村人がポチを見つけてくれました。
慌てて長老の家に運ばれるポチ。
長老に事情を聞かれ、事情を説明すると長老は大変驚きました。
何しろ鬼を退治するというのですから。
驚きはしたものの、友好関係のある犬が傷ついているのです。
治療をしている間、情報を収集してくれることを約束してくれました。
長老は村人を集め早速、情報を集め始めます。
すると、とある村から桃太郎と名乗る若者が、鬼退治に出かけたという情報が入ってきました。
長老はすぐにそのことをポチに伝え、桃太郎と仲間になることを進めました。
鬼は凶悪でたくさん仲間がいるのだから、1匹では死にに行くようなものだからと。
ポチはとにかく、治り次第探し出しどういう人物か見極めるとにしました。
結局、ポチの傷が癒えたのはそれからしばらくしてのことでした。




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