As a Radiologist

〜これから放射線技師を目指す人へ〜

現在養成機関の学生の方、またこれから放射線技師の養成期間を目指そうと思っている方。まず、最初に言っておきます。現在の放射線技師の就職状況というのは、医療職のなかでは決して恵まれているほうではありません。むしろ厳しい、といってもよいくらいでしょう。理由は色々あります。ありすぎてここではすべて書くことはできませんが、僕なりに考えてみると、次のような事が挙げられます。

1.職業の寿命が長い

放射線技師に限った事ではありませんが、やはり経験というものは大事。それに、定年後でもその経験を生かしてそこの病院や他の個人病院で働く・・・ということも多いようです。要するに、「なかなか空きができない」のです。「空きができない」、すなわち新卒者の入る余地が少なくなる、という事です。

2.お金がかかる・・・

みなさん、一度は胸のレントゲン写真を撮ったことがおありだと思います。あの機械、いくらするかご存知ですか?X線を出す機械が数百万、胸をつけるほう(フィルムが中に入っています)の機械も数百万、胃のバリウム検査などをする機械は千万円単位、CTスキャンの機械にいたっては数億円以上、ととんでもない値段になっています(もちろん、「定価」で機械を購入することはまずありえません。競争社会で、メーカーにとっても大きな商品になるのですから、「勉強」するのは当たり前。そこは、ビジネスですね)。

それで何が言いたいか、というとそれだけ高い買い物をして「元が取れるか?」ということです。実際に、病院全体で黒字を出しているところはほとんど無いのが現状です。その中でも、最もお金がかかるのが放射線関係の設備(放射線を出す機械だけでなく、各部屋の放射線に対する防御、フィルムを現像する機械なども含む)と言えます。設備が出来たら出来たで、それを維持するのにも毎日莫大なお金がかかっています。それらをすべて含め、「元を取る」のは並大抵な事ではありません。どんなに豪華な設備を整えても患者さんが来てくれなければ何にもならないのです。

そういうわけで、放射線関係の設備が拡張されなければ今の体制でやっていけるわけですから、技師の増員→新規採用も増えない、と言う事になります。

3.病院が減っていく

今の日本、決して景気がいいとは言えません。さらに、これからどんどん寿命が延びてきて、高齢者の割合が(すでに高いですけど)高くなります。そうすると税収が減り、国や都道府県、市町村、さらにはそれに準じた機関(社会保険、労災保険、郵便貯金など)が出資している病院に充てられるお金というのも削られていきます。そうなると、日本の経営者お得意の「経営の合理化」=「リストラ」、ということになりますね。真っ先に削られるのは人件費ですから。それだけではなく、さらに「同系列の病院の合併・吸収」なんてことも起きてきます。そうすると、自然と合併・吸収されたほうは規模を縮小せざるを得ません。

そうなると、放射線技師だけの問題ではなく、医者、看護婦、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、事務職・・・医療に携わるすべてのひとたちに影響が出ます。特に、都市部で医療職の「余り」、言いかえれば過剰供給が激しいようです。

〜どうすればいいのか?〜

このコーナーで、ここまでいい事はほとんど書いてありませんね。ただ問題点を挙げるだけでは「放射線技師を目指す」人たちの役にはたちません。ここからは、これから放射線技師が何をするべきか、つまり僕の考える、こうありたいと思う理想像について書いていきたいと思います。

次のページへ

Radio Side Topへ

As a Radiologist Topへ