映画の前半、信吾(山村聰)と秘書・谷崎(杉葉子)は、修一(上原謙)の愛人(絹子=角梨枝子)の住んでいる家に向かう。
車中からの映像。右の塀は本郷の東京大学で間違いないだろう。本郷通りを駒込方面に向かっている。
この路地の特定はさすがに不可能だが、団子坂界隈の現在の住所だと「文京区千駄木3丁目、5丁目」あたりではないかと思われる。
この辺りは現在でも細い路地が密集した住宅街だ。管理者には土地勘のある地域である。
この路地のシーンでの信吾と谷崎の、歩いたり、止まったり、姿を消したり(谷崎)の二人の動作と
ショットごとのリズム=カメラポジションの変化がまた素晴らしい。
下記画面写真の塀に映る光線と木の影の微妙なコントラスト。撮影監督・玉井正夫の得意な映像だ。たまらない。
映画では、この時は息子の愛人宅を特定しただけで訪ねることはしない。
後日、信吾は一人で訪ねて行く。
本作の谷崎役の杉葉子さんは今年の5月に亡くなられた。
何度も書いているが、生前少し面識があったので残念でならない。
本作の秘書役=杉さんはとても色っぽい。前年『夫婦』での上原謙の若妻役も色っぽいのだけれど・・・
このことも生前、直接だったかメールだったかで伝えたことがある。
団子坂には、森鴎外記念館があり、江戸川乱歩の初期の小説「D坂の殺人事件」のモデルとなった場所であることも有名。