地下鉄「門前仲町駅」から清澄通りを清澄白河方面に行き、
首都高速深川線のところを左に曲がってしばらくしたところにある「一木橋」の跡。
『噂の娘』では3人が会話して、途中で止まり、また歩き出すとい典型的な成瀬演出が見られます。
鋼鉄製のアーチ型の橋です。
映画では写真の向う側から手前に向かって歩いてきます。
道路は昔「油堀川」だったとのこと。映画の中では道路の向こう側の並びは倉庫。
ここに昔「橋」があったというのは聞かなければ想像するのが困難です。
左の写真は上記の「一木橋」を渡って直角に続く「丸太橋」跡。
映画では叔父の藤原釜足と別れて、千葉、梅園の姉妹が会話を続けながら写真の向う側から手前に向かって歩きます。
この橋の下は「和泉堀川」という「仙台堀川」(これは写真の右側をしばらく歩いていくと現存)の支川とのこと。
仙台堀川にかかる現存する橋が、すでにロケ地紹介している『朝の並木路』(1936)に登場する「清澄橋(きよすみばし)」。
昭和10年当時、成瀬監督は深川近辺で頻繁にロケーションしていたことになります。
横のコンクリートから右に続くのが、川を埋め立てた公園。
この丸太橋の手前に小津家があったそうです。右の写真を見ると川の堤防のようなコンクリートが残っています。
上記左写真の「丸太橋」跡の道の信号を向う側に渡った場所にある元倉庫街。
映画では姉妹と別れた叔父の藤原が倉庫街の前を歩いていきます。
映画には白いビルのあたりに「ヤマサ醤油」のマークのついた白壁作りの倉庫が映っています。
このあたりの詳しい地図は江東区の「古石場(ふるいしば)文化センター」(門前仲町駅徒歩10分程度)の1Fにある
「小津安二郎紹介展示コーナー」に置いてある「江東シネマ倶楽部だより 2013年4月号『噂の娘』特集号」
に掲載されています。長谷川さんが作られた地図はとてもわかりやすく、ともかくその情報量が凄いです!
今回案内していただいた長谷川さんはもちろん小津映画のファン、専門家ですが、
成瀬映画も大好きということで今後もいろいろと情報交換をさせていただきたいと思っています。