成瀬映画に登場する風景(83)


『怒りの街』 (1950年) A NEW 2015.10.18


これまで不明だった『怒りの街』(1950)のあるロケ地についてメールで情報提供いただきました。
最近(2015年9月)「映画のなかの御茶ノ水」(明治大学出版会)という書籍を上梓された中村実男様(明治大学商学部教授)
からです。お名前はご本人から掲載許可をいただいています。情報提供していただいた中村教授に感謝いたします。
映画の中では大学生役・森宗久(宇野重吉)と福田つね子(久我美子)の屋外での会話シーンに登場します。
場所は、東京のJR水道橋駅からJR御茶ノ水駅に至る「皀角坂=さいかちざか」の上。
早速ご指摘の現地に行って写真を撮ってきました。
中村教授からは映画に映っている1950年当時の建物の説明もメールで教えていただいたので
それも一部引用させていただきました。下記説明の
青文字の部分参照。

なお、成瀬映画の中でもかなりレアな『怒りの街』は、名画座等の成瀬映画特集でもほとんど上映されることがなく、
以前スカパー日本映画専門チャンネルで放送されていた「成瀬巳喜男劇場」も残念ながら復活しそうもないので
日本で観ているのは100人くらいではないかと(笑)。
成瀬映画の中では失敗作の1本ですが、撮影は玉井正夫なので特に屋外ロケシーンの映像はいいです。
以前上記で放送されたDVD録画の画面写真の一部も特別に掲載します。







画面右の女性が久我美子。ほとんど同じ位置に電信柱がある。
写真はJR御茶ノ水駅方向。

右端のコンクリート壁は、文化勲章受章者の稲田龍吉(細菌学)の邸(現在は日本医事新報社)
後方は神田川の崖で、奥に見える建物は旧「文化アパートメント」
映画当時は、占領軍将校の家族用宿舎で、のちに「日本学生会館」となり1986年に解体された。
宇野重吉と久我美子の間に映っているのも同じ。





JR水道橋駅方向。写真の坂が「皀角坂=さいかちざか」。
この場所の雰囲気は映画当時に近い。
私は東京生まれでこの坂も何度も歩いたことがあるが、坂の名前はまったく知らなかった。
この坂の漢字はなかなか読めない!

正面の建物は「都立工芸高校」の旧校舎。その左奥の白い建物は「講道館」ではないかと


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