成瀬映画に登場する風景(86)


『あらくれ』 (1957年) ② NEW 2015.11.1


『あらくれ』のラスト前、夫の小野田(加東大介)の浮気を疑っているお島(高峰秀子)。
加東を乗せた人力車を追って、高峰を乗せた人力車が見つからないように後を付けるというシーンに登場する。

場所は文京区本郷4丁目。地下鉄の「春日駅」と「本郷三丁目駅」のちょうど中間あたり。
昔の地名だと「真砂町(まさごちょう)」。

この後、実際に愛人のおゆう(三浦光子)に住まわせている家まで来た高峰が、
昔からの知り合いである三浦をひっぱたき、蹴りまで入れる成瀬映画で最も過激なバトルシーンとなる。
逃げ出す加東の姿がユーモラス。三浦の家の設定はおそらく菊坂下あたりだろう。

このロケ場所の情報は初めてではないかと思われる。


この特徴的な日本家屋が特定の決め手になった。電信柱の位置もほとんど一緒。
映画に映っているものとは若干変わっているがここはほぼ間違いないだろう。
『あらくれ』もDVDが無いので、以前日本映画専門チャンネルで放送された
録画DVDの画面写真を小さく掲載する。
この日本家屋の隣には「文京ふるさと歴史館」がある。



上記写真の逆アングル。
この道を先に行くと「炭団坂(たどんざか)」という坂があり、それを降りると
『晩菊』の舞台の本郷・菊坂下となる。




この近くにある「清和公園」は右京山とも呼ばれ、
『姿三四郎』で三四郎と源三郎の決斗の場所となる「右京ヶ原」はそのあたり。
黒澤明のデビュー作『姿三四郎』では箱根がそのロケーション場所となったが
小説の設定はこんなに都心である。



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