成瀬映画に登場する風景

『杏っ子』(1958年) ④ NEW 2019.5.2(追加修正)  2017.8.24(一部写真追加) 2016.10.29


原作の室生犀星は金沢市出身だが、昭和3年から亡くなる昭和37年までは東京・大田区馬込で暮らした。
自伝的な小説『杏っ子』執筆も馬込の家である。
映画に登場する、杏子(香川京子)の父で小説家の平山平四郎(山村聰)の家は
馬込の家をモデルにして撮影所に建てられたものだろう。

現在住居跡はマンションが建っているが、看板がある。
下の写真の石垣は当時の家のものだと推察される。

また私は訪ねていないが、映画にも何度も登場した「離れの茶室」の建物は、
現在馬込第三小学校の敷地内に移築されているそうだ。

『杏っ子』は残念ながら未DVD化。



 


NEW 2019.5.2 追加修正

父の家に立ち寄った後、近くの商店街を歩く山村聰と香川京子。

本作の助監督を務めた故・石田勝心監督から
「確か室生犀星の家があった(撮影当時はそこに暮らしていた)馬込周辺でもロケをしたと記憶している」
との証言も直接聞いている。
画面写真(真ん中)のバス停には「品川駅行 南町三丁目 小田急バス」とある。
ネット検索等で少し調べてみたが撮影当時「馬込町東」「馬込町西」という地名はあるが
「南町」という地名は無いようである。(正確には不明だが)
映画ではロケーション場所にバス停を作ったりすることは日常茶飯事なので
このバス停も撮影用にこしらえたものではないかと思う。
このロケ場所はあくまで推定だが、同じく大田区馬込にある「馬込銀座」ではないかと。室生犀星もよく利用したそうだ。

NEW『おかあさん』②でも情報提供いただいたブログ名=グズグズさんからまた教えていただいた。
 ロケ場所は「馬込銀座」ではなく、大田区南馬込4-17-1附近の道とのこと。
 管理者が実際に現地へ足を運び写真を撮って来た。ここに間違いないと確信。
 決め手は、画面写真の3枚目の背景に映る「神田屋」の文字。
 現存している青果店だ。画面写真1枚目の道のカーブも少し左にカーブしておりこれも一緒。
 またこの道は、下のラストシーンの坂道(大田区南馬込4-27と4-18の間)のすぐ近くにあり、
 現在も東急の路線バスが通っているバス通りでもある。グーグル地図参照。
 メールで情報提供いただいた、グズグズさんに感謝したい。
 こういう住宅街や商店街のロケ場所は、その当時の土地勘がある方以外が特定するのはかなり困難だ。
 

    
       

  


以前から謎で、現在も不明なのが映画のラストに登場する坂道のロケ場所。
家のあった馬込と隣の山王も坂の多い町なので、いくつかの坂も散策してみたが見つからなかった。
前述の石田監督は「確か世田谷のどこかだったのように思う」とおっしゃっていたのだがいまだ不明。
この石垣はかなり立派なので現在も残っているのではないか。
もしご存知の方がいたらメールで情報提供をしていただけたらありがたい。


NEW 2017.8.24(一部写真追加)
→馬込に詳しいお二人の方からメールで情報提供いただいた。
 石垣の特徴的な坂道は、現在の大田区南馬込4-27と4-18の間の坂とのこと。
 早速グーグル地図で検索したところ、ここに間違いないと思われる。
 今回もグーグル写真を使用させていただいた。
 これは情報提供が無ければまず見つけられなかった。情報提供のお二人に感謝したい。
 2枚とも「石垣の形」と「電信柱の配置」がロケ場所特定の決め手になった。
 特に映画のラストショット。香川京子さんの後姿の横の石垣は映画当時(1958)と
 ほとんど変わっていないことに驚かされる!


  


  


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