成瀬映画に登場する風景(91)
『女が階段を上る時』(1960年) ② NEW 2016.10.7
映画の後半、銀座のバーのママ・圭子(高峰秀子)は体調を崩して倒れ(映画の中でのナレーションでは胃潰瘍)実家で静養する。
その実家が佃島(現在の住所:東京都中央区佃)にあるという設定。
高峰秀子は実家の2階の部屋にいるが、それは東宝撮影所のステージのセットであろう。
当時の佃島の外景は下記の2つのショットだけだ。これだけで佃島とわかる。
上の写真は佃島渡船跡。
1964(昭和39)年に「佃大橋」が出来て廃止された。
下の写真は、隅田川と「佃大橋」。
「佃大橋」に重なってよく見えないが、その先に「勝鬨橋」がある。
画面写真にははっきりと映っている。
上の佃島渡船跡のすぐ横にある「住吉神社」の第一鳥居。
これは映画撮影当時の姿を残している。
この写真の逆側にあるのが有名な「住吉神社」。
アクセスは、地下鉄有楽町線・大江戸線「月島」駅下車10分程度。
映画の中では、バーの経営者?の細川ちか子がすっぽんのスープを持って見舞いに来る。
その時の台詞。
「あたし、佃島なんて初めて来たの。なんだかこのへんは、昔の東京の名残のようなものがあるわねぇ」
今から56年前の映画だが、現在も近くを散策すると路地や個人商店などがあり、
上の台詞のような雰囲気がある。
本作の高峰秀子はほとんどが着物姿だが、成瀬映画の全出演作の中で『浮雲』と甲乙つけがたい綺麗さだ。