成瀬映画に登場する風景(92)
『山の音』(1954年) ⑤ NEW 2016.10.8
映画の後半、義父・信吾(山村聰)に見送られて、病院へ行く菊子(原節子)。
JR信濃町駅前にある「慶應義塾大学病院」。
写真の正面が信濃町駅。左側が「慶應義塾大学病院」。
右の木の下はJR中央線の線路。その先(右)は神宮外苑の森。
写真の手前はJR千駄ヶ谷駅方向。
映画では、この道の右側にタクシーを止めて原節子が降りる。
それを車内で優しい眼差しで見つめる山村聰。
当時の道にはガードレールが無いので、広々としている。
本作はDVD化されている。
本作の原節子は舞台が鎌倉ということもあり、また伏し目がちな表情、丁寧な言葉遣いの台詞の感じもあわせて
成瀬映画の出演作の中では最も小津映画の原節子の雰囲気に近い。
夫に対してずけずけと意見を言う妻を演じた『めし』『驟雨』と比較すると面白い。
現在の「慶應義塾大学病院」の入口は、写真の奥の左側(JR信濃町駅の正面)にあるが
本作の撮影当時(昭和29年)には、この道にも入口があったようだ。現在は封鎖されている。
原節子はこの道の脇から病院へ入っていく。
手前の石垣の形は撮影当時とほぼ変わらない。ここが当時の入口だったことがわかる。
石垣が少し低くなっているのは、歩道が少し底上げされたからだろう。