成瀬映画に登場する風景

NEW 2018.4.4 画面写真追加


『妻の心』(1956年)2002.8.29

群馬県・桐生市の老舗の薬問屋を舞台にした『妻の心』の中で
喜代子(高峰秀子)と喜代子の親友の弓子(杉葉子)の兄である健吉(三船敏郎)が、散策する「桐生ケ岡公園」(現 桐生が岡動物園)。
「君美わしく」(川本三郎著・文藝春秋)の中の高峰秀子インタビューP15には、
「桐生ケ岡公園」と書かれた看板の前で微笑む、高峰秀子、三船敏郎、成瀬監督の写真が載ってます。
約46年前の作品ですが、ロケ風景は残されていました。


喜代子(高峰秀子)と健吉(三船敏郎)が並んで歩く現「桐生が岡動物園」下の道。
小さい橋の形や階段など、映画に見られる風景とほとんど変わっていない。
別冊太陽「女優 高峰秀子」のP79にこの場所でのロケ風景写真が出ている。
手前の坂道を登ると「動物園」の入り口に。映画の中でも二人がこの坂を登っていくシーンがある。


 


 


上の道に続く散策路。二人が手前に向かって歩くシーンがある。映画とほぼ同様のショット。
木はかなり大きくなっているが、道のカーブ、石垣、木の形など当時の風景とほとんど変わっていない。

 



映画の中で、二人が雨やどりをする「公園」内の休憩所(と思われる)。
現在は中に何もないが、当時はいすやテーブルがあったか、または中古智美術監督が中だけセットを組んだかは不明。
映画では入り口と手前にある松の木が映っているのでこの場所でほぼ間違いないと思う。



休憩所の内部。窓枠の感じが良く似ている。
映画の中で、雨が降る風景を眺めつつ喜代子と健吉はお互いの気持ちを言い出しそうで、結局何も言い出せない。
二人の視線だけで微妙な気持ちを表現する成瀬演出に唸る名シーンである。
黒澤作品とは異なった抑えた演技の三船敏郎がとにかく渋くてかっこいい!


 


写真ページへ戻る

トップページへ戻る