成瀬映画に登場する風景

NEW 2018.4.6 画面写真追加

『あにいもうと』(1953年)A 2010.2.24


これまで成瀬映画のロケ地の中でどうしてもわからなかった場所の一つが、
『あにいもうと』でさん(久我美子)と鯛一(堀雄二)の二人が登場する駅でした。
映画でははっきりと「菅間(すがま)駅」との看板がありまた電車は「新宿行き」となっているので、
映画の舞台の多摩川・中野島近辺からいっても小田急線か京王線は間違いないのですが、
「菅間」という駅は昔の駅名で調べてもなく、駅はロケーションなので架空の駅名をつけることはないと思っていました。

最近、私の知人から指摘を受けて、小田急線の「鶴川駅」だということがわかりました。
理由は、小田急線の各駅の昔の写真の本
「小田急線 沿線の1世紀」 鎌田達也 世界文化社刊)の
P84に昭和38年当時の「鶴川駅」の写真が掲載されていて屋根の形、屋根下の壁の模様、となりの売店の形
などから映画の中の駅と重なるからです。
また「鶴川駅」は1927(昭和2年)開業と歴史のある駅なので、映画撮影当時とも矛盾はありません。

「鶴川駅」は映画の舞台の多摩川・中野島近辺からは相当位置的に離れているので、何故この駅でロケーションしたかは不明ですが、
私の推測としては
(1)人気スター久我美子の登場シーンで、見物客の混乱を避けるために当時は乗降客の少なかった(今は多い)「鶴川駅」にした
(2)「鶴川駅」のままだと、舞台の多摩川・中野島と位置的にリアリティがなくなるので、その点を考慮して架空の駅名とした。
なのですが、実際はどうだったのでしょう。


現在の鶴川駅前。正面の電線の塔も映画の中に映っています。

 


映画ではバス停から降りる乗客のシーンに登場する駅の横。
たばこやの売店は現在はコンビニになっています。

 


新宿行きの電車に乗り込む久我美子を追いかける堀雄二のシーンに登場する駅の改札口

 


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