成瀬映画に登場する風景

『女の歴史』(1963年)C 2010.3.19


映画の後半、戦後の混乱の中で生活のために信子(高峰秀子)が闇米を売り歩くシーンに登場する
東京・JR/地下鉄「西日暮里駅」横の坂道。
高峰秀子が坂を上ろうとすると、警察官が前方の人のリュックを調べている。
その後、坂の途中にある「美容室」の経営者・玉枝(淡路恵子)に闇米を売りに行くシーン


坂の下からの風景。
右の石垣と坂のカーブや前方の木々などロケ地はこの場所に間違いないと思います。
西日暮里駅は開業が1971年と新しいのでこの映画の撮影当時はまだ駅はありません。
現在は写真左側はJR西日暮里駅のホームです。
この坂を上がった高台には、すでにロケ地写真を掲載している「諏方神社」があります。



上の写真の逆アングル。映画では米兵がジープに乗っています。ガードは映画の中にも登場しています。
西日暮里駅はまだありませんでしたが当時も日暮里と田端の間は国電(古い!)が走っていました。

右の壁の所(現在、西日暮里駅)に、普通の家や美容室(外観もセット?)があったことになります。




美容室に闇米を売った後に、リュックをしょって両手に荷物を持って歩く高峰秀子のシーンに登場するJR西日暮里駅とJR田端駅の間の道。
映画では右の小さい坂から高峰秀子が歩いてきます。


上の写真の逆アングル。写真前方はJR田端駅方面。
映画ではタイヤを転がして遊ぶ子供たちのシーンに登場。
石垣の形や道の交差や右のガード(ガードの下はJRの線路)の感じなどからこのロケ地もほぼ間違いないです。
この辺りは私の小学生の頃の遊び場だったので推定できましたが、土地勘が無ければまず探すことは不可能でしょうね。
しかし、成瀬監督は本当に東京の様々な場所でロケーションしていることにあらためて驚かされます。




美容室の室内シーンでは淡路恵子が高峰秀子に話す「お米、55円だったわね」の台詞。
少し後の同じ美容室のシーンに登場する草笛光子が薬ペニシリンを「3000円」といって高峰秀子に渡すなど
やはり金銭の具体額を示す成瀬演出の特徴がここでも明らかです。


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