成瀬映画に登場する風景

『秘めたる覚悟』(1943年) 　　NEW　2018.11.7

本作の監督は滝沢英輔だが、成瀬監督は共同脚本の一人として関わっている。
脚本＝成山英一とは、成瀬巳喜男、山形雄策、滝沢英輔、岸松雄の共同筆名。
東宝映画製作、モノクロ73分の作品。

成瀬監督生誕100年の2005年に「日本映画専門チャンネル」の成瀬巳喜男劇場で放送されたので、
その時に録画したDVDを保有している。

成瀬作品ではないので、名画座等での成瀬特集でも上映されることはまずない。
私も観たのは同放送の時だけである。

銀座の洋食屋の「銀座亭」を舞台にした他愛のないホームドラマだが、
昭和18年の作品なので、随所に戦時色が色濃く入っている。
主演は山田五十鈴（銀座亭の長女＝お静）。準主役は志村喬（銀座亭の主人＝良吉）、長谷川一夫（お静の男友達の会社員＝阿部文雄）。
山田五十鈴と志村喬の親子役というのは珍しいのでは。山田五十鈴は当時26歳。

舞台が銀座だけあって、ロケーションにも当時の銀座が登場する。

映画の前半、山田五十鈴が羽鳥敏子（妹＝豊子）から恋の相談を聞かされる「外濠川」の横の道。
現在は埋め立てられ、上は首都高速道路、下は飲食店などの店舗が入っている。
道は「有楽町」から「新橋」へ至る「コリドー街」。
写真はグーグル地図を引用。

新橋から有楽町の方向。
画面写真の奥に見える橋は、現在はＪＲのガード下になっている「山下橋」（下写真）だと思われる。
画面奥の右側が「数寄屋橋」方面。左側は「帝国ホテル」「東京宝塚劇場」方面。