成瀬映画に登場する風景


『禍福』前篇(1937年)C 2018.6.26

東京・上野公園を散策した豊美(入江たか子)と親友の三千子(逢初夢子)。
豊美の婚約者=皆川慎太郎(高田稔)の出張を見送るために上野駅へ向かう豊美。
現在の上野駅の公園口から中央通りへの坂と公園からの階段。
現在この階段は無い。
下記写真の2枚目の左側の駐車場看板上の歩道橋あたりが、映画の階段の位置ではないか。
以前はこの手前に映画館があった。

 

  

 


屋外を二人で歩くシーンでは、一人が少し先に出て止まり、振り向かせるが成瀬演出の典型だが、
ここでは階段を降りる二人にも同じような人物ポジションの演出をしている。
階段の上が「上野公園」。

それにしても逢初夢子(あいぞめゆめこ)のモガぶりが凄い。顔も古風ではなく現代にもいそうな美人だ。さらっとした色気のクールビューティ。
逢初夢子は成瀬映画には松竹蒲田時代に2本(『蝕める春』(1932)=映画デビュー作、『双眸』(1933)=現存せず)、
そして本作の前篇と後篇に出演している。
小津映画の『非常線の女』(1933 松竹蒲田)などにも出演しているが、代表作は『隣の八重ちゃん』(1934 松竹蒲田 島津保次郎監督)のヒロイン八重子役。
ネットによると最後の映画出演作は松本清張原作、橋本忍脚本で山田洋次監督の傑作ミステリー映画『霧の旗』(1965 松竹)。
同じくネットによると1915年12月生まれで現在の消息は不明とのこと。ご存命なら102歳になる。

  


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