NEW 2018.5.1
大阪志郎と轟夕紀子が出かける松阪市のシーンに登場する、老舗「松阪肉元祖 和田金」。
私は松阪市へ行ったことがないので、グーグル地図写真を使用させていただいた。
このシーンの川島演出はなかなか洒落ている。
轟と大坂の二人は、松阪の「本居宣長旧居跡」を見物する。
以下ショット展開
(1)タクシーに乗り込む前に、轟は大坂に「松阪牛をご馳走するわ」と話す。同意してタクシーに
乗り込む大坂
(2)松阪牛と飼育している男性の姿(ビールを飲ませている?)
(3)「和田金」の店の前に車が止まる(画面写真参照)
(4)すき焼きの皿のアップ
(5)和室ですき焼きを食べているのは(轟、大坂ではなく)南田洋子と夫の芝直吉(小杉勇)。
→南田と小杉が松阪に来ていることはその前にはまったく説明されていない
観客が前の台詞から「次のショットはこのようになるだろう」と予想するのをわざと
はぐらかす編集の典型例である。
成瀬、小津そして山中といった監督の映画にもよく使われる演出方法だ。
上記(1)の二人の会話では、大坂はこの後仕事で松阪から京都へ行く予定で
轟にも京都へ一緒に来ないかと誘う。轟は息子と娘が待っている東京へ早く帰りたいので京都へは寄らないと答える。
ところが、この後轟は京都に立ち寄り、大坂の泊っている旅館を訪ねる。
これも同様の「観客予想はぐらかし」演出だ。
少し理屈っぽく言えば、「人の言葉と行動は常に一致するわけではない」という
人の複雑な感情(特に男女の仲)を表現した演出とも言えるだろうが、
おそらくは観客に対する監督のユーモラスな遊び心なのだろう。
岡山県の倉敷を散策する南田洋子と三橋達也。
南田が「大原美術館」から出てくると、待ち伏せしていた(ほとんどストーカー状態)三橋から声をかけられる。
グーグル地図写真を使用させていたただいた
「大原美術館」の前にある橋と民家。民家の形は映画当時とほとんど変わっていないように見える。
倉敷の橋と民家。上から少し離れた場所。橋の下の丸い穴が特徴的。