成瀬映画に登場する風景


『妻』(1953年) D NEW 2019.4.19


大阪に出張した中川(上原謙)が、会社の元タイピスト房子(丹阿弥谷津子)と宿泊する旅館。
ロケ場所はあくまで「推測」だが、現在の大阪で昔の街並みが残っている場所、大阪の南部の「富田林寺内町」の風景が似ているので撮影。
特に下の大きな写真と、画面写真の一番右の写真は、向う側に見える寺院の屋根のような建物や板塀の感じが似ている。
民家であって旅館ではないが、映画の撮影ではそんな設定は普通の話である。
大阪府富田林市は「天王寺」から近鉄の準急で約30分くらい南へ行ったところにある。大阪市内ではない。
昭和28年の作品なので、当時の大阪市内にこのような街並みが残っていたのも十分考えられる。
撮影監督の玉井正夫はキネマ旬報に連載した「成瀬巳喜男とその時代」という文章の中で、『妻」の大阪ロケハンに触れていて
大坂の天下茶屋や荻の茶屋辺りにロケハンしたことを記している。実際はその辺り(『めし』に登場する天神の森や帝塚山にも近い)なのかも
しれないが、特定は困難だ。

           


 

    


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